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三姉妹トライアングル  作者: 微糖 燦
11/30

休日デート〜花姫&美月姫編〜(3)

「それで姉さん、何から買いに行くの?」

エスカレーターに乗りながら私は美月姫姉さんに尋ねた。

「ん〜、とりあえずあそこからかなぁ。」

と美月姫姉さんはニコニコしながら答え、目的のフロアに着いたのか、エスカレーターから離れ私の手を引きながら歩いていく。

(このフロアは娯楽エリアか…………、本とか買うのかな?)

私はそう思い美月姫姉さんの後をついていく。

しかし私の予想は外れ、美月姫姉さんは本屋、アニメショップなどを通り過ぎてしまう。

(??どこに行くんだろう?)

不思議に思いながらもしばらく歩いていると美月姫姉さんはあるエリアで足を止める。

「…………姉さん?」

私は美月姫姉さんが足を止めたエリアを見てジト目で美月姫姉さんを見つめる。

美月姫姉さんが真っ先に向かったのはゲームセンターのエリアであった。

「姉さん?ゲーセンは自粛するって言ってなかったっけ?」

少し冷たい口調で言うと美月姫姉さんは分かりやすくギクッとした表情をした。

美月姫姉さんは一時ゲーセンにハマったことがあり、クレーンゲーム、メダルゲーム、格闘ゲーム、音楽ゲームを開店から閉店まで遊ぶ生活を1ヶ月していたことがある。心配になってある日私と雪姫姉さんで様子を見に行ったら、競馬のゲームで1人、沢山のメダルを片手に熱中している姿を目の当たりにし、2人で頭を抱えたことだ。

以来私と雪姫姉さんで美月姫姉さんを注意し、美月姫姉さんに今後は自粛するよう約束させたのだ。

「とりあえず、雪姫姉さんに報告するね。」

そう言い私はスマホを取り出した。

「待って、いや待ってください花姫様!ちゃんと約束は守ってるから!ゲーセンに来るのも今日が久しぶりだから!」

美月姫姉さんは私の腕を掴み必死に弁明する。大好きな姉さんだが流石にその様子は引くなぁ…………。

「いや、せっかくね!エオンに来たからさ!ちょっと覗きたくなったの!」

「いやいや、今日の目的を覚えてます?」

ひとまずスマホをしまい、美月姫姉さんに再度ジト目を向ける。

「いや覚えてるよ!…………でもさ、買い物抜きにしてこうして久しぶりに花姫様と出掛けるんだから少しは一緒に遊びたいなぁって思って……。ダメ?」

美月姫姉さんはウル目で私にそう訴えかける。あ〜もう!可愛いな!

(全く、そういうところはズルいんだから………………。)

「しょ、しょうがないですね。まぁ、私も姉さんと遊びたいっていう気持ちはありますし、先に買い物をしちゃうと荷物が邪魔になるしね。…………、じゃあ折角だし遊ぼうか。」

私は照れながら顔を美月姫姉さんから逸らし、ゲーセンで遊ぶ事を承諾した。

「花姫様………………(パァー)」

私の返事に美月姫姉さんは満面の笑みで喜んでいる。

「じゃあ早速行ってみよう!」

美月姫姉さんは私の手を引き連れ、はしゃぐ子供の様にゲーセンへと足を踏み入れた。



「それで何から遊びます?」

私は辺りを見渡しながら美月姫姉さんに尋ねた。

私もゲーセン自体にはよく友達とプリクラを撮りに行ったりするが、他のゲームにはあまり詳しくない。

「うーん、この後お昼と買い物、ひなっちの家に行く事を考えるとそんなに時間は取れないから、メダルゲームはないかなぁ。格ゲーや音ゲーも花姫様は微妙だろうし…………。とりあえずクレーンゲームのコーナーでもグルっと見てみようか。」

とのことで2人でクレーンゲームコーナーに向かう。

「へぇ〜、クレーンゲームってぬいぐるみとかお菓子のイメージしか無かったけど、結構種類があるんだね。」

クレーンゲームコーナーに着くと、定番どころだけでなく、アイスやアニメのグッズ、福袋にウーパールーパーみたいな生物のクレーンゲームがあり、私は素直に驚いた。

そんな中あるクレーンゲームに私は立ち止まった。

「何コレ!凄く可愛い!」

私の目を釘付けにしたのはとあるシャチのぬいぐるみだ。元々シャチが好きってのもあるのだが、このシャチは目が少し垂れていてどことなく間抜けな顔をしている。しかしシャチの格好良いフォルムと体の色つきとのギャップがその顔を引き立て、愛らしいぬいぐるみになっていた。

私はまじまじとブースを眺める。その横に美月姫姉さんもやってきて、

「あ〜、いかにも花姫様の好きそうなぬいぐるみだねwやってみる?」

「うん!ちょっと挑戦してみる!」

私は財布から100円玉を取り出しクレーンゲームに投入する。クレーンゲームは得意ではないが、私は全神経を集中させボタンを操作する。クレーンはちょうど綺麗にぬいぐるみの中央に止まりそのまま降りてぬいぐるみを掴み持ち上げた。

が、持ち上げた少し移動した途端に落ちてしまう。

「あ〜、惜しい!もう1回やろう!」

そう言いその後500円分投入するが、ぬいぐるみを取ることは出来なかった。

「むぅー、ちゃんと持ち上がるのに……。」

私は頬を膨らませ財布の中を確認する。ぬいぐるみは欲しいけど、このままだと泥沼にハマってしまう気がする。

どうしたものかと考えていると、

「ちょっと狙い方が王道すぎるかなぁ。ちょっと代わってみ。」

そう言い美月姫姉さんは100円玉を投入する。

美月姫姉さんは慣れた様にボタンを操作し、ぬいぐるみの中央から少し外れた位置にクレーンを止める。

「姉さん、全然ズレてるじゃん。」

「まぁ、いいから見てなってw」

クレーンが降りるとやはりアームはぬいぐるみ掠めてしまう。しかしアームはぬいぐるみに付いているタグに綺麗に差し込み、そのままタグごとぬいぐるみを持ち上げ、景品口まで持っていく。

「タグに引っかかると落ちてこないからちょっと店員さんを呼んでくるね〜。」

そう言って美月姫姉さんは近くの店員さんの所に事情を説明しに行った。やがて店員さんがやってきて「おめでとうございます!」と言ってぬいぐるみを美月姫姉さんに渡した。

「ハイよ!これは花姫様にあげるねw」

そういうと美月姫姉さんは私にぬいぐるみを手渡す。

「え!?いいの!」

「いいもなにも花姫様それ欲しいんでしょ?だから取ったんだから気にしなくていいよ。」

とウインクしながら親指でグッジョブをする。

「ありがとう!大切にするね!」

私は年甲斐もなくぬいぐるみを抱きしめ美月姫姉さんに感謝を述べる。

家に帰ったら早速ベットに上に置こうかなぁと考え、

「なんかお礼しなきゃね!私になんかして欲しいことある♪?」

私は上機嫌に美月姫姉さんに尋ねた。

「うーん、じゃあ私のやりたいやつにちょっと付き合ってよ!」

「そのくらい全然OKだよw!」

私は特に何も考えず美月姫姉さんにそう答えた。

この返事をしたが故に私はもう間もなく羞恥に悶え死ぬことになるとは露とも知らずに………………。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

次回も第4話の続きとなりますので、楽しみにして頂けると幸いです。


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