休日デート〜花姫&美月姫編〜(5)
「ごめんってば〜、機嫌治してよ〜。」
1人先を歩く私に美月姫姉さんは謝りながら追いかけてくる。
勘違いしてほしくないのだが、私は別に機嫌が悪いわけでも怒っているわけでもない。ただ恥ずかしいだけなのだ。
プリクラを撮り終わった後、着替えを終えてブースから出ると美月姫姉さんは写真の加工と印刷まで終えており、1セット分を私にくれた。改めて撮ったプリクラを見ると、恥ずかしい二人組みのイチャイチャしているプリにしか見えない。私は知り合いには絶対見せられないと震え、急いで財布の中にしまい、逃げるようにその場から立ち去ったのである。
「もう〜、だから待っててば!」
美月姫姉さんも私に追いつき私の手を掴む。普段なら手を握るのは嬉しいことだが、今は恥ずかしいさの方が勝っているので勘弁して欲しい。
「あ〜、姉さん…………。私も別に怒っているわけとかじゃなくて…………、実際に撮ったプリを見たら恥ずかしくなっちゃって…………。」
途切れ途切れになりながらも、一応美月姫姉さんの誤解は解こうと私は説明する。
「別に恥ずかしがらなくても大丈夫だよ。花姫様とっても可愛いかったし!」
「私はあんな痛々しい衣装を着て可愛いと思えるほどレベルは高くない!」
私は顔を真っ赤にして美月姫姉さんに答えた。そしてタイミングが悪いことに、
「ぐうー。」
と私のお腹は情けない音を出してしまう。
「ぷぷ〜っwあ〜、花姫様、お腹空いてたから機嫌悪かったのねw」
と美月姫姉さんは吹き出しながら私の頭に手を置いた。どうやら今日1日私は恥ずかしい目に遭う運命にあるようだ。
時間もちょうどお昼時だったので私達はこのままお昼を食べようってことになり、上のレストラン街に移動した。
「花姫様は何食べたい?」
と美月姫姉さんは辺りのレストランを眺めながら私に聞いてきた。
イタリアンに中華、定食からファーストフードと様々なお店が並んでいる。お昼時ということもあり、どのお店もたくさんの人で賑わっていた。
「気分的にはパスタかなぁ〜。」
と私はイタリアンレストランに目を向けながら答える。
「じゃあこのお店に入ろうか。ちょうど席にはすぐに案内されそうだし。」
ということで私達はそのお店に入ることにした。特に待つことも無く、私達はテーブル席へと案内され、席に着きメニュー表を眺める。
「私はカルボナーラにしようかなぁ……。姉さんは決まった?」
「私はミートソース♪。じゃあ注文しちゃおうか。」
割とすぐに頼むものは決まり、店員さんを呼んで注文を済ませる。2人ともパスタとパン·スープ·サラダが付くセットを注文し、料理が来るまでの間、この後の予定について話すことにした。
「とりあえず食べ終わったら買物を済ませるとして…………、陽菜乃さんの家ってどこにあるの?」
私は陽菜乃さんの家に行ったことがないので美月姫姉さんに訊ねる。
「ひなっちの家は電車で隣駅の近くにあるから、そんなに遠くはないよ。」
エオンから駅までバスも運行してるのでここから30分くらいってところかな。と美月姫姉さんの話を聞き私はそう考えた。
それからとりとめもない話を2人でしている内に料理が運ばれ、私達は食事を始めることにした。
「うん!このパスタとても美味い!」
美月姫姉さんは美味しそうにパスタを次々と口に運ぶ。そんなに急いで食べたらソースが服にかかりそうで私は内心ヒヤヒヤだ。
とまぁ美月姫姉さんの心配をしつつも、私も自分の注文したカルボナーラを食べる。モチモチした麺に濃厚なクリームソースがマッチし、口の中には優しい味が広がる。
「花姫様のカルボナーラも美味しい?」
美月姫姉さんは私のカルボナーラを物欲しそうに聞いてくる。
「ええ、とても美味しいですよ。…………姉さん、1口食べます?」
「え!?いいの!?」
それが狙いなのではなかったのだろうか、美月姫姉さんはパァーっと嬉しそうな表情で「食べる食べる♪」と頷く。
なので私は美月姫姉さん様にパスタを取り分けようと、小皿を手元に持ってこようとする。ちょうど小皿は美月姫姉さんの近くにあったので、取ってもらおうと美月姫姉さんの方を見ると、
「あーん。」
と目をつぶって口を開き、スタンバイをしている美月姫姉さんの姿が目に映った。
「え〜と、姉さん…………。」
「あーん♪」
美月姫姉さんに声をかけるも、変わらず口を空け、私が食べさすのを待っているようだ。
こうなると引かないのはもう分かりきっていることなので、周りの視線を気にしつつ、私はフォークでパスタを巻き付け、そのまま美月姫姉さんの口の中へと運ぶ。
美月姫姉さんはそのままカルボナーラを咀嚼し、
「うん!花姫様のカルボナーラも美味しい♪」
と満足そうに頷く。まぁ、さっきのプリクラに比べたら恥ずかしさ的にも大分マシなので、私も特に気にはしなかった。
「じゃあ花姫様にも私のミートソースだべさせてあげるね!はい、あーん♪」
と美月姫姉さんが今度は私にパスタをフォークに巻き付け、私の口元に運ぶ。
あーんされる方が少し恥ずかしいが、私も美月姫姉さんのミートソースを食べてみたい気持ちもはあったので、髪を手で抑え、目をつぶり口を開ける。
「はい、あーん♪………………なんちゃってw」
と美月姫姉さんは手元のパスタをUターンさせ、自分の口の中に入れた。
「………………………………………………(イラっ)。」
「じょ、冗談だよ(汗)。はい、あーん♪」
私のジト目に焦り、今度こそ美月姫姉さんは私にパスタを食べさせてくれる。…………うん、美月姫姉さんの頼んだミートソースパスタも美味しい。
そんなやり取りもしつつ、私達はお喋りをしながら食事を進めるのであった。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
休日デート〜花姫&美月姫編〜はまだ続きますので、次回もお楽しみください!
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