「アーシア日記とスマホ騒動」
おはようございます。アーシアです。
今日も聖女アーシアとして、日記をつけたいと思います。
昨日、ルシファー様とサタン様からお荷物が届きました。
お二人曰く「小さなものなら、魔法陣を使って地球の“魔界”から送ることができる」とのこと。
ついに――私たちが住んでいるこの異世界ラメルディアの座標も、正確に把握されたそうです。
……そして送られてきたのが、地球で流行っているという“スマートフォン”。
しかも、ただのスマホではありません!
魔力で動くように改良された、超高性能魔道具スマホです!
開発担当はサタン様、設計はルシファー様。
すごいタッグです……本当に。
最初は、私もミャーリもおそるおそる操作しました。
「なにこれ……うごいたにゃ……?こわいにゃ……」と、ミャーリが震えていたのが印象的でした。
私も使い方がわからずルイフェル様に何度も聞いて、ようやく慣れてきました。
──が。
その日から、ルシファー様とサタン様からの「ラブコール(魔道通信)」がひっきりなしに届くようになり……。
もう3日間、私はほとんど寝ていません……。
ねむい……
ねむいです……。
書いている今も……目が……
(ガクン)
──そのとき。
ピコンッ!!
またスマホが鳴りだした――!
ガチャァン!!
宿のドアが勢いよく開き、ルイフェルがアーシアの部屋に乱入する。
ルイフェル「やかましい!! 夜中の2時だぞ!!
あのクソ悪魔共、何日目だぁ!? アーシア!! もう出るな、あのアプリ!」
アーシア「で、でも、お二人とも寂しがって……」
ルイフェル(ピシィッと指を立ててアーシアの口をふさぐ)
静かに、そして素早くスマホをパパッと操作し――
ルイフェル「……着信拒否完了」
アーシア「えぇっ!? どうやってやったんですか!?」
ルイフェル「いいから、アーシア。おまえはもう寝ろ。
スマホは朝まで我が預かる。……安心して休め」
(アーシアは布団にくるまりながら、小さく頷いた)
──その頃、別室。
ミャーリはルシファーとサタンの通話音を“子守唄”代わりにしていた。
ミャーリ(寝言)「ママ〜……ミャーリねぇ〜……ママ大好きだよぉ〜……クゥ〜……クゥ〜……」
サタン「ふふっ。寝言……可愛いわねぇ」
ルシファー「うん……あぁもう、ホントたまらん……」
ふたりはミャーリの寝顔を見守りながら、
ルシファー&サタン「おやすみなさい……♡」
──こうして、ラメルディア、トライヤの宿の夜は静かに更けていくのだった。
【外部サイトにも掲載中!】
イラストはこちら(Pixiv)
https://www.pixiv.net/artworks/132898854
アルファポリスにて画像付きで作品を公開しています。
ご興味ある方はぜひこちらもどうぞ!
▼アルファポリス版はこちら
https://www.alphapolis.co.jp/novel/731651129/267980191




