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アラクネ

あけおめ!

アラクネ

概要:

 アラクネ(古希:Aráchnē)は、ギリシア神話に登場する女性で、ダンテの『神曲』が原因でその名前が後に種族名として活用されるようになった。←つまり、元々は一人の人物の名前だった。

 リュディアのコロポンで染織業を営んでいた預言者イドモンの娘で、アラクネーとも表記される。←リュディアとはアナトリア半島(現在のトルコ)のリュディア地方を中心に栄えた国家で、世界初の硬貨コインであるエレクトロン貨を導入したことで有名。

 古代ローマの詩人オウィディウスによるラテン文学の名作『変身物語』によれば、アラクネは優れた織り手で、その技術は機織りを司るアテナをも凌ぐと豪語するほどだったようだ。

 これを聞きつけたアテナは怒りを覚えたが、しかし彼女を諭す為に老婆の姿を借りて、彼女はアラクネに身の程をわきまえろと忠告を与える。

 しかしアラクネはそれを聞き入れずに神々との勝負を望んだ為、女神アテナは正体を表してアラクネと織物勝負をすることになった。

 アテナは自身がポセイドンとの勝負に勝ち、アテナイの守護神に選ばれた物語をタペストリーに織り込んだ。

 一方でアラクネはアテナの父ゼウスのレダ、エウロペ、ダナエらとの浮気を主題に、その不実さを嘲ったタペストリーを織り上げた。←アラクネって怖いもの知らずなんだなぁw

 アラクネの腕は非の打ち所のない優れたもので、アテナでさえアラクネの実力を認める程だった。

 しかしアテナはそのタペストリーの出来栄えに激怒し、最終的にアラクネの織機とタペストリーを破壊してアラクネの頭を殴り付けた。←まるで癇癪を起こした子供だね!大人げないね、ギリシャの神様ってw←ちなみに、この瞬間を描いた有名な絵画がバロック期のスペインの画家ディエゴ・ロドリゲス・デ・シルバ・イ・ベラスケスが描いた『アラクネの寓話(織女たち)』で、奥にいる左側のヘルム被ってるのが件のアテナ。

 これによりアラクネは己の愚行を認識し、恥ずかしさに押しつぶされ逃げだして自縊死した。←これに関してはアラクネが阿呆としか言いようがない。恥ずかしいことしてるのは絶対アテナだろ。

 アテナはアラクネを哀れんだのか、それとも怒りが収まらず死すら許さずに呪おうとしたのか、トリカブトの汁を撒いて彼女を蜘蛛に転生させた。←これがいわゆる、今のよく知るアラクネの原型なんだね。←ちなみにこの話はオウィディウス著『変身物語』の第六巻に記述があるよ。

 日本のコンピューターゲームなどでは、上半身が女性で下半身が蜘蛛の怪物などといった蜘蛛+女性というモンスターがアラクネ(アラクネー)という名前で登場することがある。

 これは、ダンテの『神曲』でアラクネが女性と蜘蛛が融合した怪物として登場することが原因とされており、その影響で現代のラノベ等では、本来の神話から離れただの怪物の一種族として描かれることが多い。

 しかし、アラクネが必ずしも上半身が女性、下半身が蜘蛛という形をしているわけではなく、例えば西谷史による小説『女神転生』シリーズでは、頭だけが女の顔で、その他が全て蜘蛛という形で描かれているので、どこかしらに蜘蛛と女の人の要素が入っていれば、それはもうアラクネと言っても別に構わないと私は思う。

 また、アラクネーではなくアルケニーという名前が使われることもあるが、Aráchnēの綴りでアルケニーと発音することはまずない。

 また、アラクネは魔物だけではなく、亜人としても登場する。

 ちなみにこれは余談だが、Arachnē(アラクネ)という彼女の名前は、ギリシア神話の多くの登場人物と同じく普通名詞を人格化したもので、アラクネ(古希:arachnē(s))は「蜘蛛」や「蜘蛛の巣」を意味する単語だったらしい。←現在、クモ恐怖症を英語でArachnoアラクノphobiaフォビアなどと呼ぶのは、この語を語根に用いたものだったりする。


別名:

 アラクネー、アルケニー、荒絹あらぎぬ


脅威度:

 異世界系ライトノベルでは、中級冒険者向けの魔物として登場する。

 知能が高く、美意識が強い設定のことが多く、大抵狩りをするにしても「罠の美学」を重んじる風潮があり、アラクネが生息するダンジョンでは、特にトラップの類いに警戒する必要がある。

 また、アラクネの糸は生半可な力では切ることができない設定が多く、大概は洗剤などの科学薬品系のアイテムで溶かすか、炎系の魔法で燃やすなどして対処する。←蜘蛛の糸は、細い糸を何重にも束ねることによって硬度を増し、自然界に存在する蜘蛛の糸の強度は鋼鉄の五倍、伸縮性はナイロンを上回り、耐熱性は三百度を越えるので、炎系の魔法を使うにしてもそれなりの威力がなければ焼ききれない。

 ましてや何メートルもある巨体から生成されるアラクネの糸は、計算した結果、直径一センチの太さで糸を射出された場合、その糸で蜘蛛の巣を作れば、だいたい飛行中のジャンボジェット機をまるで蜻蛉とんぼや蝶のように捕まえられるほどの強度を持つ糸になるので、やはり物理的な切断は諦めて、薬品を使うかウォーターロックで先に封じておく必要がある。←ただし、斬鉄剣などの硬いものを切断するのに有効なスキルや、ウォーターカッター、カマイタチ等といった斬撃属性の物理ダメージを与えられる魔法がある場合ならばその限りではない。←糸の伸縮性を殺すなら、氷系の束縛魔法で凍らせる等するで対策可能。 

 また、蜘蛛の糸は大気に触れることで高質化する性質を有するため、対処法として、アラクネを見つければ、即お尻の糸を出す穴に充分な大きさのウォーターロックを仕掛けることはとても有効である。←氷系の魔法で凍らせたとしても、その糸の射出時の圧力に耐えられる保証がないので、水系の束縛魔法と風系の魔法による回転運動によって、予め糸の材料となるタンパク質を吸い出してしまうことは非常に有効な手段だ。

 また、高圧で噴射される蜘蛛の糸は、そのまま食らえば恐らくかなりのダメージを伴うことになるので、アジリティによほどの自信がない冒険者は、素直に人体部分を狙って短期決戦を狙った方が賢い。

 脚部の関節を潰して機動力を削いでも、アラクネの脅威は罠を張る糸なので、関節を潰しても気休めにしかならない。


生態:

 人間の女性の形をした人体部分の前体と、蜘蛛の形をした後体に別れる。

 大半のアラクネは、前体が人体の足の付け根(股関節)まであり、尾てい骨の辺りから蜘蛛の形をした後体が繋がっている。

 人体部分の顔には、四対二列の目があり、蜘蛛の上顎が変形したと思われる角を持つ種類も存在する。←馬場翁のライトノベル『蜘蛛ですが、なにか?』の主人公のように、魔眼を持つことがある設定の場合もある。

 また、その牙にも毒腺を持つ。

 アラクネには雌雄の区別がない場合が多く、ほとんどの場合雄のアラクネが存在しないか、蟻のように一体の女王が複数の雄の働き蜘蛛を出産し、それと交わることで数を増やす仕組みを持つ。←つまりアラクネの子作りは端から見れば蟲姦になる。

 たまに雌雄一体型などが見受けられる。

 この出産する成虫のアラクネは、マザー、もしくはクイーンと呼ばれる上位個体に当たる。

 卵生で、まるでスクイーズのような弾力を持つ透明な卵を、一度に数個から十数個産み、卵を守るための特殊な糸で殻を包む。←人間の子宮とは絶対構造が違うだろうね。

 皮膚が変形した炭素を主成分とする外骨格と、カルシウムを主成分とする内骨格の二つの骨格から形成され、後体は硬く鎧のようだが、前体は柔らかくしなやかで弾力性がある。

 足の数は十本から十二本で、後体の蜘蛛足八本と、前体の人体部分の手足二対(人体部分に、人間調の足がついている場合がある)からなり、後体の足にはナイフ状の鋏覚と毒腺を持つ。

 また、種類によっては人体部分の手の指先、爪に毒腺を持つ場合もある。

 アラクネの由来が、オウィディウスの『変身物語』から来ているため、ほぼ全てのアラクネは造網性を持ち、罠に関する美学を重んじる風潮がある。

 アラクネはその最大の武器である糸を使って獲物を罠にかけて補食する。

 元々蜘蛛は顎が弱く、そのため外骨格を持つ生物を補食する際、網で捕まえた獲物に毒を注入して体内をドロドロに溶かして啜るという方法で食べていた名残からか、今のアラクネも毒を使って獲物を調理するという一種の文化を持つ。←物語によっては狩りにも利用したりする。

 複数の息子で逆ハーレムを作って働かせるので、アラクネがいるダンジョンは比較的簡単に判別できる。

 アラクネの糸は不可逆性で、罠や巣、狩りの道具などとして使った糸はもとの液状には戻らず、足で巻き取って保管しておくか、もしくはタンパク源として消化し、使い回す。


弱点:

 火とか水とか、あと酸性のもの。←火は糸に対しては有効ではないが、人体部分を丸焼きにする程度には有効な手段。

 エンカウントしてすぐに、お尻の糸を出す穴に十分な大きさのウォーターロックを仕掛けると、アラクネの糸攻撃を未然に防ぐことができるので、楽に対処できるのでおすすめ。←ついでに糸の材料となるタンパク質の液体を吸引してしまえばもっと楽になるが、この方法で倒すには少なくとも三人から四人ほどのパーティを組まなければならない。

 ただし蜘蛛糸の材料となるタンパク質の液体は、高圧力で噴射されるため、魔法で対処するにしてもそれなりの強度を維持し続ける必要があるので、この辺は魔道具を作って対処するか、もしくは噴出孔を燃やしてしまうとか、そういった方法の方が現実的かもしれない。

 あとは普通に人体部分。

 外殻に被われていないなら、そこが一番柔らかいはず。←賢いアラクネの場合は、魔法による障壁か、もしくは糸による鎧で人体部分を護っているので、どちらにしろ糸対策は完璧にしておいた方が無難。

 無理なら素直に、糸で覆われていない口や目から体内を狙う。←生物である以上、活動するには酸素が必要だし、目が見えなければ戦えない。←でも上位種のアラクネなら、もしかすると部屋中に糸によるセンサーを仕掛けることでカバーしたり、魔力感知や気配探知といったスキルでカバーしてくる可能性があるので、やっぱり糸対策は必須。


食性:

 肉食。

 毒を用いて調理する文化を持つ。


進化/派生種:

 卵を出産する成熟した個体はマザー、もしくはクイーンとよばれる上位個体になる。

 また、自在に罠を操り獲物を仕留めるアラクネは、トリックスパイダーなどと呼称されることがある。

 魔法を使う個体も存在するようだ。

 また、ベースとなった蜘蛛の種類によっては、大きく生態が異なる場合が見受けられる。


討伐部位:

 アラクネ最大の特徴である出糸機構である、アラクネの尻についている突起部分。

 魔石や魔核と呼ばれるコアを持っている場合はそれ。


利用価値:

 アラクネの糸は、鋼鉄の五倍もの強度とナイロンを上回る伸縮性、おまけに摂氏三百度の熱量に耐えうる耐熱性を持つことから、様々な防具への利用価値が見込まれる。

 鋼鉄よりも硬い繊維でできているため、板金鎧など体の動きを阻害し、かつガチャガチャと音の鳴る、冒険者にとっては不便な装備とは違い、うるさい音もならず、おまけに板金鎧よりも硬く耐熱性を持つ繊維素材でできた衣類型の防具は、冒険者や他の戦闘に携わる職業を持つ人たちからはかなり人気の高い素材である。←言ってみれば超絶頑丈なシルク素材だね、喜ばれないわけがない。←しかも硬すぎて虫食いが起こりにくいというメリットまであるという完璧素材。高級じゃない訳がない。

 そのため、アラクネの糸はかなり高値で取引される。

 ちなみに、このような特性上、アラクネの糸で織られた服などは、しばしば絹鎧と呼ばれる。


分布:

 森や洞窟、ダンジョンなどに生息し、日の当たらない、暗くじめじめした環境を好む傾向にあり、平原や海の中などで発見された例はごく少数である。

 恐らくこれは、ベースとなった蜘蛛の種類によるのだろうと考えられる。

ことよろ!

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