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五大悪魔・グラドゥア=ヴァルゼイン、そしてもう1人の悪魔

怒りを噛み殺すように、ルイフェルは佇んでいた。

そんな彼女のもとへ、ひとりの男が音もなく近づく。


白い貴族風のスーツを着たその男は、ニヤリと笑いながら言った。

「はっはっは……とても面白い芸当ですねぇ。私がこの地を仕切っていた“主人”ですよ」


ノームの額に汗が浮かぶ。

「ひ、姫様……あやつ、やばいですぞ……!」


男は深々とお辞儀すると、ドス黒い魔法陣をまといながら姿を変えていく。

禍々しい風が吹き抜け、身体はみるみる巨大化した。



◆姿

・身長:約3メートル

・背には左右非対称の「黒い羽根」と「歪んだ骨の翼」

・暗紫色の肌に、ヒビ割れたような発光紋章

・仮面のような骸骨の顔。眼窩に赤い光

・上半身は鎧のように隆々とした筋肉、下半身は黒いローブに包まれ浮遊

・声は重く、幾重にも重なるような不気味な響き

・漂うのは、硫黄と墨が混じったような腐敗臭



「この姿を見た者は……生存できぬと思え」


スケとカクが結界を張るなかで、エルフィナが震える声で叫んだ。


「ま、まさか……あいつは……っ! 五大悪魔の一人……」


「グラドゥア=ヴァルゼイン!」


(通称:災翼〈さいよく〉のヴァルゼイン)


――ドォォォンッ!!


地が震えた。


ルイフェルが顔をしかめる。

「なんだ、こいつ……? でかいからって調子乗んなよ〜」


アーシアは緊迫した表情で、ノームの杖身にすがるように手を伸ばし、必死に訴える。


アーシア(小声で)

「ノーム様! ルイフェル様に、あの大悪魔の魔法と能力を伝えてください!」


ノームはハッとしてうなずくように、杖の目がギョロリと瞬きをし、即座に念話を飛ばす。


ノーム(念話)

「ルイフェル姫様! あの者の能力、伝えますぞ!」


◆魔属性:堕風だふう魔術アビサル・テンペスト

1.デスゲイル・フィールド

 漆黒の暴風が一帯を覆い、魔力の弱い者を即座に失神させる。呪詛が舞い、空間ごと呪う。

2.ウィンド・パペット

 影に呪印を刻み、風を媒介に対象を操る。意志を奪う傀儡術。

3.虚空断裂ヴォイド・リフト

 空間を裂き、無数の風の刃を出現させる。剣のような鋭さ。

4.罪風の羽根

 翼から黒い羽根型の魔弾を発射。触れた相手の記憶や力を奪う。

5.終焉の囁き(ラスト・ブリーズ)

 死者の囁きを乗せた幻聴を響かせ、精神を侵す。



ノームは慌ててルイフェルに伝える。

「姫様、これは本当に危険ですぞ! 撤退を――!」


「長ぇ! 覚えらんねぇよ!」


「こぬかぁ……弱き悪魔よぉ〜」


「うるせーっ! 吸収だぁ!!」


ルイフェルが左手をかざし、吸収魔法を放つ――が。


「……ノーム!? 吸えてないっぽいんだけど!?」


「やはり……! その者の魔力、“吸収できておりません!”」


「は?」


「魔力の“系統”が異なるのです。この世界の悪魔力は、地球由来の魔法とは互換性がありません!」


ルイフェル「つまり、“吸収魔法が未完成ってことか……この世界では、まだ。」


ノーム「はい。姫様の力は、“この世界の法則”に拒絶されているのです……! 今は、どうやっても吸収できません!」


「……めんどくせぇー!」


ヴァルゼインの風の呪縛魔法が飛ぶが、

ルイフェルの魔力強制解除が自動発動し、効かない。


「ぐぬぬ……地球の悪魔風情が……」


そして――奴の視線がアーシアへ。


「アーシアに触れんなぁあああああ!!」


ルイフェルが突進する――が、逆に吹き飛ばされ、壁へと叩きつけられる!!


「うわー!!」


壁にめり込んだルイフェルが、見開いた目で叫ぶ。


「召喚!! 我が配下――悪魔王ベルゼバブ!!!」


ドウッ!!!


魔法陣が咆哮するように輝き、異空間が裂ける。


そこから現れたのは――

艶やかな黒髪を揺らし、赤い瞳をぎらりと光らせる妖艶な美女。

身長は170cm、全身を包むのは情熱的な深紅のドレス。

その胸元には、存在感を放つ大きな黒いバラの細工が咲いている。

ただ立っているだけで、空気が変わる。


ベルゼバブ(微笑みながら)

「はぁい♪ お待たせぇ~……って、誰に手ぇ出してんのよ?」


くるりと舞うように現れた彼女が、指をパチンと鳴らす。


瞬間、空気が変質し、辺りに腐蝕の霧が発生する。


ベルゼバブ(ニヤッと笑って)

「はい、溶けな~♪」


――次の瞬間。


グラドゥアの巨大な魔腕が

**ジュウウウ……ッ!!**と音を立てて腐食し、

一気にドロドロに崩れ落ちる!


アーシア(呆然)

「えっ、な、何が……?」


ベルゼバブ(ウインクしながら)

「よかったねぇ~。かわいい子が傷つかなくて。……ふふ、溶けるのって、気持ちいいのよね~♪」


そして表情を険しく変え、声を張る。


ベルゼバブ

「覚悟しなぁ~! きもい悪魔のおっさーん!!」


――つづく


【外部サイトにも掲載中!】


イラストはこちら(Pixiv)


https://www.pixiv.net/artworks/132898854


アルファポリスにて画像付きで作品を公開しています。

ご興味ある方はぜひこちらもどうぞ!


▼アルファポリス版はこちら

https://www.alphapolis.co.jp/novel/731651129/267980191

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