魔物再来と料理勝負
草むらの奥から、ガサガサ──ッ!
ミャーリ「ウルワ! 準備はいい!? 今度こそマジでヤバいかもにゃ!!」
ウルワ「ワフッ!!」
(お腹がすいてるけど気合いは十分)
ミャーリが木の枝を手に持ち、草むらににじり寄る……!
──ぴょーんっ!
飛び出してきたのは、もふもふで丸々した白いうさぎ!
ミャーリ「うさ……うさぎ……!? って、なんか目がギラギラしてるにゃ!」
ウルワ「……ワフ……(ただのうさぎじゃない……!)」
うさぎはミャーリたちをキッと見据えると、前足でトントンと地面を叩き、くわえていた調理スプーン(どこから出した)を差し出した!
ミャーリ「……ま、まさか……料理で勝負ってことにゃ!?」
ウルワ「ワフーー!?(意味わからんけど乗るの!?)」
⸻
◆森の即興料理バトル、開始!◆
ミャーリは大急ぎでリュックの中をかき回す。
ミャーリ「パンくず、ベリー、きのこ、さっき採った山菜……あと隠し味にウルワが昨日こっそり盗んだ干し肉!」
ウルワ「ワフ!? バレてた!?」
即興でスープと焼き魚の香草添えを仕上げるミャーリ。
一方、うさぎ魔物も魔法で野草を空中に浮かべて、見事なサラダを作り上げていく。
ノーム(いつの間にか登場)「ぬうぅ、これは見ごたえがありますな……。しかし、あの魔物、調理の構えが素人ではない。もしかして“味覚属の獣種”……!」
ミャーリ「そんな分類あるの!?」
⸻
◆料理勝負、決着!◆
うさぎ魔物がミャーリの料理を一口食べ──
「……っ!」
目を見開いたかと思えば、**ぽふん!**と尻もちをついて、頭をぺこりと下げた。
ミャーリ「えっ!? ま、負けを認めたのかにゃ!?」
ウルワ「ワフゥ(すごい……)」
ノーム「どうやら、料理に惚れ込んだようですな……」
ミャーリ「てことは、配下になるにゃ!?」
ルイフェル(遠くから声だけ)「やったなチビ〜! ついでにウルワにも料理教えとけー」
ミャーリ「誰がチビだにゃーッ!!」
⸻
◆そして別れ──
うさぎ魔物は、満足げな顔でごろりと横たわり、地面に穴を作って自らもぐり始めた。
ノーム「……ちょうどよい時期。どうやら冬眠に入るようですな」
ミャーリ「え!? 配下になったばかりなのにもうお別れにゃ!?」
ウルワ「……ワフ(ちょっと寂しい……)」
うさぎ魔物「きゅるっ……」と一声鳴いて、落ち葉に包まれて眠りについた。
ミャーリ「……ま、また春になったら、料理勝負しようね……にゃ」
ウルワ「ワフ!」
アーシア「ミャーリさん、よくやりましたね〜!」
にこっと笑いながらアーシアが近づく。
ミャーリ「えへへ〜!褒められたにゃ!」
その瞬間、足元の石に気づかず──
ズベッ!
ミャーリ、盛大に転倒!
手に持っていた料理用ナイフが空を舞い──
スパッ……!
ナイフの刃先が、アーシアのほほをかすめた。
アーシア「……ヒィッ……」
ミャーリ「にゃああああああーーーッ!? ア、アーシア様ぁっ、ごめんなさいにゃあぁあ!!」
アーシア、頬をそっと押さえながら静かに──しかし腹の底から響くような低音で言った。
アーシア「……ミャーリさん? ナイフは……人に投げてはいけません。わかりましたかぁ〜?」
ミャーリ「は、はいぃ〜〜〜っ!! ごめんなさいにゃ〜〜〜〜!!」
アーシアの背後に悪魔的な後光が見えた気がしたのは、気のせいではなかった。
後ろを向いていたルイフェルは、肩を震わせながら**「ぷっ……ぶふっ……」**と笑いをこらえていた。
ルイフェル「(いや〜……聖女の顔じゃねぇぞあれは……)」




