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ヒトならざるもの
ずっとね、憧れてた。
どこまでも遠くに行ける足、
たくさんの想いを伝えることのできる声、
鮮やかな世界をみる事ができる瞳。
ぜんぶ、わたしがほしかったもの。
何十年、何百年、何千年もの間
わたしが持っていなかったもの。
でも、やっと今日。
わたしはあなた達と同じになれる。
こんなに嬉しいことはない。
え?
まず、何がしたいかって?
……そうだなぁ。
とりあえず、まずは。
声というもので、わたしの声が本当に
あなた達に届くのかを確かめたいの。
思いっきり下手くそな言葉でいいから、
でもずっと勉強してきたから、
きっと発せるはず。
そして、わたしは精一杯に叫んだ…つもりだった。
はじめての言葉は掠れたハスキーボイスの小声。
「…自由を手に入れた」