仲直り作戦
「うーん……どうするかにゃ〜。やっぱりここは料理で仲直りしてもらうにゃ!」
ミャーリは想像する──
アーシア「ミャーリ、とってもこの料理美味しいわぁ〜!」
ルイフェル「うむ!これは今まで食べたことのない旨さだ!さすがはミャーリ様!」
ミャーリ「ふふーん♪にゃっはっは!やっぱり私の料理が最強にゃ!ルイフェルはゲテモノばかり食べてたから、感動して当然にゃ!」
アーシアとルイフェルの目がキラキラ輝き、仲良くご飯を食べる様子にミャーリは満足げにうなずいた。
「……これにゃ!やっぱり仲直りには料理にゃ!!」
今は大きな町トライヤの宿。食材も調味料も豊富なはずにゃ〜!
「ウルワ、行くにゃ!早く!材料を集めるにゃ〜!」
ワフッ!──とウルワが応える。
賑やかな屋台街。スパイスの香りや、美味しそうな屋台の匂いに、ミャーリの目はキラキラ。
「……あっ!」
立ち止まり、ポーチを確認する。
「お金ないにゃ……買えないにゃ……」
しょんぼりしているミャーリに、ウルワが口に何かをくわえて持ってきた。
「うわっ!?宝石!?どこで拾ったにゃ!?……え?魔物の体内にあった……?」
ミャーリは驚きつつも納得する。
「にゃるほど、そういう魔物もいるにゃね〜!」
物々交換屋へ向かったミャーリ。宝石を差し出すと、店主が少し困ったような顔で言った。
「これは……偽物かどうか鑑定が難しいな。うーん、価値は微妙かもしれんが、悪くはないな」
そこへ、店の奥にいたエルフの戦士風の女性がふらりと近づいてきた。
「ねぇ、それ本物だよ? 騙そうとしてたら、町の保安部の偉い人に話しちゃうからね〜♪」
「……あ、いやいや。誤解だよ、お嬢さん。鑑定が難しいって話をしてただけさ」
──数分後、無事に食材と交換できたミャーリは、噴水広場でそのエルフの女性に声をかけた。
「ありがとうにゃ!助かったにゃ〜!」
「そっちの子はウルワって言うんだ?可愛いねぇ。あんたもなかなかやるじゃん♪」
「私はミャーリ! クルド族で聖女目指してるにゃ!!」
「へぇ〜!クルド族で?それはすごいねぇ!私、テイトって言うの。見てのとおり戦士やってるエルフさ!」
「戦士!? エルフって大抵、魔法とか弓なのに珍しいにゃ!」
「でしょ〜?ありきたりなの苦手でさ。剣の重さと振り抜く感じ、すっごく気持ちいいんだよねぇ〜」
ミャーリは、どこか自由で朗らかなテイトに強く惹かれた。
「私もね、聖女になりたいにゃ!村では笑われたけど、諦めてないにゃ!」
「うんうん、夢に向かってるのってカッコいいよ。応援したくなるな〜!」
──すっかり打ち解けた二人。ミャーリはルイフェルとアーシアのケンカの話をすると、テイトがひとつ案を出してくれた。
しばらく楽しく話した後、テイトは「ちょっと用事があるからまたね〜」と笑顔で手を振った。
「……いい人だったにゃ〜」
──その帰り道。
テイトに教えてもらったスパイス屋に向かい、買い物を終えたミャーリとウルワは、たまたま例の交換屋の裏手を通りかかった。
すると、大きな袋を抱えた男と交換屋の主人が、低い声で話し込んでいた。
「……あのガキ、金になるらしいぜ。親が必死になってるって話だ。明日の夜、準備しとけ」
「……人さらい……!? にゃ……身代金を取るつもりにゃ!?」
ミャーリの耳がぴくりと動いた──
──つづく。




