「会合」──作戦後、宿にて
トライヤの宿屋、広めの部屋に並べられた円卓のまわり。
そこには、テイト、サスケ、エルフィナ、スケ、カク、
そして、アーシア、ルイフェル、ミャーリが集まっていた。
ノームは、
「話がややこしくなるので、杖のフリをしている」
お茶や簡単な菓子が置かれているが、皆の表情はまだ緊張を残していた。
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テイト(真面目な表情で)
「皆さん、お疲れさまでした。……私は部隊を率いて現場に向かいましたが、結界のため内部には入れませんでした。
そこで、あの場で何が起きたのか……事情を整理するためにも、ご協力ください。」
(場が少し静まりかえる)
エルフィナ(凛とした口調で)
「その前に一つ……お願いがあるの。テイト。報告は“伏せる部分”を含めてまとめてくれるかしら。」
テイト(少し目を細める)
「伏せる、とは……?」
エルフィナ(やや声を落として)
「父上……王に知られれば、アーシア様やルイフェル様が“危険分子”とみなされる可能性がある。
下手をすれば、王都からの追放……いえ、最悪、拘束されかねない。あの戦いの真相、すべてをそのまま報告すべきではないわ。」
(テイトは少し考え、うなずいた)
テイト
「……了解しました。報告は、私の裁量でまとめます。」
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スケ(腕を組み、だるそうな声で)
「じゃ、言える範囲でまとめよっか。こっちも正直、ヤバすぎて記憶が曖昧なんだけどねー……」
カク(真面目に)
「ヴァルゼイン。五大悪魔の一柱が現れました。現地では、ルイフェル様が直接応戦。加えて、召喚された“別の悪魔”によって、なんとか撤退させることに成功。」
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サスケ(俯きながら)
「……すみません。やつが現れたとき、魔力の余波で吹き飛ばされ……動けず、そこのワンちゃんと一緒に倒れてました。」
(ウルワが「わふ」と小さく鳴いて、しっぽを振る)
ルイフェル(小声で)
「……ウルワ、おまえ何やってんだよ……」
サスケ(悔しそうに)
「役立たずで……申し訳ありません。」
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ミャーリ(おずおずと)
「でも……ベルゼバブ様がいなかったら、きっと全滅してたミャ……」
ルイフェル(そっぽ向きながら)
「べ、別に……助けられたからって、アイツが全部いいってわけじゃねぇし……」
アーシア(ふっと笑って)
「でも、助けてくれました。私は……感謝しています。ベルゼバブ様。」
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テイト(静かに)
「……“悪魔王”を召喚できる存在が、味方として動いてくれたこと。それが唯一の救いか。」
エルフィナ(ため息混じりに)
「それが王に知られれば、“味方”とは見られない可能性が高いのだけれどね……」
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(場の空気が重くなる中、スケがぼそっとつぶやく)
スケ
「……あのベルゼバブ様、アーシアちゃんの手握りながら“また会いましょ~♡”って消えてったけど、あれ本気なんすかね?」
ミャーリ(真顔で)
「たぶん……ほんとに好きなんだと思うミャ。アーシア様、モテすぎ……」
アーシア(赤面)
「そ、そんなことはっ……!」
ルイフェル(むすっ)
「うるさいっ! 余計な話すんな!!」
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場が少しだけ笑いに包まれ、重かった空気がわずかにほぐれる。
次なる動きへと、彼らの“会合”は静かに続いていく──
テイトが少し前に乗り出す。
テイト
「……さて。今後の動きについてですが、アーシア様。確か“”神聖力のヒントを得るために、王宮の神殿へ行きたいと仰っていましたね?」
アーシア(まっすぐに頷く)
「はい。神殿には、私の力の神聖力の謎を解く何かがある気がするんです……!」
テイト(頷き)
「私の立場でも紹介は可能ですが……なんなら、第五王女・エルフィナ様から直接の推薦という形でも――」
エルフィナ(急に立ち上がり、自信満々にポーズをキメて)
「もちろんですわぁっ! 王女たるこの私が、堂々と推薦いたしますの!」
その瞬間――
その場にいた全員(アーシアを除く)
(心の声)
『……ダサッ!』
ピシッとポーズを決めたエルフィナを前に、あえて誰も口にはしないが、全員の表情が絶妙に引きつる。
アーシア(純粋な笑顔で)
「エルフィナ様、そのポーズ……とても格好いいですね!」
その言葉に――
メイ=スケ(涙ぐみながら)
「アーシア様、美的センス……ダメなんですねぇ……(小声)」
(まるで可哀想な子を見るような目でアーシアを見る)
ルイフェル(絶望的な目で)
(心の声)
『……マジかよ。』
アーシア(首をかしげて)
「お二人とも、どうされたんですか?」
メイ=スケ & ルイフェル(同時に)
「なんでもないです」
エルフィナ(うるんだ瞳で、口元に両手を当てながら)
(心の声)
『アーシア様が……ほめてくれた……! ほめてくれたあああ……♡』
(ゾッとするほどの笑みを浮かべて固まる)
その光景を横目で見ながら、テイトが苦笑混じりに話題を切り替える。
テイト(咳払いしつつ)
「……他に、話しておくことはありますかね……?」
(静かに夜がふけていく)
⸻
やがて一通りの話を終え、場に少しだけ安堵の空気が広がる。
ミャーリ(立ち上がりながら)
「そろそろ料理作るにゃ~! 今日も張り切っていくにゃ!」
ティナ=カク(きびきびと立ち上がる)
「私も手伝います、危険な素材があれば対応できますので!」
メイ=スケ(座ったまま手をひらひらさせて)
「早く作ってねぇ〜、お腹すいたぁ~」
ティナ=カク(ぴくりと眉を動かして)
「……お前もついてこい!!」
メイ=スケの襟を引っつかんで、強制連行。
(ウルワはその後ろを嬉しそうについていく)
⸻
やがてテーブルには料理が並び、皆で食卓を囲みながら談笑する姿が。
それぞれの役割が見え始め、
「何かあればすぐに共有する」という方針が全員で確認され、会は締めくくられた。
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つづく
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