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木蓮荘  作者: 立夏よう
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木蓮屋敷 11

綾さまは身体が弱く外には出られないと言われていた。

だが山口先生は前からその話に懐疑的で、よくちゃんとしたお医者様に見せるべきだと主張していた。

綾さまは嫌がってきた。


「いいの。わたしはお外なんて出たくないから。一生この屋敷でいとと一緒にお花見をするの」


お花見と言っても屋敷をぐるっと囲んでいるのは桜ではなかった。

綾さまのお祖父様がお好きだったからと植えられたのだという白木蓮がこの屋敷をぐるっと取り囲んでいる。

一年のうちわずかに二、三日しか咲かないこの白木蓮が咲く日を綾さまは心待ちにしていて、

その日は日の当たる南の座敷で過ごすのだそうだ。

この屋敷は別名を木蓮屋敷というのだということは出入り業者から聞いた。

野崎様、木蓮様、木蓮屋敷、などと呼ばれているらしい。

その時期が近づいてくると山口先生は言った。


「毎年あの南側のお座敷で日に当たって過ごしてもなんともないのだったら、けして日に当たることが悪いなんてことありませんよ。前の医者の見立て違いでしょう。綾さまもお屋敷に閉じこもってないで少しはお外に御出になられたほうがよいのですよ」


綾さまは先生の言うことはまるで気にもとめない様子で軽く聞き流していた。

お花見が楽しみでそれどころではなかったのだろう。


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