表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/6

最終話:幸せな日々

「……さあ、行こうか、ジュリエット」

「はい」


 差し出されたクロード様の手を静かに握る。

 優しい微笑みを見ると、いよいよこの日が来たのだなと実感した。

 一緒にゆっくりと歩き門の前に立つと、ひとりでに開かれる。

 そして、目の前には……。


「「おめでとうございまーす!!」」


 一面に広がる緑豊かな土地と、拍手してくれるたくさんの人と精霊たち。

 空には可愛い妖精が飛び交い、光の粉を撒いて祝福してくれる。

 世界樹が復活してからすぐに、精霊も妖精も力を取り戻したのだ。

 セシルさんも角がなくなり、人間みたいな見た目になっていた。


 今日は、クロード様との結婚式。

 シュナイダー王国の誤解も解けて、正式な和平が結ばれた。

 私たちを祝うように植物たちは陽光に輝き、お城も優しい雰囲気に一変した。

 ちなみに、メラニーや私の家族は参列していない。

 どうやら、宮殿の大事な植物を枯らしてしまったそうだ。

 私に対する不当な仕打ちも罪に問われ、今はみな監獄行きとなった……という文書が以前届いた。


 お城前の広場の奥には十字架と祭壇があり、なんとシュナイダー王と王妃、第一王子に第二王子まで参列していた。

 王様は結婚の誓いを立ててくれるとのことで、大変に恐縮しきりだった。


「ジュリエット様、クロード様、こちらへどうぞ」

「ああ」

「ありがとうございます、セシルさん」


 セシルさんの案内で、私たちは祭壇の前に歩く。

 王様が笑顔で迎え入れてくれた。


「ジュリエット嬢、クロード卿。本日は本当におめでとう。これほどめでたいことはない」

「全てはジュリエットのおかげです、シュナイダー王」


 クロード様と王様は笑顔を交わす。

 世界樹が復活してすぐに、シュナイダー王国と精霊領(クロード様の領地。魔王領から名称が変わった)は正式な国交が結ばれた。

 これからは、互いに有益な関係を築こうと決まったのだ。


「では、両者誓いのキスを……」


 王様の言葉を聞き、徐々に静けさが戻る。


 ――そうか……これから初めてのキスをするんだ。


 思うだけでドキドキして顔が熱くなるのを感じた。

 そっと隣の旦那様を見ると……ほっぺたが赤くなっている。

 クロード様は深呼吸し、真剣な目で私を見てくれた。


「ジュリエット……愛している」

「私もです……クロード様」


 チュッ……と唇同士が触れ合う。

 最初は、どうなることかと思った新しい人生。

 でも……。


 ――待っていたのは幸せいっぱいの毎日だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ