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イルン幻想譚  作者: RU
追われる少年
77/122

17.ライヴァル【3】

 アルバーラがクロスの存在を知ったのは、自身と同じく光輝石(スヴァリン)色名付き(ネームド)に変えた(もの)がいると教えられた時だった。

 向こうが透けて見えるほどの光輝石(スヴァリン)は、その属性(エレメント)ごとに色名付き(ネームド)と呼ばれ、アルバーラは紅光輝石(ラルドスヴァリン)を顕現させた。

 そしてクロスは、白光輝石(フィルトスヴァリン)だったと言う。


 暗黙の評価として、魔導士(セイドラー)は治癒系よりも攻撃系、魔力(ガルドル)はより高い(もの)(ほう)が上と見られている。

 属性(エレメント)に上下は無いと謳われているが、透明度の高い光輝石(スヴァリン)を発現していても、紅光輝石(ラルドスヴァリン)より白光輝石(フィルトスヴァリン)が優秀と見られがちな風潮もあった。

 自分と同じか、もしくはそれ以上の魔力(ガルドル)を持つ可能性のあるクロスを、アルバーラは最初非常に警戒した。

 自分の幻像術(ブリンディ)を看破した(もの)は、今まで一人もいなかったが、それは単に周囲の(もの)が自分より魔力(ガルドル)の低い、フシ穴のような目を持った(もの)ばかりだった所為かもしれない…と思ったからだ。

 しかし、実際に顔を合わせたところ、クロスはそれといった様子を見せなかった。

 故にアルバーラは、自分の(じゅつ)の技術力に自信を持ち、クロスを惑わし騙しおおせるのだと、確信した。


 しかしある時、アルバーラはクロスと視線が合った。

 アルバーラの幻像術(ブリンディ)では、スラリと背の高い、プロポーションの整った美貌の女に見えているはずであり、大概の(もの)はアルバーラと話す時、視線はアルバーラの顔よりも遥かに上を見ている。

 最初は偶然…というか、人によっては、幻像術(ブリンディ)で作った豊満なバストを凝視する失礼な(もの)も存在するために、クロスもその手合かと思った。

 だが、胸はせいぜいアルバーラの頭の辺りにあり、しかも視線は度々合う。

 というか、クロスがアルバーラになんらかの物言いをする時、しっかりとこちらを見据えているのだ。

 つまりそれは、クロスには真実の姿が視えている…と言うことになる。

 視えているのにずっと、視えていないふりをして、容姿を誤魔化している自分を内心で嘲笑し、見下していたのだ。

 そう思った瞬間、アルバーラの内にあった鬱屈した憤りは、クロスに向かって凝縮した。

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