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三姉妹トライアングル  作者: 微糖 燦
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第7話 ヤンキーの桃園さんとギャルの山吹さん(1)

美月姫姉さんとショッピングに行ったり、陽菜乃さんの職場にお邪魔したり、姉妹で女子会やらパジャマパーティーをした休みを過し、私は少し疲れが残ったまま月曜日を迎えた。

それでも普段通り姉さん達の朝食と昼食(美月姫姉さんは起きてこなかったので昼食のみ)を作り、雪姫姉さんは会社へ、私は学校へと向かった。

私の通っている高校(因みに雪姫姉さんと美月姫姉さんも同じ高校を通っていた)は家から歩いて30分程のところにある。

歩いて30分の距離なら自転車通学の方が楽なんじゃないかとよく周りから言われるが、困った事に私は自転車に乗るのが苦手だ。そもそも運動自体があまり得意ではなく、かといってバス通学も可能だが、節約と少しは体を動かしたいという気持ちから、私は歩いて通学している。

学校までの通学路を歩いていると同じ制服を来た学生や近くの小学生や中学生、出勤途中の大人など色々な人とすれ違う。長いこと同じ通学路を歩いていれば何人か見覚えのある人もおり、ちょうど曲がり角から知っている人…………、もといクラスメートが視界に入る。

彼女は校則でギリギリ許されそうな茶髪(ウチは校則がかなり緩く、身なりは派手すぎなければ一応は問題ない)にこれまたパンツが見えちゃうんじゃないかと思えるような短さに改造しているスカート、上のブレザーはボタンをつけず羽織るだけにしており、リボンも胸元まで下げてボタンを明け、同年代と比較して大きい胸をアピールするという、いかにもギャルって感じの見た目をしている。

そんなギャルこと山吹やまぶき つぼみさんは周りの注目を浴びながら、凛とした風貌で通学路を歩いている。

しかしクラスメートとはいえ普段あまり話をするような仲でもないので、特に追いついて挨拶しようとは思えず、彼女の30メートルほど後ろを私は歩いた。

暫く歩き学校前のバス停に差し掛かった所でちょうどバスが来た。バスからは続々と生徒が降り、中から春香も降りてくる。

春香は私にすぐ気付き、私の方へと駆け寄ってくる。

「おっはよ〜花姫!」

「おはよぉ〜春香。」

春香の元気な声とは対照的に私は少し気だるげな調子で挨拶を返す。

「あれ?ちょっと元気ない?」

と心配そうに春香は私に尋ねてくる。

「うーん、ちょっと土日色々とあってねぇ。…………、まぁ詳しい事は後で話すよ。」

とな感じで少し立ち止まって春香と話をした。

そして2人で学校へと向かって歩き出そうとすると、バスから最後の生徒であろうか、ゆっくり歩きながらかなり目立った女子生徒が降りてきた。

彼女も先程の山吹さん同様に私や春香のクラスメートであり、名前は桃園桜ももぞの さくらという。そして見た目は山吹さんがギャルなら桃園さんはヤンキーといった感じだ。

桃園さんも山吹さんと同じくらいスカートを短く改造し、上は大きすぎて手が半分ほど隠れてしまう裾の長いシャツに薄手のカーディガン、そしてボタンは第二ボタンまで外して大きな胸が強調されている。髪は黒髪で前髪をヘアピンでカッコよくアレンジし、何やら棒付きの飴を加えている。(パッと見タバコの様に見えるから一瞬ビックリしてしまう)

桃園さんはバスを降りるとちょうどバス停で立ち止まっていた山吹さんに合流し、2人は

「おーす。」

「よっ!おっはー。」

と挨拶をして並んで歩いて行く。2人はいつも大体一緒につるんでおり、一部の人達からは怖いとか言われて避けられたりしている。

「いや〜、あの二人はいつ見てもカッコイイよね!なんかちょい悪って感じだし、制服の着こなしもオシャレだしね〜。」

と前方にいる山吹さんと桃園さんを見て春香は呟いた。

私も春香も2人のことを特に怖いとも思っておらず、むしろそのカッコ良さに憧れている節がある。……まぁ、私の場合はカッコ良さより2人のスタイルに憧れているのだが。

しかし学校もといクラスでの山吹さんと桃園さんは、常に2人の世界みたいなのを形成しており、こちらからは話し掛けづらく、また向こうもあまり他の人に話しかけないため、2人が別の人と過ごしているのを見たことがない。

「その内山吹さんとも桃園さんとも仲良くなってみたいんだけどね〜。」

と私は密かに思っていたことをボソッと呟く。

その声が聞こえたのだろうか、桃園さんがこちらを振り返り私の方を数秒見つめてきた。そして何か言いたそうな雰囲気を出していたが、隣にいる春香を一瞬だけ見てそのまま前を向き直し歩いて行く。

「えっ、今のなんだろう?私の声が聞こえたのかな?」

少し不安になって春香に聞いてみる。

「さすがにこの距離じゃ今の呟きは聞こえないと思うけど……。」

と春香も不思議そうな顔をして答える。そしてすぐに笑い、

「何か目つけられるようなことしたんびゃないのw?」

と聞いてくる。

「いや、そんな事はないと思うけど…………。」

私は一応思い当たる節がないか考えてみたが、やはり心当たりはない。

「まぁ、たまたまクラスメートがいたから気になっただけなんじゃない?」

と春香は言い、「そろそろ急がないとギリギリになっちゃうよ」の一言で私達は再び学校へと向かって歩き出した。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

今日から新しい話を書き始めるので宜しくお願い致します。


またブックマーク登録や評価、感想を頂けると嬉しいですのでそちらもよろしければお願い致しますm(_ _)m

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