ルイザの守り人
あめのはアーシアに頼まれて、ルイザの城と町、人々を助けるためにルイザの中心へと向かっていた。
「アーシアちゃんに言われて死神に任せたけど、大丈夫かいなー?
あいつ〜うちがバルムートのおっさんと戦ってる間、アーシアちゃんにくっついてたしなー……汗」
周囲を見渡すと、町中はすでに悪魔同士の争いで混沌としていた。
「おっと……町中はもう悪魔同士の争いやん。
ハエがベルゼバブのとこの兵士やなぁ〜」
瓦礫の上に立ち、あめのは空を見上げる。
「……あの方向では、まだ戦いが続いてる!
うちが逆転のクサビ打ったるさかい、待っときやー!」
彼女は胸元に指を当て、深呼吸を一つ。
そして、念話を全域へと放った。
⸻
「――あめのやでぇ〜! みんな、よう頑張っとるなぁ〜!」
最初に届いたのは、海ちゃんの澄んだ声だった。
『リーダー! 結界、維持できてます! でも海からも敵が多数現れて……!』
「よーやってる海ちゃん、結界ご苦労様やな!
もうちょいだけ頑張ってなー!」
『リーダー! 頑張る!!』
⸻
次に、天使ちゃんの明るい声が響いた。
『リーダー! あめのちゃん! コケないで! 私、頑張ってますっ!』
「あはは〜、頑張ってるみたいやん!
つよなったなぁ!! 泣き虫卒業やん!」
『リーダー! ありがとうございます!!』
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「次は〜……お、ミャーリちゃん。
結界、頑張ってるやん! 可愛いムードメーカー、
また癒してもらいに行ったるでぇ〜! もうちょい頑張ってな!
全部、かたづけるさかい!!」
通信の向こうから、泣き声混じりの返事が届く。
『あめのぢゃ〜ん!! 早く早く会いたいにゃ〜!!』
⸻
あめのは笑みを浮かべた。
「ありがとうなぁ! 一仕事したらそっちに向かうわ〜」
視線を上げ、玉座のある城の方角を見据える。
「――死神! バルムート、はよ片づけやー!!」
念話の先から、のんびりした声が返ってくる。
『ダル〜いけどぉ〜……了解〜♡』
⸻
空には黒い煙が上がり、遠くで雷光が走っていた。
それでも――仲間たちの声が響く限り、希望は途切れない。
やがて、あめのはルイザの中心地へと到着した。
「さぁー、ここから反撃や〜!!」
彼女は印を結び、強く叫ぶ。
「――ぜーたい!! 防御!!! 発動!!!」
ブウウウウンンーー!!!
轟音とともに、ルイザの町と城下全体を包み込む光の波動。
あめのの魔力が地脈を駆け抜け、全域を守護の光で覆っていく。
味方全員は防御の加護に包まれ、
それぞれが展開していた結界も強化されて、
大幅に負担が軽減されていった。
「おっと、ベルゼバブさんにも伝えんと!」
あめのは再び念話を送り、ルイフェルとの関係を簡潔に伝えた上で、
「絶対防衛魔法が効く範囲――ルイザ内に戻るように」と指示を送った。
⸻
ベルゼバブの声がすぐに返る。
『すごいねーあんた!! かなりありがたいよ!
戦いが終わったらギュッとしてあげるよ〜♡』
あめのは困ったように笑いながら、頬をかいた。
「ははっ……まぁ〜お互い召喚時間あったら〜……はははっ」
キツめなお姉さんが少し苦手なあめのだった……。
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肩のハンマーを軽く叩きながら、
あめのは夜空を見上げ、静かに呟いた。
「さぁ――ルイザの夜を、取り戻すでぇ。」
⸻ つづく
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