王宮神殿にて
王室の門前。豪奢な噴水がきらめく中、エルフィナが嬉しそうに手を振っていた。
エルフィナ(ぱたぱたと駆け寄り)
「アーシア様っ! こちらですわぁ!」
アーシア(嬉しそうに笑って)
「エルフィナ様、こんにちは!」
エルフィナ(ルイフェルを見て)
「……あら、ルイフェル様も来たんですねぇ」
(ちょっと不満げな口調)
ルイフェル(アーシアの腰に手をまわして)
「危ないからなぁ~、アーシアは我がいないとなぁ~」
(ニヤリといたずらっぽく)
エルフィナ(むぅっとして、ぷいっと顔をそむける)
「……フンですわ」
エルフィナ(すぐに笑顔を取り戻し)
「さぁさぁ~アーシア様、こちらですの。むさくるしい場所ですがぁ、ほほほほほ……」
(ニヤニヤ)
アーシア(目を輝かせて)
「むさくるしいって!? すっごく大きい神殿じゃないですか!」
──長い回廊を進むと──
エルフィナ(誇らしげに)
「アーシア様、こちらが資料室になりますわ」
美しい装飾がほどこされた重厚な扉を開けると、荘厳な雰囲気の図書館のような大空間が広がっていた。ソファや書架、テーブルが点在している。
アーシア(キョロキョロしながら)
「……わぁ、広い~。探すの、大変そう……」
エルフィナ(キメ顔で)
「大丈夫ですわっ! わたくしたちも、お手伝いいたしますので! どーん!」
(あのダサいキメポーズ)
アーシア(感動したように)
「エルフィナ様、そのポーズ最高ですっ!」
ルイフェル(ぽそっと)
「いやどう見てもダメポーズだろ……」
メイ=スケ(涙ぐんで)
「アーシア様、あれを“最高”と……やはり美的センスが……」
(可哀想な子を見る目)
ティナ=カク(眉をひそめて)
「お前、失礼すぎるぞ……!」
アーシア
「ん? ……え? どうしたの皆さん?」
──エルフィナが話題を変えるように手を叩く。
エルフィナ
「アーシア様、こちらのソファに、」
テーブルには山積みの資料、本が。
エルフィナがキメポーズをする
「だいたいわたくし達がそれらしい資料と本をあらかじめ調べておいておきましたの」
アーシア
「ありがとうございます。エルフィナ様! キメポーズもかっこ良くて可愛いです」
エルフィナにまっ〜として
「ありがとうございます! 嬉しく思います」
そして資料、本を調べて5日ほどたった。
テーブルに置かれた資料と本が読み終わったら、次の日にはちゃんと、それらしい内容の資料と本が置かれていた。それはエルフィナ1人が夜通し寝ずにやっていた。
──6日目 朝、いつものように──
エルフィナが門前で待っている。
「アーシア様、おはようございます」
少し揺れてるエルフィナ、顔はげっそりとしていた。
ルイフェル
「なんか揺れてないか? 大丈夫か? エルフィナ??」
アーシアも心配して声をかける。
エルフィナ(へろへろしながらポーズをとる)
「大丈夫ですわ〜」
やっぱりダサい…
エルフィナはフラフラとなりながら前を歩いて、資料室に先導する。
「今日も資料と本を新しくテーブルにありましてよぉ〜存分に探してくださいませ」
ゆらゆら揺れながら言うエルフィナ。
アーシア
「は、はいありがとうございます」
ルイフェル(ジっとエルフィナを見て)
「これっていつもメイド達もやってくれてるんだよなぁー?」
エルフィナ
「もちろんです。さぁさぁ立ち話だと疲れますし、ソファに」
ルイフェル
「いや、お前のがやばくないか?」
エルフィナ(へらへらしながら)
「だいじょ〜ぶですわぁ〜〜〜」
(ふらふらと謎ポーズをとろうとして……)
「――はっ!」
……気づけば足元がふらつき、なぜか 謎の古代拳法っぽい構えに。
ルイフェル(ツッコミ気味に)
「いやそれ、どこの流派だよ!?」
アーシア(心配そうに)
「た、たぶん……ポーズじゃなくて、ふらついただけかと……」
護衛でついて来たティナ=カク、メイ=スケが心配そうに見ている。
メイ=スケ(ボソッと)
「なぁアーシア様達に言ったほうが……」
ティナ=カク(小さい声で)
「だめだ、エルフィナ様から言われてるだろ」
──しばらくして──
ソファにルイフェル、真ん中にアーシア、その横にエルフィナが座り、その前のソファにカク、スケが。
エルフィナが資料のページを見て
「この辺りはどうですか?」
「アーシアさ、ま、と——」
アーシアの膝に倒れる。
「エルフィナ様! エルフィナ!」
みんなから呼ぶ声が、響く〜
スケが慌てて
「医者を呼ばないと〜!」
エルフィナはその声に気づいて、薄目で
「ダメです。王室にみなに心配かけちゃいます」
パタン、
「エルフィナ様?」
少しして寝息が
「くぅーくぅー」と。
メイ=スケ(泣きじゃくりながら)
「エルフィナ様には、“お二人には心配かけたくないから、内緒にしててください”って言われてましたけど……ぐすぅ……
このテーブルに置かれた資料や本は、全部エルフィナ様が目を通して選んだものなんです。
“アーシア様が、少しでも早く見つけられるように”って……
メイド長もメイド達も、私たちも“手伝いますよ”って言ったのに……
“あなたたちには他にも仕事があるでしょ”って言われて……
それで……ずっと一人で……寝ないで……
うわぁあああんっ、エルフィナ様が……しんじゃう~~~!」
ティナ=カクがすまなそうな顔で
「すまない。言うべきだったんだが……」
(メイ=スケの頭を撫でながら言う)
アーシア(エルフィナの顔を覗き込みながら)
「頑張ってくれたんですね。ありがとうございます」
ルイフェル
「まぁ今日はアーシアの膝枕、貸してやるよ」
アーシア(頬をあからめる)
「いきなりなんですかぁルイフェル様……」
イチャイチャするルイフェルとアーシア。
それを横目で見ていたティナ=カクとメイ=スケは、
「ほっー……これはエルフィナ様大変だなぁ〜あそこに入っていくのは〜」
と二人でボソと呟く。
「う、うーん。はぁ?」
エルフィナが起きた。もう夜になっていた。
「す、すいませんですわぁアーシア様……」
アーシア(優しい口調で)
「大丈夫よ。エルフィナ」
ルイフェル(エルフィナの頭をポンとして)
「エルフィナありがとなぁ! おまえのおかげで、決心ついたよ〜我も頑張るなぁ」
──門前について──
アーシア
「さぁ今日で一旦お開きですね。ありがとうございますエルフィナ様」
ルイフェルは手を振る。
エルフィナ(わけがわからず)
「お二人ともどーされたのでしょうか?」
カク
「エルフィナ様、じつは……エルフィナ様が眠っておられる間に、ルイフェル様がこうおっしゃっていました。
“もしかしたら、ある程度の答えが見つかるかもしれない”と。
ただ、それには勇気と忍耐が必要で、今まで躊躇していたとも……。
でも、小さな体で一生懸命がんばるエルフィナ様の姿を見て、
“我も頑張るよ”と決心されたのです。
そして、アーシア様に――
“この神聖力の件、我に任せてくれ。もしかしたら、進展できるかもしれない”と」
メイ=スケ(ボソと)
「なんか二人ずっと手を握ってたなぁー」
(顔真っ赤にして)
ティナ=カク
「エルフィナ様の頑張りが、いい方向に向いたんですよ」
(にってする)
エルフィナ
「まぁ、そおゆうことにしておきましょう! ふっ、さすがわたくしですわー」
(キメポーズ!)
ティナ=カクが拍手すると同時にメイ=スケもする。
ティナ=カク
「珍しいな〜メイ?」
メイ=スケ
「まぁ〜ねぇ〜、エルフィナ様、今回頑張ってたからねぇ〜特別!」
(ポニテがゆらゆら動く)
ティナ=カク
「特別って〜……」
なんか言おうとしてやめた。
二人ともエルフィナのポーズに拍手をつづけた。
つづく
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