初任務と幼馴染の本性
「君の素性を少し調べさせてもらった。君と島田は所謂、幼馴染なんだね。その、島田のことなんだ。」私は、島田の名前を聞いて、唾を飲む。最近の島田には、不審な点が多い。これで、本当の彼に近づけるのだろうか。
私は、そんな淡い期待を持って彼の言葉の続きを待つ。彼は、一言づつ、噛みしめるように言った。
「彼、島田は、警察の子飼いなんだよ。」私は、理解できなかった。言葉の意味は、理解できるのに、脳がそれを拒んでいる。
風川は、そんな私を静かに見守っている。私は、深呼吸をする。自分を落ち着かせるためにだ。数回すると、私は落ち着きを取り戻した。その様子を見た、風川は話の続きをした。
彼の話は、こうだ。警察は、私達、クローバーがこ
の施設に潜り込んでいる可能性があると思っている。なので、島田を送った。
彼は、自然に近づき、クローバーを炙り出す為に来た。彼の素性と行動を調べ、仲間がいるか調べるのが任務らしい。
だが、私はそこで疑問を持った。彼は、私が知っている限り警察を毛嫌いしている。それに、大学卒業後、すぐにハリスに就職したのだから。
私は、1度思考をやめて風川の言ったことを承認した。
それからは、島田に今まで以上に近付いた。周りからは、付き合ったのかと聞かれるほどにだ。その御蔭で、彼の知らない面を多く知れた。
例えば、彼は意外にも甘党で、パフェを2つペロリと食べてしまった。更に、私の食べてるパンケーキをほしそうに見ていた。私は、彼にパンケーキ一口分けてあげた。私が使っていた、フォークで渡すと、間接キスを気にして赤くなっていた。
私は、モテる彼が慣れていないことに、驚いた。そして、あまりにも不意打ちで少し胸が鳴ったのは、秘密だ。それからも、休みのたびに私は、彼と出かけた。
彼には、不審な点はなく始終優しかった。私も、そんな彼とのお出かけを楽しみにしていた。そして、今回は、彼の家で遊ぶことになった。
私は、歓喜した。やっと、任務ができること、そして彼と部屋に呼ばれるほどに仲良くなれた事に。私は、その日十二分な程におめかしをした。そんな私を見た彼は、「綺麗だ」と囁いてくれた。
私は、嬉しくなった。それから、彼の部屋ではゲームをした。ゲームをしてると、私のスマホが鳴った。相手は、風川からだ。
そこには、「今日の報告を楽しみにしている」とだけ書かれていた。私は、怖くなったが、それよりも島田が怖かった。彼は、私が風川からだと言うと、一気に眉をひそめた。
そして、低い声で一言。「消さなければ」と言った。私は、今まで一度も見たことがない、彼の怒りが怖かった。
私は、その瞬間昔の事を思い出した。私の周りには、いつも島田以外の男性がいなかった。友達からも、
「島田さんは、みかちゃん以外に怖い。」や、「異常にみかちゃんに執着してる。気をつけたほうがいい」と言われていた。
私は、当時笑い飛ばしていた。彼が、そんなはずないと、私は怖くなり、トイレに駆け込んだ。