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イルン幻想譚  作者: RU
ep.3:迷惑な同行者
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6.歴史【2】

 いくつかの遺跡を回ったところで、タクトが言った。


「どうやら儂の記憶だけでは、貴様のすごろくのゴールには辿り着けぬようじゃな」

「歴史を見てきたなら、場所も知っているんじゃないのか?」

「興味がなかったと()うておるじゃろ。先日のように、わざわざ出掛けてアルレミの遺跡見物なぞしても、微塵も面白くないからの」


 もっとも()った先の町が発展していて、美味い屋台でもあれば楽しいが…と、タクトは付け足した。


「では、どうする?」

「聞いて回るほか、あるまい。酒場に出かけて冒険者(アドベンチャー)どもの噂を仕入れ、場合によっては他種族の里へ赴いてみるのもよかろ」

人間(リオン)の文明のことを、他の種族に聞くのか?」

「フォルクとは、(かず)の多いものを指す古代語(フォニルオロ)じゃ。むしろ、人間(リオン)と完全に無縁な種族を見つけるほうが、よほど難しかろうよ」

「そんなものか?」

「それに、貴様は時々『壊れている』と()うおったが、アレは "壊されて" おったのだぞ」

「そうなのか?」

「当然であろ。魔力持ち(セイズ)を恐れた持たざる者(ノーマル)たちは、その恐怖を迫害へと変え、ついには魔導士(セイドラー)すら追いやっておるではないか。魔力(ガルドル)を用いて牛耳っていた一族に、恨みや妬みを抱かずにおると思うてか?」

「確かに、そうだな。それが真っ当な恨みであろうが、逆恨みであろうが、どっちにしろ政治的な立場が危うくなった治世者となれば、その(もの)たちが暮らしていた家屋敷や、使っていた施設を打ち壊す可能性もあるものな」

「うむ。と言う(わけ)で、儂は時々情報収集に出かけることとする。酒に弱いオコサマなぬし(・・)は、大人しく留守番をしておれよ」

「一言、余計だ」


 カカカと笑うタクトを、マハトは嫌な顔で見返した。

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