吸収と配下
ドゴーン!!
大きな爆音とともに、大神殿の重厚な扉が吹き飛んだ。
土煙の中から現れたのは、異様に膨れた体と爛れた皮膚を持つ魔物だった。
「うん!? 美味そうなガキと……おお、聖女までいるじゃねえか!」
魔物の濁った目が、ルイフェルとアーシアを捉え、いやらしく歪む。
アーシア「ひっ……!」
ルイフェルは一歩前に出ると、冷めた視線で魔物を見下ろす。
「ほう。我を“エサ”扱いとは――面白い冗談だな。」
ルイフェルは左手を掲げる。
「消えるがよい。貴様は汚すぎて、我の配下には向かぬ。」
その瞬間――
「吸収!!」
ズズズズズ……!
左手から発せられた黒い渦が魔物を包み込み、一瞬で飲み込んだ。
「グゥアアアアアアアーーーッ!!」
断末魔が響いたかと思えば、もう魔物の姿はない。
ルイフェル「ふむ。たいした力もなかったな……」
ぼそりと、つぶやく。
隣で固まっていたアーシアが、恐る恐る口を開いた。
アーシア「い、今の……何をしたの?」
ルイフェルはどこか得意げに胸を張る。
「吸収したのさ。相手の魔力や能力を、自分の中に取り込んで強化することができる。そして、気に入った相手なら“契約”して配下にすることも可能。まあ、今回のは汚すぎて却下だけどね。」
アーシア「す、すごい……!」
「ふふん。もっと驚いていいよ?」
そのとき、慌ただしい足音が響いた。
騎士が駆け込んできて、息を切らしながら叫んだ。
「大変です。魔物の群れが、王城のある首都デエルに向かっているという情報が入りました!」
ルイフェルはノームの方をちらりと見る。
「じい、出番だよ。」
ノーム(杖)「……承知しました、姫様ァ」
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