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東京 12
宿の前の道端で人々の好奇の目に晒され、とにかくこれ以上目立つわけにはいかないと立ち去ろうと歩きだす。
もう十分目立ちすぎた。
警察などに見咎められて事情を聞かれたら今度こそ全てが水の泡になってしまうのだから。
足早に立ち去ろうとすると、声をかけられる。
「あんた、あそこの女将に騙されたんだろ」
同じ年頃の女の子だった。
ただ薄汚れた着物とボロボロの草履でひどく痩せこけている。
「あそこの女将はここいらの地廻りとつきあいがあって相当悪どい女なのさ。
あたしはあの女将の裏にいる男に恨みがあってね。なにか握ってやろうと思ってちょくちょく探ってるんだけど、あんた何された?」
呆然としたまま、私はただお金をとられたのだと言った。
「やつらは裏に強いやつがいるからたまに飛び込みの鴨を見つけると毟り取るのさ。災難だったね。どこか行くあてはあるのかい?」
私は首を振った。彼女は着いてきな、と言ってくれた。
この子に着いて行っていいのかわからない。
でも、今の私には選択肢がなかった。




