奴隷オークション潜入作戦
アーシアたちの行方を案じ、偵察のため部隊を残して先行していたテイトとサスケは、建物の角を曲がったところで、エルフィナ・ルイフェル・ティナ=カク・メイ=スケと鉢合わせになる。
「ちょうどいいところで合流できましたわね!」
エルフィナが嬉しそうに声を上げる。
テイトはすぐに状況を報告。
「アーシア様とミャーリが見つかりません。他の捕まっていた人々は檻に……オークション会場が本命のようです」
「よし、奴隷オークションに潜入するぞ」
ルイフェルが真剣な眼差しを向ける。
アーシアたちや他の捕らえられた人々に被害を出さないため、一行は2手に分かれる作戦を立てる。
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エルフィナは仮面をつけ、金持ちの貴族令嬢になりきり、
ルイフェルとティナ=カクは執事役として付き従う。
裏手からスケ・テイト・サスケが救出組として潜入する。
「バレないのか、これ……?」とルイフェルが心配するが、
「大丈夫ですわ。たくさんの貴族がいますから。それに――これ!」
エルフィナは、ルイフェルとカクが持たされた2つの大きなカバンを指さす。中には金貨の山。
「これは…まさか…」
「貴族の馬車や奴隷売買人から”拝借”した資金ですの」
「……大胆だな」ルイフェルが呆れる。
「客の数から見て、これは大規模です。トライヤで暗躍する闇組織を、一網打尽にできるかもですわぁ!」
言いながら、エルフィナは例によってキメポーズ。
(……それやめろぉ)ルイフェルが心の中で呟く。
「いつ見ても美しいポーズです」ティナ=カクが小さく拍手。
「ふふ、たくさん練習しましたもの」エルフィナが誇らしげに答える。
(練習すんのかよ……)と再び心の中でツッコミを入れるルイフェル。
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会場前、ドアの前では男がチケットの確認をしていた。
「まずいぞ…」とルイフェルが呟くが、
エルフィナは札束を差し出す。
「これがチケットですわぁ。忘れてしまって…」
男はあっさりと金を受け取り、彼らを通す。
「所詮は金。悲しいですが、これが現実ですわね……」エルフィナが静かに呟いた。
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「つきましたわ。ここに座りましょう」
エルフィナたちは貴族客として観覧席に座り、次々と奴隷たちを高額で落札していく。
その都度、ティナ=カクが彼らを裏口から部隊へと誘導。
一方、テイトは他の捕らわれた人々の保護を終え、部隊とともに会場へ向かう。
「サスケ、スケ。先に会場へ向かってくれ。胸騒ぎがする」
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オークションが進み、司会の男が叫ぶ。
「さあ、次は目玉商品だあっ!!」
鎖につながれたアーシアとミャーリが舞台に引き出される。
「アーシアさ――」と叫びかけたエルフィナだったが、口を押さえて耐える。
「……よし、高額を叫びますわ!」そう言って立ち上がろうとしたその瞬間――
隣にいたルイフェルの体が震え出す。怒りに満ちた表情で、鬼のような形相に変わっていた。
「ル、ルイフェル様!? 落ち着いてくださいませ!」
その声も届かぬまま、ルイフェルはジャンプしてアーシアとミャーリの前に立つ。
「その子たちは――我の大事な、つれだぁ!!!!!」
場内が揺れるほどの叫びに、空気が一変する。
全身からあふれ出す膨大な魔力。
突如、魔法陣が現れ――
「ノーム!!!」
呼応するように、浮かび上がる魔法陣からノームが現れ、巨大なオオカミの姿となったウルワが飛び出す。
「ヨォー、覚悟しなぁ……」
闇に包まれたオークション会場が、怒りの炎に包まれようとしていた――
つづく
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イラストはこちら(Pixiv)
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