第二話 友人と事件
すっかり安芸のペースに乗せられた私は、安芸と2人で昼食を取ることになった。その頃には懐かしい友人のことは頭の隅に追いやられていた。彼女とは趣味が同じという事もあり話が盛り上がった。お昼休みの終わりにはかおる、みかと呼び合う仲にまでになった。
それからは目まぐるしい毎日を1週間ほど送った。その間にも懐かしい友人と再会することはなかった。かおるとはチームが同じなので、ともに行動することが多くなり、お互いに心を相手に開け始めていた。話す内容も世間話から家族のことや恋人などプライベートなことに変わっている。
そして、ときはこのプロジェクトが始動し始めて3年が過ぎた。その頃になるとプロジェクトの仲間とはただ一人を除いて随分と仲良くなった。特にかおると私と風川との3人での行動が増えた。だが、懐かしい友人とはあの会議以外顔を合わせることがなかった。
そして私達は今引っ越しの最中だ。今日はやっと街に私達、従業員が住むマンションが完成した。ここで働くものは強制的にここに住むとこになる。ちなみにメンバーのうち街の中に入ったことがあるのは島田を含めた3人だけだ。わたしとかおるは入ったことがないので楽しみにしていた。
待ちに待った引っ越しは想像以上に疲れた。前日荷物は運んでもらっていたので、身一つで来たが街に入るのに2時間もかかると思わなかったからだ。理由として、警備が厳重すぎるからだ。はじめに持ち物検査から始まり、警察によるボデイ検査までした。街に入ってもそこら中に監視カメラがあり常に視線感じながら新居までたどり着いた。
マンションはオートロック式の15階建てだ.部屋は一人暮らしにしては広い25畳の2LDKのつのつくりだ。マンションの部屋は事前に話し合いで決まっていた.私は、3階の角部屋で隣はかおるが住むことになっている。
私達が部屋につくと部屋の前に草壁がいた。草壁とはこの3年でだいぶ仲良くなった。かおるも入れて3人で遊びに行くほどだ。かおるが密かに草壁に恋心をいだいているのは私とかおるとの秘密だった。
草壁が私たちに気づくと「遅かったね。急で悪いけど今日の13時から会議するから。」というと「俺は用事あるから」と小走りで行ってしまった。草壁は仕事とプライベートのオン・オフがしっかりしているため、仕事中はどこか距離がある。
それからは、1週間後の開店に向けて会議をし、現場を見、アルバイト志望の高齢者との顔合わせをしていると、1週間は過ぎていった。
そして、開店当日になった。草壁から手短に挨拶が終わると開店となった。私たち以外は高齢者ということもあってかいつもと違い穏やかな時間が店内には流れていた。
アルバイトの人も飲み込みはゆっくりだが、お客さんとの会話が弾み見ているこっちも楽しくなる。この日常はそう長く続かなかった。
開店をして3週間が過ぎ,街に馴染んできた頃に事件が起きた。お客さんが突然倒れたのだ。救急車を呼んだ頃にはすでに遅く、息を引き取っていた。
その後風の噂によるとこの事件は珍しくないらしい。この一カ月で少なくとも15件以上が同じ状況でなくなくなっている。その人達は,仕事をしていないと聞く。
どうやらこの街は何がありそうだ。
毎月第1水曜日と第3水曜日の20時に投稿します。気が向いたらたまにそれ以外で投稿するかもです。