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イルン幻想譚  作者: RU
追われる少年
36/122

2:適材適所【3】

 あれから、数時間(のち)……。



 宿の部屋でマハトが休んでいると、扉に何かがぶつかったような物音がしたので、開いてみるとそこにはフラフラのクロスが立っていた。


「マハしゃんゴメ~。身許、わきゃらなきゃったよぉ~」

「うわ。クロスさん、大丈夫か?」

「でぇじょぉぶ。ちょと…ホントにちょとだけ…ね。飲み過ぎちゃっ…てぇ」


 情報を得るために、やってきた冒険者(アドベンチャー)や商人に酒を奢ってまわったら、気を良くした商人に返盃された。

 マハトに言った通り、酒は決して嫌いではないが、特に強くもない。

 結果、引っ込み思案のクロスは、グイグイくる商人からの返盃を断れず、量を過ごしてしまった。


「子供を探している人はいなかったのか?」

「とりあえずぅ〜、子連れのチャラバンなんて、ここ最近は見たことにゃいってぇ……」


 マハトに、なんとか仕入れた情報を伝えようと、呂律が回らず噛みまくりながらも、クロスは仕入れた情報を伝えた。

 この辺りは、非常に濃い魔素(ガンド)が滞っていて、不毛の砂漠となっていること。

 そのため、普通の砂漠以上に通過が困難で、しっかりと前準備をせずに横断しようとすれば、魔障(ガルドリング)しかねないこと。

 当たり前のことながら、途中に補給ポイントは一切なく、あるのは廃墟と化した遺跡だけであること。

 この町は砂漠を渡るための、最後の補給ポイントであり、向こうから来た(もの)たちの最初のオアシスであること。

 最近、町の近くでサンドウォームの目撃情報があり、砂漠を渡る(もの)に注意の勧告がされていること…などだった。


「しょもしょも、しゃばくを子連れで渡るなんて、しょーきの沙汰じゃにゃいって話らった……よ…」


 そこまで話したところで、クロスはベッドにばったりと倒れ込む。


「酒は毒だと教えられたが、あながち嘘でも無いのかもな…」


 マハトはクロスに毛布を掛けてやりながら、呟いた。

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