ルシファーとサタンそしてリュミナ
──神殿から帰って来て、次の日の夜。
ルイフェル「アーシア、話がある」
アーシア「はい! 言ってたことね」
(アーシアはうなずく)
ルイフェル「我には姉がかつていたんだ。アーシアにとても似ている。リュミナと言う名の姉が……」
(ルイフェルは淡々と話す)
ルイフェル「アーシアの神聖力の源が発動されたときの容姿や力が、リュミナに似てる……だが我の力じゃ確証までは得られない。だから、我の親を召喚する」
ルイフェル(真剣な表情で)
「とても恐ろしい親だ。アーシア、ミャーリ……すまない。心してくれ」
アーシア「わかりました。どんな困難でも受け入れます」
ミャーリ(ニコッと笑って)
「大丈夫にゃ〜、任せるにゃ〜!」
ルイフェル「そうかぁ……わかった! じゃあいくぞ!」
ルイフェル「召喚!! ルシファー、サタン、我が親である者たちよ!! 来たれ!!」
(一瞬、時が止まる)
──ゴーオーォーオーオーー……
魔法陣から、二人の女性が現れる。
ルシファー(OL風の風貌、クール系黒髪美人身長177目が、金色 オフィスカジュアル系)
「……久しぶりの召喚ね。で、今回は何を壊せばいいの?」
サタン(大きな丸いメガネ、ふわっとした癒し系美人、服は、ナチュラル系で
可愛い 身長168 目の色は銀色髪も銀)
「やれやれ……この世界は狭くて困りますわぁ。でも――」
(サタンがアーシアに目を向ける)
サタン「……リュミナ……? あなた、まさか……」
ルシファー「っ……この光の波動、魂の残響……ありえない。でも確かに、“彼女”の気配が……」
アーシア「……リュミナ……? それ、ルイフェル様の……?」
(戸惑いながらも、胸の奥で何かが震え出す)
(涙がとめどなく、アーシアの目から溢れ出す)
サタン「やっぱりそうよね……」
ルシファー「この子……リュミナよー!!」
(同時に叫ぶ2人)
ルイフェル「……うーん、それじゃ混ざってるのか? なんでこんなことになってるんだ……」
(ルシファーとサタンから、地球の魔界でも度々“こちらの世界”と繋がり消える者がいるという話を聞く)
ルイフェル「我も行方不明扱いだったのか?」
サタン「そうよぉ〜、心配してたんだから〜! 連絡くらいしてほしいわぁ!」
ルシファー「生きてるのはわかってたけど……リュミナがまさかこんなことに……」
アーシア「私……私は、いったい……?」
サタン「うん。アーシアちゃんはアーシアちゃんよ。ただ、この身体に二つの魂が重なってるみたい」
しばらくの間、部屋には重い沈黙が流れた。
アーシアが自分の中に“もう一人の魂”があると告げられてから、皆は慎重に言葉を選びながら、ぽつぽつと意見を交わしていた。
ルシファー「旅のときに、襲ってきた。私は“門ゲート”を開く者……”とかいう女、悪魔? そいつが鍵を握ってるわね……それで特徴は?」
ルイフェル(記憶をたどるように)
「確か……赤髪だったような……。女だった。でも、普通じゃなかった。目も、なんか……底が見えない感じで……」
ルシファー(鋭く反応して)
「赤髪で、目の奥が見えない……。やっぱり、“門を開く者”かもね……。もしそうなら、**“ケルベロス”**に話を聞くしかないわね」
アーシア(小声で、不思議そうに)
「ケルベロス……ですか? ごめんなさい、その名前は初めて聞きました……」
ルシファー(軽く頷きながら説明)
「無理もないわね。この世界にはいない、“地球側”の冥界の番犬よ。
三つの頭に、蛇のしっぽ、体にも蛇……っていう、ちょっと変わった見た目だけど、門を通る者は見逃さない。
“門を開く者”の気配を感じ取れる可能性があるのよ」
サタン(ふわっと微笑んで)
「でも可愛いのよ〜。ワンちゃん好きにはたまらないわぁ〜」
ミャーリ(震えながら)
「さ、さっきから可愛いとこ一個もなかったにゃ!!」
(ルイフェルが立ち上がり)
ルイフェル「……ちょっと気持ちの整理つけてくる。夜風に当たってくるよ」
(宿の屋上へ)
(ノームもふよふよとついて行く)
(部屋を出たルイフェルの背中を、サタンとルシファーが光る目で見送る)
ミャーリ「ど、どしたんですかにゃ? 目がピカーって……」
アーシア「なんだか……嫌な予感……」
──そして次の瞬間。
「きゃーーーっ!!」
「にゃあぁあっ!!?」
(宿に響く叫び声)
──数分後。
(戻ってきたルイフェルが見た光景)
アーシアはサタンの膝の上で、無表情にスプーンでご飯を食べさせられていた。
サタン「はーい、あーんして? あーん♡」
アーシア「……あっ、ルイフェルさん。お帰りなさい」
(なぜか受け入れてるが、顔が死んでいる)
一方、ミャーリはルシファーに囲まれて、手足にネイルを塗られご満悦。
ミャーリ「ママ〜♡ これ、かわいい色にゃ〜!」
ルイフェル「…………」
(アーシアがスプーンをカチッと置く)
アーシア「サタンさん、ルシファーさん……もう帰ってください。何もさせてもらえません」
サタン「え〜〜ひど〜い! サタンママ、怒っちゃうぞ〜?」
ルシファー「私も! ルシファーママ、ぷんすかだぞ!」
ルシファー(マニキュアセットを抱えて)
「洗濯、食事、爪切り、入浴、服選び、朝の髪結い……日常のこと、全部私たちがやってあげるんだからねぇ〜♡」
ルイフェル(間髪入れず)
「帰れ」
ルシファー&サタン「え〜〜〜!? お母さんたちをないがしろにしちゃダメよ〜〜!」
ルイフェル(真顔で)
「……消えろ!!」
(魔力がぶわっと漏れた瞬間、部屋の空気が変わる)
(涙目でママたちは煙のように霧散)
──こうして、宿に静寂が戻る。
ミャーリ「また来てくれるかにゃ……ママ……」
アーシア「……しばらく、私はスプーン恐怖症かも。ルイフェル様、“とても恐ろしい親”って……心してくれって……このこと?」
ルイフェル(ぼそっと)
「……あの2人、本気出したら世界が終わるんだけどな……」
(アーシアの問いはスルー)
ノーム「最強の悪魔を“ママ”に持つルイフェル様……苦悩は続きそうですなぁ〜」
──つづく。
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