二十六章 再会の誓い
二日後。
「やっぱり、行くのかい?」
荷物をまとめているところにやってきたのは、ゼルだった。エリスもいる。
「ああ。俺はもっと、色んな料理を知りたいんだ。色んなものを、色んな味を見て、極めたい。店が直って、街が復興するまで……俺は旅に出るよ」
「……戻ってきてくださいね。じゃないと、ウチ……じゃ、なくて、マルグリッドお姉様が悲しむので」
「そのつもりだよ。ここには、俺の家族がいるからな」
刀と銃を腰に巻きつけ、俺は半壊した店を出る。
と、そこには荷造りを終えて、背負っているサルトビの姿。
「サルトビさんも行くのか?」
「はい、休暇がもうすぐ終わりそうですので。レン殿、くれぐれもお気をつけを。フウカお嬢様の支えになってください」
「ああ。元気で」
集合場所は噴水広場だ。噴水は壊れず、新鮮な水を滾々とあふれさせている。
今度は見慣れた顔。ロッタとその彼女であるレベッカの姿だった。
「……ロッタ君」
「大将! ……オレ、強くなるよ! 大将みたいに、ドラゴンと戦えるようになる!」
「頑張れ、ロッタ君。君ならいけるさ。レベッカちゃんも、ちゃんとロッタ君を支えて。二人一緒にいれば、間違うことは少ないはずだからな」
「はい、師匠! お料理も、頑張ります!」
「帰ってきたら、また教えてあげるよ。んじゃ、元気で」
噴水広場には、四人の姿があった。
ミリー、リリー、フウカ、マギー。各々が俺を見つけ、笑みを浮かべる。
「来たな、レン」
「ああ。……ミリー達はどうするんだ?」
「アタシとリリーは、一旦故郷に戻るぜ」
「ここを拠点にしてたから。街として機能しなくなった今、居る理由がないのよ」
「……フウカは?」
「まぁ別の田舎にいって、のんびりするっス」
「マギーは?」
「うちは他の教会に行こうかなー、って思ってますぅ」
「……そっか。バラバラになるのか」
「違うよ、レン」
ミリーが笑う。
「またこの街が復興したら、集まるんだ。レン、お前はアタシの家族で、『怜悧の剣』の一員だ」
「あれ? 俺も頭数に入ってたんだな」
「おう、入れてやった。……だから、約束だ」
拳を突き出すミリー。リリーも、フウカも、マギーも、拳を突き出す。
俺も拳を突き出して、全員の拳が重なった。
「……約束だ。またここに、ガレオンに戻ってくるぞ」
「ああ!」「勿論!」「はいっス!」「はぁい!」
そして、全員が一斉に踵を返す。
俺は振り向かなかった。きっと皆もそうだ。
また会える。根拠のない確信が、俺をそうさせる。
バイクを取りに戻ると、ヴォルフの姿が。
「行くか、レン。この世界を見に、な。オレは強い敵と戦いてぇ」
「俺は見知らぬ料理を知りたい」
「さて、当分は二人旅だ。メシの確保は?」
「保存食を大量に作っておいたよ」
「さっすが。……んじゃ、行くか」
俺はバイクに跨る。その後ろに、ヴォルフも乗る。
「さあ、飛ばしていきますか! 行き先は?」
「決めてねぇ! 思うがままに、ぶっ飛ばせ!」
「あいよ!」
俺はアクセルを全開にして、街を飛び出した。
――俺には家族がいる。
血も繋がってないし、離れているけど。
でも、見えない絆というものが、あると俺は思う。
だって、家族と認める人がいるだけで、こんなにも心が温かい。
俺達の人生という名の旅は、まだ始まったばかり。
いつかまた、会える。家族と認めた者と。
それを信じて、俺は進む。
まだ見ぬ未来へと。




