第五王女エルフィナ
ドタッ
いてて、てぇ〜 ルイフェルが薄暗い檻のある部屋に落ちた。
どうやら、ミャーリとアーシアとは別々に、なってしまったようだ。
柵に手をつけながら、ルイフェルは心配になり大声で、アーシア達を呼ぶ
すると牢の後ろから声が、
うるさいわねぇーって
アーシアって?あの聖女の??
ルイフェルがはぁ?誰だ?
ごめんなさい。私はトライヤの第五王女エルフィナっていいます。
金髪で頭には綺麗な装飾のティアラをつけて、青い綺麗な目をした。青のドレスを着たちょっとつり目だがとても可愛い背丈はミャーリと同じぐらいの女の子がこちらを見て言った。
アーシア様も囚われてるの?
ルイフェルが不審そうに、見ながら、あぁ~とぽつりと答える。
まぁ〜お可哀想に、と、品がある面持ちで言う。エルフィナ
なんとか助けないと、ってわたくしも捕まってしまったのですが、
塞ぎ込むエルフィナに、
ルイフェルがおい!
おまえ女かぁ?
牢の隅、エルフィナはルイフェルの質問に一瞬黙り込んだ。
金のまつ毛が震え、青い瞳が微かに揺れる。
ルイフェル
「おい……なに黙ってんだよ。女かって聞いてんだよ」
エルフィナ(小声で)
「……体は、そうですけど……心は……ちがうの」
ルイフェル
「はぁ?」
エルフィナ(ぽつりと)
「……前世は、地球の男子でしたの。だから今でも、内面は……まぁ、割と男寄りですわ」
ルイフェル(目を細めて)
「……転生者、か」
しばらく沈黙が流れる。
ルイフェルはエルフィナを見つめたまま、無言で立っている。
エルフィナ(真剣な顔で)
「お願いです。アーシア様には、言わないでくださいまし」
ルイフェル(ふっと鼻で笑いながら)
「ふーん。お前、アーシアのファンなんだろ?」
エルフィナ(頬を染めて)
「……ふ、ファンというか……信仰というか……尊敬というか……あの清らかさと可憐さに、惹かれたといいますか……」
ルイフェル(少しイラっとして)
「ハイハイ、もうわかった。バレないようにしといてやるよ」
エルフィナ(安堵しながら)
「ありがとうございます……!ルイフェル様って、意外と優しいのですね」
ルイフェル
「誰が“意外と”だ。ぶっ飛ばすぞ」
エルフィナはくすっと笑った。
二人の間に、ほんの少しの信頼の空気が流れる。
「アーシアには言わねぇけど、変な言動したら全部バラすからな」
ルイフェルがジト目でそう釘を刺すと、金髪の少女――エルフィナは少し顔を伏せ、ポツリとつぶやいた。
「……わたくし、アーシア様に、会わない方がよいかもです」
その声はどこか悲しげで、思いつめた響きがあった。
ルイフェルは少し眉を動かした後、ふっと息を吐いた。
「……わかった。絶対言わないから安心しろ。ファンなんだろぉ? アーシアに会わねーとヨォ!」
そう言ってニッと笑いながら、ルイフェルは人差し指を突き出す。
「悪魔の契約だ!! 絶対言わない!」
「え? ルイフェル様、悪魔なんですかぁ?」
エルフィナが目を丸くして聞くと、
「そだぞぉ〜」
ルイフェルはあっけらかんと軽く言い放った。
するとエルフィナは急に真面目な顔になり、スカートの裾を少しつまんで礼をしながら、
「失礼します」
と静かに呟く。
そして次の瞬間――
「――鑑定ですわぁ!」
青い瞳が、魔力の光を帯びて輝いた。エルフィナの目が一瞬、宝石のように輝き出す。
「……あっ、あくっ、あくっ……悪魔~~~!? 魂とら、とられるんじゃないですかぁ!? 契約って……?」
エルフィナがあわあわと取り乱しながら後ずさる。
「いやー、大丈夫だよ。我から誘って契約したし。人間からじゃないし」
ルイフェルが肩をすくめて笑いながら言うと、エルフィナは少し落ち着きを取り戻しながら、
「そ、そうですかぁ。わたくし血は代々薄いですが、少々ハーフエルフの血が混ざってます。種族、人ではなくても……大丈夫でございますかぁ?」
「大丈夫大丈夫、はははっ」
と軽く笑うルイフェル。
「ほんとーに、大丈夫ですね?」
「……しつけー!!」
パシッ!
ルイフェルの手がエルフィナの頭を軽くはたいた。
「イタ、痛いです。王女の頭こづきますかぁ?」
少しムッとしながらも、どこか可愛げのある表情で抗議するエルフィナ。
「まぁまぁ怒るなよぉ〜。秘密を言い合った仲じゃん」
無邪気に笑うルイフェル。
だがすぐに真剣な表情に戻り、眉間にしわを寄せながら周囲を見渡す。
「しかし……どうするかなぁー。ミャーリとアーシアはここにはいないみたいだし。どこなんだろ?」
その言葉に、エルフィナがぱっと顔を上げる。
「それなら……だいたいの検討はわかりますわぁ!」
イタズラっぽい笑みを浮かべながら、エルフィナがにこっと笑ってそう言った――。
⸻
つづく
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