第4話 休日デート〜花姫&美月姫編〜(1)
「それじゃ最後はハグをしよう!」
プリクラのブースの中でそんな無茶振りを言う機会の声が鳴り渡る。
「ほら!ギュッとおいで花姫様!」
美月姫姉さんは満面の笑みで手を胸の前に広げてスタンバイしている。
「ううぅ…………(照)」
どうしてこんな状況になっているかというと今日の朝まで遡る………………。
「花姫様!デートをしよう!!」
「はぇっ!?」
土曜の朝、珍しく早起きしてきた美月姫姉さんにいきなりお誘いを受けた。
普段の週末は私以外は昼近く(美月姫姉さんはいつもだが)に起き、それからみんなでお昼を食べそれぞれが好きな事をしていることがほとんどである。
「で、デートって、い、イキナリ何を言ってるの!?」
私は少しパニックになりながらもドキドキを抑えつつ、でも少しの嬉しさもあって裏返った声で聞き返してしまう。
「そんなに照れなくてもデートはただの言葉の綾だよ〜wちょっと買い物と用事があるから付き合ってって話。ランチも奢るし一緒に行かない?」
そういう事か…………、全く紛らわし言い方をする姉である。私のドキドキを返してほしい。
「私は今日暇だからいいよ。どこ行くの?」
でも何だかんだで美月姫姉さんと出掛けるのは久しぶりなので内心ワクワクはしている。
「ひとまずは近くのエオンモールかなぁ。1時間後くらいに出発できそう?」
「りょーかい。それじゃ準備するから9時半にリビングでいい?」
「おーけよぉん!」
私は美月姫姉さんにそう告げると早足で自分の部屋に向かった。
部屋に入るなりクローゼットとタンスを全部開けて早速着ていく服を見繕う。
「せっかくのお出かけなんだし可愛い服がいいよね?………………でも張り切りすぎてもぎゃくに浮いちゃうかなぁ………………。」
あれでもこれでもない、次々と服を出してはベットに投げてを繰り返し、私らしくない散らかった部屋になってしまう。
服だけでなく髪も整えたいし、メイクだって少しはしていきたいのだ、とてもじゃないが1時間で間に合う気がしない。
「あぁぁ〜!どうしたらいいのー!!」
私は周囲に聞こえないギリギリの声量で部屋の真ん中で叫ぶのだった。
〜50分後〜
「な、何とか間に合った…………。」
部屋の鏡で再度全身を確認し安堵の溜息をつく。
前に春香と服を買いに行った時に、春香から絶対似合うと太鼓判を押されて買った白のロングワンピースに淡い緑色の薄いカーディガンを羽織るといったコーディネートに落ち着いた。髪型も普段のポニーテールからツインテールに変え、お気に入りの可愛いピンクのシュシュでまとめ、メイクも女子高生らしく派手すぎず控え目なナチュラルメイクに仕上げた。
「うん、これなら変じゃないよね?」
もう一度鏡の前でくるりと一回転をし、おかしな所がないか確認をする。
そんな事している内にふと時計を見てみると9:25を指していことに気づき、
「ヤバっ、もうこんな時間!」
と急いでショルダーバッグに財布やハンカチといった荷物を詰め、足早にリビングへと向かった。
「美月姫姉さんごめん、待たせた?」
リビングに着くと既に美月姫姉さんは準備を終え、ソファでスマホをイジりながら待っていた。
「全然待ってないよ〜。私もついさっき準備終わったところだしw」
そう言って美月姫姉さんはスマホから顔を上げ私を見ると、
「ありゃ?ちょっとコーディ被っかな?」
とソファから立ち上がって私の服装を見つめる。
そこで私も美月姫姉さんの全身の服装を見たのだが…………、
美月姫姉さんは黒と白を交えたゴスロリチックなロングワンピースに普段おろしてる髪をピンクのシュシュでツインテールに纏めたコーディネートだった。
ワンピースはお互いの性格や好みで種類は全く違うものだが、それ以外はほぼ同じような格好だ。
しばらく2人はお互いを見つめ合った後、
「ぷぷぷ…………、まるでちょっと変わったペアルックみたいじゃんw」
「かぁァァァ(照)」
美月姫姉さんは吹き出して笑い、私はあまりの恥ずかしさに顔を赤くしてしまう。
「わ、私!服変えてくる!!」
「え〜いいじゃんそれで!面白いしこのままで行こうよw」
美月姫姉さんは部屋へ戻ろうとする私の腕を掴み、スマホを取り出しパシャと1枚写真を取り出した。
「なんでこのタイミングで写真を撮るの!?」
「ん〜、照れてる花姫様が可愛からついw」
「かぁァァァ(照)」
更に一層私は顔を赤らめ私はその場にうずくまった。
それから美月姫姉さんにあれこれと色々な事を言われ、言いくるめられた私は観念して美月姫姉さんとペアルックぽい服装で出かけることになったのであった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
次回は第4話の続きとなりますので、楽しみにしていてください。
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