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1章 03 無様
ここからが文字通り、俺の生死を分ける1週間だった。まず急いで彼女が来る前にありったけの食料を買い占めた。帰りのチケットは取ってあるから今持っている金は全部使い果たした。
次に家中の部屋を閉め家にあった木材などを使い、誰も入れなくした。彼女も女の子だし、殺して来るのはたぶん武器だったから彼女自身の力はそこまでないと思う。前のこの時間ぐらいは暑いだの何だの愚痴を言っていたがもう暑さなんて忘れていた。この切羽詰まった状態では他のことなどどうでも良くなっていた。そこからの1週間、運が良かったのか、他の住人は訪ねてこなかった。こんなとこ見られたら来年からはここに来れなくなる。まぁ彼女がいるかもしれないから、どちらにしろもうこないだろう。
そして花火大会の日、俺は部屋の隅で息を潜めていた。ここまで準備したし、今回は接点が無かったから大丈夫なはず。
だが次の瞬間壁が破られた。鉄で出来た壁を。
「なんで?」
俺はそれ以上の言葉がでなかった。
「無様だね。礼斗くん。」
「なんで俺の名前を」
一瞬で世界が闇に覆われた。