休日デート〜花姫&美月姫編〜(4)
「あった!コレコレ♪」
美月姫姉さんが付き合ってといったのはプリクラのことだった。
「じゃあ花姫様!記念に撮っていこうよ!」
「撮るくらいなら別にいいよ。」
そう言い美月姫姉さんが並んだプリクラ機に一緒に並ぶ。
どうやら私たちの前に撮影してる人達がいるみたいで中からは楽しそうな声が聞こえてくる。
「姉さん、あっちのプリクラなら空いてるしそっちに移動しない?」
私は隣のプリクラ機を指差しながら美月姫姉さんに提案する。
しかし美月姫姉さんは首を横に振り、
「私コレで撮りたいんだよね〜。ちょうど先週から始まった新しいやつみたいだしw」
と答えた。
美月姫姉さんってそんなにプリクラ好きだったっけ?と思いながらも、まぁ姉さんがコレで撮りたいならいいか思い2人で順番を待つことにした。
その新しいプリクラ機は人気なのだろうか、私達の後ろにはすぐ数グループが並び始めた。そのプリクラ機はあまり変わった様子は見られず、よくあるものに見えるが画質とか凄く綺麗なのかな?
待つこと5分ほどで前の人がプリクラ機から出てきて、私達は入れ替わるようにプリクラ機のブースの中に入る。
「じゃあ花姫様。こっちにおいで!」
「??」
ブースの中には入口とは別に反対側にも出入口があり、美月姫姉さんはそのまま反対側へと消えていった。
とりあえず私も美月姫姉さんの後を追い、反対側に向かった。
「えっ…………、姉さん、これって…………。」
私は反対側に出てそのエリアの光景を見て、動揺をしてしまう。
そこはいわゆる貸衣装のスペースであった。たまにこういう衣装を貸してくれるプリクラがあるのは私も知っていたが、そのエリアにあった衣装は…………、
「さあ花姫様!どれを着る!?これとか似合うんじゃない!?」
美月姫姉さんは満面の笑みを浮かべ、超ミニのフリル衣装を私に差し出した。美月姫姉さんの持っている衣装だけでなく、そこのエリアにあったのは、こんなの街中で着られるかと思う様な際どいものばかりであった。それによく見ると何か剣とか杖みたいのも道具として置いてある。
「姉さん。もしかしてコレって……。」
「うん!アニメのコスプレができるプリクラだよ♪」
と仰った。
…………うん、つまりあれだ、美月姫姉さんは私に恥ずかしコスプレをして一緒に撮ろうと言っているのだ…………。
「さ、流石にこれは恥ずかしいんだけど…………。」
私は顔を少し青ざめ後ずさりながら訴えるように美月姫姉さんを見る。もしかして私は嵌められたのだろうか。
「え〜、でも花姫様、さっき付き合うって言ったし、一緒に撮ってもいいって言ったじゃんw」
美月姫姉さんは悪い笑みを浮かべ私の肩を両手で掴み、逃げられないようにする。
「言ったけど……、言ったけれども!」
私は必死に抵抗しようとしたけれども、姉さんの掴む手は強く解くことができない。
「ほらほら、後ろで待ってる人もいるんだから!」
そのまま私を強引に試着室みたいな個室へ押し込み、一着の衣装と小道具を私に渡す。
「じゃあ私も着替えてくるから早く出てきてね〜♪」
そう言って美月姫姉さんも隣の着替えブースに入っていく。
「……………………………………。」
私は無言で手に持った衣装を見て、あーなった美月姫姉さんは何がなんでも私にこれを着させるなと諦め、潔く着替えるのであった。
着替え自体は衣装がそこまで複雑な作りでなかった為すぐに終わった。
ブースから出ると美月姫姉さんは既に待っており、手に持っている剣を振り回しながらポーズ?みたいなのをとっていた。
そんな美月姫姉さんの衣装は、おそらく剣士の設定なのだろう。剣を片手に黒のマントを羽織っている。そこまでは問題ないのだ…………、問題はマントの中なのだ、
「姉さん…………、最早その格好は痴女にしか見えないです。」
そうマントの中は赤の凄く際どいマイクロビキニであった。ていうかほぼ裸みたいな格好である。もう防御力とかないだろ、これ…………。
「こういう機会じゃないと着れないからねw花姫様の衣装も可愛くて似合ってるよw」
一方私の衣装は所謂魔法少女のコスプレだろう。ピンクのヒラヒラの超ミニなドレスに猫耳、そして何故かランドセルを背負い杖を持っている。
実際に小学生が着れば可愛らしいものであるだろうが、高校生が着るのは痛い気がする。ていうかもしかして美月姫姉さんはロリコンなのではないかと私は思ってしまう。
「まさかこの年でランドセル背負うとは思ってもいなかった…………。」
私はブース内の鏡で自分の姿をもう一度確認し、大きな溜息をつく。
「でもすごく似合ってるよ!そういうロリ衣装はやっぱり花音様みたいなおっぱいが小さい人が似合うしw」
「!?」
この姉はナチュラルに私をディスってきた。そりゃ美月姫姉さんや雪姫姉さんに比べたらかなり小さいけど!ていうか美月姫姉さんが大きすぎるだけじゃん!私だって普通くらい…………、平均より少しは小さいけど!小学生の頃よりは大きくなっている!………………はずだ!
「かぁぁ(赤面)、もう恥ずかしいから早く撮って着替えよう!」
私は衣装と姉さんとのスタイルの落差に恥ずかしくなり、逃げるように撮影ブースに戻っていく。
「ちょっと花姫様!待ってよ〜。」
美月姫姉さんも後を追い撮影ブースに入っていくる。
美月姫姉さんはブースに入るとそのプリクラ機専用のコインを機械に投入する。なんでも前もって店員さんに受付をし、撮影代と衣装レンタル代を払ってコインをもらう仕組みらしい。というよりいつの間に受付とかしてたのだろうか。
コインを入れると色々と設定をする画面に切り替わり、美月姫姉さんは次々とボタンを押していく。そして最後に撮影者の設定を決める画面になった。
私が横から画面を眺めるとそこには様々なシチュエーションの項目があり、友達·先輩&後半·家族·恋人などが書かれている。
(まぁ、私達の場合は家族?いや姉妹って項目もあるか。)
と考えていると、美月姫姉さんは迷わず【百合カップル】を選択した。
「ちょっ!姉さん!?」
あまりにスムーズに押した為、私は混乱をしてしまう。
「朝に言ったじゃん、デートってw」
美月姫姉さんは本気なのか冗談なのか判断できない笑顔で答えた。そう言われると私も照れてしまい、顔を背けてしまう。
そして設定は全て終わり、いよいよ撮影が始まった。
「じゃあまずはそのキャラのポーズをしてみよう!」
機械から可愛らしい声が流れる。しかし私はポーズどころかこのキャラクターすら知らないのだけれども…………、
困って美月姫姉さんの方を見ると、
「とりあえず杖を前に出して魔法を出すイメージでポーズしな」
とカッコよく剣を構え答える。
ひとまず言われた通りのポーズを自分なりにしてみて、カメラのフラッシュと共にポーズを崩す。
「じゃあ次は2人で好きなポーズをしてみよう」
とアナウンスが流れた。
「じゃあ花姫様、次は杖を右手に持って左手を指を伸ばして前に出してみて。」
またしても私は美月姫姉さんの言われたポーズをとる、すると美月姫姉さんは剣を腰に差し込み、片膝を床につける立ち膝の姿勢を取り、私の左手をとりその甲にキスをする。
「くぁwせdrftgyふじこlp!」
「花姫様!慌てないで。ほらもうすぐフラッシュがくるから。」
顔を今日一で赤らめ私はドキドキしながらこの数秒を耐えた。
やがてフラッシュが来て、美月姫姉さんは立ち上がり、舌を出しておどける様に私に笑いかける。
そして話は冒頭に戻るのである。
「それじゃ最後はハグをしよう!」
どうやらこのプリクラ機には慈悲の心は持っていないようであり、最後にとんでもない爆弾発言をぶちかました。
手の甲にキスからも、背中合わせ、お互いの手でハートマーク、腕を組むなどがあり、私のメンタルは羞恥心でボロボロになっていた。
「ほら!ギュッとおいで花姫様!」
美月姫姉さんは満面の笑みで手を胸の前に広げてスタンバイしている。
「ううぅ…………(照)」
私は照れながらも、これが最後と思い意を決して美月姫姉さんの胸へと飛び込んだ。美月姫姉さんの豊満な胸が私の顔を埋め尽くす。
そんな私の顔を美月姫姉さんは右手で優しく包み、左手で私の体を自分へと引き寄せた。
ドキドキが美月姫姉さんにも伝わるのではないかと不安に思ったので、フラッシュがしたと同時に、私は美月姫姉さんの身体からすぐ離れた。
内心もう少しだけ美月姫姉さんに抱きしめられたかったという気持ちもあったが、今はこの恥ずかしい撮影会が終わったことの方に安心してる方が大きい。
私は安堵の溜息をつく、すると
「ついでにキスもしちゃおうか!」
とプリクラ機から声が流れた。
「悪魔か!?」
私は思わずツッコンでしまう。安心からさらに落とすってどこの魔王だよ、この機械。
私のツッコミも虚しく、機械はカウントダウンを始める。
私がワタワタとしていると
「か〜のん♪」
と残り1秒のところで美月姫姉さんの唇が私の頬に触れた。
そしてカシャッとフラッシュと音が鳴り、
「これで撮影は終わりだよ〜。また来てね〜。」
とプリクラ機からアナウンスが流れる。
私はキスされた頬を手で押えながら美月姫姉さんを見る。すると美月姫姉さんは、
「次は花姫様からキスしてね♪じゃあ着替えてこよw」
と笑いながら着替えブースの方に歩いて行った。
(…………………………かぁぁ(赤面))
私が正気に戻ったのは、着替え終わってブースに戻ってきた美月姫姉さんに「まだいたの!?」と言われた時だった。
花姫様が着替え終わるまでの間に私はプリクラ機から出て、撮ったプリクラの加工、落書き、印刷、データ送信を完了させる。(次の人には連れがまだ着替えていると謝っておいた)
(ちょっとイタズラしすぎたかなぁw)
と私は一応反省をする。
花姫様は普段しっかりしている分、こんな感じにからかうとパニクってしまう。そのギャップが面白く、妹としてとても可愛く思えるのだ。
(次は雪姫姉と撮りたいなぁ。)
と私はボーと考えしまう。雪姫姉なら意外とノリノリにエッチな衣装やポーズをしてくれるんだろうなぁw。
「とりあえず、雪姫姉にLINE送っとこ。」
と私は雪姫姉にさっき送信したプリクラのデータを添付し、
「次は一緒にエッチなコスプレプリを撮ろうね♡」
と送った。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
第4話のデート〜花姫&美月姫編〜はまだ続きますので、次回もお楽しみください。
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