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イルン幻想譚  作者: RU
ep.3:迷惑な同行者
119/122

11.絆【1】

 マハトは、修道院で身に付けた礼儀や教養によって、理性が働いている間は行儀正しく規律に従い、秩序や作法に則った行動を好む。

 だがアルコールによって理性のタガが外れた今、タクトの言う通り、マハトが生まれ持った "貪欲" な本質が剥き出しになっていた。

 自身の剣技に磨きをかけ、更なる高みを望むように。

 たかが炙った肉ひとつとっても、味わいや焼き加減に拘りを持つように。

 魂融術(シームル)によって新たに知った快感と、それに浸る歓びを、理性の蕩けたマハトの心身は、タクトに向かって激しく要求してくる。


「修道院育ちのお嬢様とも思えぬ、はしたない振る舞いじゃの」


 タクトは、契眷属(フェストゥーカ)を持たずに生きてきた神耶族(イルン)である。

 それはタクトが特別に孤独に強い性格だった…というよりは、タクトが特別に警戒心の強い性格だったからだろう。

 契金翼(エヴンハール)と成る(もの)は、厳しく選ばなければならない…と説いたのは、タクトの師匠である守護者(ケルヴィンガー)だった。

 しかしその一方で、独りで生きるのはとても寂しいことだとも言い、最良の契金翼(エヴンハール)を選ぶのは難しいかもしれないが、持つべきだとも言った。


 同胞が連れている契眷属(フェストゥーカ)は、人間(フォルク)人間(フォルク)の社会に紛れ込んでいる獣人族(セリアンスロウ)が多い。

 だが神耶族(イルン)の歴史の中でも最も波乱であった、人間(フォルク)との抗争の時代に思春期を過ごしたタクトは、人間(フォルク)に対してかなり偏った嫌悪感を持っていた。

 あんな卑怯で狡猾な、言ってしまえば下等とも言うべき(もの)たちは、その場で利用するだけならともかく、わざわざ手元に置きたいとは思わない。

 もし自分が契金翼(エヴンハール)を選ぶならば、もっと優秀な妖精族(エルフ)魔族(ディアブロ)、せいぜい心根の真っ直ぐな獣人族(セリアンスロウ)を迎えたい…と、常々考えていた。

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