加入と真実?
私が硬直していると、かおるが芝生と私を交互に視線を動かした。彼女の目には何も異常のない芝生を見て怯えている私が面白くに見えたらしい。
初めは笑いをこらえていたが、我慢できずに吹き出した。それに続いて、風川も吹き出した。私は、たかが噂に怯えていたことに恥ずかしくなり、何処からともなく体全体が火照っていくのを感じた。二人がひとしきり笑い終えるのをただ、顔を手で覆って待っているしかできなかった。
2人が笑い終えると、私は無意識のうちに姿勢を正した。目の前には、さっきまで笑っていた青年、少女は居なくなっていた。代わりに絶対的な王者の雰囲気をまとった風川がいた。
側には、慎ましくも凛としているかおるがいる。強い意志を持っているその瞳に私は圧倒され、1歩後ずさった。空気は、緊張で張り重々しい。そして、風川が口を開いた。「月夜には、僕たち・クローバーに協力して欲しい。」決して軽くなく、それでいて命令ではない。忠実な頼み事だった。
私が答えそこねていると、追い討ちのごとく条件を提示し始じめた。「もちろん、ただでなんて言わない。前金として、100万円用意する。そして、働きに合わせて給料も弾ませる。」私が、黙っていると、風川は条件の提示を続けた。
「君がさっき見た光景の真実も教える。だが、命の保証はどこにもない。さあ、君はどうしたい?」私の頭で警戒アラームが鳴り響く。だが、それと同じいやそれ以上に好奇心が湧く。
だが、クローバーに協力するということは国に反逆することに値する。頭ではそれがわかっている。でも、この2人を見ていると協力したいと強く思う。
風川とかおるの目には強い意思が宿っている。この上なく生き生きとした瞳だ。私もクローバーに協力したらそんな目になれるだろうか。この、退屈な日々から抜け出せるのだろうか。私は覚悟を決め、口を開いた。
「私は、真実が知りたい。 君たちと一緒にこの国と戦いたい。」
私がそういうと今まで待機していたかおるがペンと紙を差し出してきた。私が、首を縦に振ることはお見通しだったらしい。その紙には、「月夜みかはこの国に革命が起こり、変わるまでクローバーと共に闘い続けることを誓う」という内容だった。
私は、納得しサインをした。この時にはすでに片足クローバーの闇に足を突っ込んでいかも知れない。
私がサインをし終えると風川が握手を求めてきた。
力は意外にも強く、手も大きかった。何も言っていないが、「これからよろしく頼む」と言われている気分になった。そして、かおるからはクローバーの仲間を励ましす時、命を預け合う時の挨拶を教えてもらった。
挨拶はこうだ。人差し指中指をクロスさせるフィンガーズ・クロスドサインだ。意味は幸運を祈る事・神に許しをこう事だ。また、クローバーの一員であることを示す。
私は一度やってみる、そしてつぶやく「我らクローバーに幸あれ」と。なんだか、気恥ずかしくなったが、同時に一員であることを認められたみたいで嬉しかった。
そうこうしていると、時間は10時を回っていた。私達は、解散することになった。
そして、一週間が過ぎた頃に風川から連絡が来た。「近いうちに初仕事がある」とそれから更に2週間が過ぎた。流石に騙されたと思った頃にかおるから連絡が来た。
「今夜の8時あの場所で待っている」と。私は、やっと来た!と舞い上がった。今回は、8時の5分前に芝生前の公園に着いた。
風川とかおるは、きっちり8時丁度に来た。今夜も、2人の目には強い意思があった。そして、着くなりかおるが口を開いた。「この街、seniors街には私たちのようなクローバーあるいは、国の諜報機関の人間がスパイとして送り込まれている。」かおるは、高くも低くもない感情のこもらない無機質な声でつげた。そして、続ける。
「私達の目的はみかも知っている通り、政府に反逆することだ。この街に潜入にいるのは、政府に怪しい動きがあったからだ。この事については後々連絡する。今大切なのは、政府の諜報官だ。」空気がに張り詰める。風川は堂々たる雰囲気を纏う。私も姿勢を正す。
「月夜が見た奇妙な光景にも関わりがある。単刀直入に言うとあの芝は今までに突然死してきたもの達だ。」私は、開いた口が閉まらないくらい驚いた。そして、芝をに目をやる。あの日以来、近づいてはいないが、何か変化があったようには見えない。意味は、わかるが頭が追いつかない。