警察からのメッセージ
あれからは店では事件がおきずに一ヶ月ほど過ぎた。皆が事件のことを忘れ始めて穏やかな日々を過ごしていた。そんな日が続くと思っていたが、大きな間違えだった。あの事件が再び起こったのだ。
しかも、3日連続だ。何かが怪しいと勘付き始めたのは私だけではなかった。それに私は、死者の背中から緑色の植物みたいなつたが生えてくるのを見てしまった。かおるにも話したが、彼女は見ていないらしかった。
そして今、私とかおる、風川は警察署にいる。理由は、先日の事件についてだ。私とかおるは目撃者として、風川は店舗責任者代理として来ている。
部屋は重々しいく、緊張感がある空気に覆われている。風川の正面に座る警察が1枚の紙を机の上にすべらせながら口を開いた。
「この事件について一切多言しないこと。追求しないこと。この2つをお約束していただければこの金額を寄付の形でお渡しします。」
私達は紙を覗き込み、驚愕した。その紙には0が1、23…7,8個並んでいた。
私は思わず「0が多くないですか?」と言ってしまった。警察は感情の読み取れない表情で「人は信用できませんから。」と言いながらまたしても一枚の紙を机に滑らした。
その紙には誓約書と書かれていた。私達は半ば強制的に名前とこの事件を他言しませんと書いた。最後に風川が書き終えると「ではこれで」と席をたった。
私達も席を立ち、ドアノブに手をかけると警察が「いつでもみてますから。破ったら命は保証できません。」と目が笑ってない笑みで言われた
その時私達は初めて監視カメラの本当の意味を知った。それからしばらく帰路についてもその言葉の恐ろしさに誰も声を発しなかった。
もう少しでマンションに着くという頃に風川が口を開いた。なんかすごかったね。どこまでセーフなんだろう。」と面白がるような口調で言い続けて、「一億か〜。何に使おう、服?アクセサリー?二人はどうするの?」と聞いてきたがどちらも返事をできなかった。
街灯に照らされた彼は見たことのない満面の笑みで、この状況を面白がるように言った。
私の体が赤ランプに点滅している。おそらくかおるも同じだろうと思いかおるの方に目をやると顔が青ざめ、息をするのも苦しそうだった。
これはあとから聞いた話だが、かおるは虐待を受けて育ったらしく人からの憎しみや悪意などの負の感情にはとても敏感になるらしい。
それから一週間が過ぎると警察から約束の寄付が届いた。
あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします