表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/147

影を祓う光

敵が放った黒い衝撃波がミャーリたちを襲う!


「下がってろ、ちび!」

ルイフェルが素早く前に出て魔力の壁を展開。ズドォン!と爆音とともに土煙が舞い上がった。


「なっ……速い!」

ミャーリが驚きの声を上げる。


「ちびは下がってろって言っただろ!」

ルイフェルが怒鳴るが、ミャーリは一歩も引かない。


「う、うるさいにゃ! 私だって……聖女になるんだから!!」


その時、敵の“影のクルド”が指を鳴らした。

すると、闇の中から複数の魔物が現れ、地面を這うようににじり寄ってくる。


「数が増えましたな。姫様、ここはまとめて――」

ノームが言いかけた瞬間。


「――待ってください!」


アーシアが前に出た。


「私が……結界を張ります!」


「できるのか?」

ルイフェルが珍しく真顔になる。


「わかりません……でも、やらなきゃ誰かが傷つくんです!」


彼女は両手を組み、祈りの姿勢を取る。

光の紋章が足元に浮かび、徐々に大地を包み込むように広がっていく。


その光を浴びた瞬間──


ミャーリの体がふわっと浮き上がり、彼女の胸に何かが走った。


「っ!? な、なにこれ……あったかい……」


彼女の体から淡い光が放たれ、耳やしっぽの先まで金色に輝き始める。


「な、にゃにゃ!? これ……何にゃ!?」


ノームが目を見開く。「これは……まさか、“浄化の血”!?」


「光のクルド……本当に存在したというのか」

敵が初めて動揺する。


ミャーリは前に出て、大きく深呼吸する。


「にゃ……私はにゃ、逃げないにゃ!」


彼女の手から放たれた一撃の光が、影の魔物たちを一掃する!


「お見事ですぞ、ミャーリ殿!」

ノームが歓喜する。


「すごい……ミャーリさん……」

アーシアも目を潤ませながら笑った。


「ふん、ちょっとは見直したぜ」

ルイフェルも少しだけ嬉しそうに呟く。


敵の“影のクルド”は後退しながら、冷たい声で言い残す。


「……光の継承者。次は、消す。」


空間の裂け目とともに消えるその影。


戦いは一旦、終わりを迎えた――

敵を退け、辺りにようやく静けさが戻った。

風が草をなびかせる中、アーシアはミャーリに駆け寄る。


「すごいですミャーリさん!! あの光……まるで伝説の聖女みたいでした!」


「ふふふ〜♪ これのおかげにゃー!」


ミャーリはポンと懐から一冊の本を取り出す。


「そ、それはっ……!」


アーシアの顔が真っ赤になる。


『アーシア様自伝本!〜聖女はこうして修行する!!〜』


ルイフェルがぶっ…と笑いをこらえながら、横で肩を震わせていた。


「そ、それは教会の広報活動でして、私は決して目立とうと思って作ったわけではっ……!」


ミャーリはうっとりした表情でページをめくる。


「にゃ〜、この”朝の祈りは全力で声を出す”ってところ、すっごく参考になったにゃー!」


「~~~~ッ///」


アーシアの顔がさらに真っ赤に。

さらにミャーリがカバンをごそごそし始めた。


「そういえばにゃ、この本、サイン入り特装版とアクリルスタンドもあったにゃ!」


「ミャーリさーんっ!! やめときましょうね〜っ!!」


アーシアがものすごい形相で止めに入る。


「ひゃっ……わ、わかったにゃ! 今ちょっとだけ命の危険を感じたにゃ〜……」


ノームが空中をふよふよと漂いながら言う。


「……アーシア殿、人気は力の証ですぞ?」


ルイフェルはふっとため息をつく。


「まったく……これで本当に“強いやつ探しの旅”なんだよな?」


ノームがくるくると宙を回りながら応える。


「むしろ“聖女様巻き添えの珍道中”という方が正確かもしれませぬな……」


「そ、それは否定できません……!」とアーシア。


こうして一行は、次なる“強敵”へと歩みを進めるのだった――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ