ガーゴイル
ガーゴイル
概要:
ガーゴイル(英:gargoyle、仏:gargouille、伊:doccione、独:Ausguss/Wasserspeier、日:樋嘴)は元々、雨樋の機能をもつ怪物などをかたどった彫刻である。
本来の意味である彫刻としてのガーゴイルは、主として西洋建築の屋根に設置され、雨樋から流れてくる水の排出口としての機能を持つ。
ガーゴイルは芸術的意味合いよりも宗教的意味合いが強い。
例えば古代エジプトでは寺院の平らな屋根の上にガーゴイルがあり、その吐き出す水で聖杯などを洗っていたようである。
また、古代ギリシャの神殿では、屋根の突出部についた大理石でできたライオンの口やテラコッタ(赤土の素焼きのこと)でできた貝殻から水が流れ出るようになっていた。
さらにポンペイで発見された数多くのテラコッタのガーゴイルは、さまざまな動物をかたどったものであった。
フランス語ではガルグイユ、イタリア語ではドッチオーネ、ドイツ語ではアウスグスやヴァッサーシュパイアーと呼ばれ、中国語では石像鬼という。
これらは日本でいうところの鬼瓦と同じ意味合いを持っており、フランスの作家ジョリス=カルル・ユイスマンスは、ガーゴイルは大聖堂から罪を外部へ吐き出している状をあらわしていると指摘した。
しかしながらガーゴイルの象徴的意味に関して、美術史家エミール・マールは、こうしたガーゴイルの姿は民衆の想像力を反映しているのみで特段の意味はない、と論じており、一方で同じくして美術史家である馬杉宗夫は、ゴシック期の13世紀に制作されたガーゴイルは、そうしたロマネスク聖堂にもみられる「建物を守護する動物像の伝統」を引き継いだものではないかと考察している。
小説などでは、その不気味な姿から「石像であるガーゴイルが意志を持って動き出し人間を襲う」といった風に描かれることが多く、怪物以外にも鳥やライオンなどといった姿でも登場している。
現代ではテリー・プラチェットの書いた『ディスクワールド』シリーズなどのファンタジー小説やディズニーのアニメ、ファンタジー世界を舞台とする多数のコンピュータRPGおよびTRPGなどにも登場している。
ことゲーム上で敵として描かれる場合には、「侵入者を防ぐためだけに存在し、魔法で作成されたため老化もせず、休息も食事も摂らない」や「石像であるため、打撃や斬撃などの攻撃も通用しないか、かなり効果が制限される」などのイメージもRPG作品を中心に定着している。
また昨今のライトノベルなどにおいて、元々雨樋という用途で使われていたからか、土系の属性以外にも水系統の属性を付与されることが多く、水による劣化耐性を獲得しているケースも見られる。
ゴーレムの一種として数えられることもある。
別名:
石像鬼、樋嘴、ガルグイユ、ドッチオーネ、アウスグス、ヴァッサーシュパイアー
脅威度:
中級〜上級冒険者向き。
全身がミネラルでできているため、全体的に防御力が高いという事、さらに多く空を飛んだりすることがあることや、ゴーレムのような簡単に討伐できるような弱点がないことから、ある意味ゴーレムよりも厄介な魔物といえる。
さらに、ゴーレム系に共通して、多くが水系統の魔法攻撃に耐性がないことに対して、ガーゴイルはそれを克服しているケースが多い。
しかし、ゴーレムよりも機動性が高いように描かれるためか、作品によってはゴーレムよりも防御力が低い場合もあり、あまりガーゴイルを強い魔物として描きたくない場合は、そういう設定も一つの救済措置として取られることもある。
たまに水系統の魔法攻撃を仕掛けてきたり、逆に水系統の攻撃に対して異常な耐性を獲得しているケースもある。
さらに、多くのガーゴイルは青銅でできているため、耐食性が高く、腐食系の攻撃に対する耐性も高いことが多い。
生態:
普段は、屋根の縁や突出部分、もしくは門の脇で狛犬のようにじっとしているが、侵入者などを検知すると、それを阻むべく冒険者たちに襲いかかる設定が多い。
そもそもガーゴイルは魔物ではなく、雨樋の機能を持った怪物の彫刻であるため、明確に生物的な生態というものはなく、どちらかというとゴーレムのように門番として設定された魔法道具のような役割で動いていたりする場合が大半である。
そのため、食事も睡眠もせず、見張りとしてはとても有効的な存在だといえるだろう。
それに、複雑な過程を踏む必要のあるゴーレムと違い、何か動物を象った像であるなら良いとかなりコストが安くつくため、ゴーレムよりも出現頻度(および利用頻度)は高いのではないかと私は考えている。
弱点:
石像であるために、打撃や斬撃に対する耐性が高いと思われるが、しかし一点集中型の攻撃、例えばパイルバンカーや打撃面を円錐形に加工して衝撃を集めやすいように工夫されたウォーハンマーなど、貫通力や破砕力の強い武器には弱いだろうと考えられる。
また、ガーゴイルは青銅でできていることが多く、その青銅の持つ展延性のために、その体が折れ曲がることはあっても破断はさせにくい特徴を持つため、氷系の魔法などで動かないように固定してその展延性を封印し、そこに衝撃を叩き込むなどの戦法が有効だと思われる。
また、ブロンズの耐食性は、青銅が大気中の酸素に反応して参加するのを防ぐためであり、酸性雨などの現象から見るように酸性の攻撃がその耐食性を貫通することがわかる。
つまり、酸性の攻撃は腐食系の攻撃の中でも有効ではないかと思われる。←しかし、魔法的な影響で、あらゆる腐食系攻撃に対して耐性を獲得している場合はその限りではない。
攻略法てしては、まず凍らせてハンマーやパイルバンカーなどで砕くか、魔法オンリーなら急速に熱してから急速に冷却させることでガーゴイルの体を脆くし、物理系攻撃魔法で破壊する戦法が有効と考えられる。
食性:
石像であるためにものを食べることはないという設定がほとんどだが、魔道具としての燃料補給を食事として考えるなら、魔力を食べていると考えることもできる。
また、自己修復のために青銅を食べることもある設定が見受けられることもある。
進化/派生種:
ガーゴイルと一言にいっても、その形は千差万別で、悪魔の形をとることもあれば動物の形をとることもある。←これを派生と呼んでいいのかどうか、私にはよくわからないが。
討伐部位:
魔核がある設定ならそれ。
ただし、魔法道具として運用されている場合は魔物としてカウントされないので、討伐部位が設けられていない場合もある。
利用価値:
そのまま従えることができるなら、見張りや護衛、偵察にはかなり有用な存在といえる。
死んでしまえばそれはもはやただの金属の塊でしかない。
銅像に見せかけた監視装置としても使えそうなので、多分そういった世界観のガーゴイルは、今でいうところの監視カメラのような役割も果たしていると思われる。
分布:
遺跡の入口や内部、もしくは教会などの屋根の上や、門柱の上など。




