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相沢ヒロキ、異世界へ行く!  作者: 光晴さん
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第8話 受付譲ってすごい!




ジルーナの冒険者ギルドで、ネコミミ少女をこそこそと見て堪能した馬場が

質問を俺にしてきた。


「なあヒロキ、物語だと冒険者ギルドに酒場は

定番なんだが、なぜここはないんだろうな?」

「う~ん、俺の予想だけど、冒険者以外もギルドに来るからじゃないのか?」


「へ、それって…」

そこへ、受付をしていた女性が答えてくれた。

どうやら、受付カウンターが混み始めたのでギルドカードを渡しに来てくれたみたいだ。


「その通りです。

冒険者ギルドには、依頼をする人や商人も訪ねてきます。

そんな人たちに、酔っぱらった冒険者が絡んでいては依頼が減ります。


自分で自分の首を絞めるようなことをギルドがさせるわけはありません。

それに…」

「それに?」


受付嬢は、俺たち一人一人にカードを渡しながら答えてくれていて

最後に馬場にカードを渡すと、

「酒場なら、ギルド周辺に5軒もありますから

わざわざギルド内に作る必要はありませんよ」


「まあ、そうだよな」

俺たちは納得の答えに、全員が頷いていた。

「じゃあなんで、ギルド内に酒場がある話になったんだろう?」


「馬場さんのお話は、

おそらく村や集落などのギルドが元になったと思います。

酒場には暴れる客を抑える護衛みたいな人が必要らしいので


その護衛を冒険者でということで併設というお話になったのではないですか?」

「そうね、それなら筋が通るわ」

松尾先生が、受付嬢の答えに納得している。


「じゃあ、併設している酒場で食事というのも…」

「村や集落なら、食堂経営は成り立たないからだろうな」

「そうなのか~」


「確かに、町では食堂は見かけますが

村に食堂があるのは宿屋がある所ぐらいですからね」


納得の答えをえられて、みんなですっきりした。

ということは、小説なんかで大きな町の冒険者ギルドでもテンプレは

間違いってことになるな…



しかし、俺たちの前にいる受付嬢さん、

笑顔で俺たちの質問にも答えてくれるんだな、なら少し聞いておくか。


「あの、受付譲さん・・」

「あ、名乗っていませんでしたね、私、ケニーと申します」

「これはご丁寧に、ではケニーさん、

ギルドに入るときギルドの後ろの大きな倉庫みたいな建物、あれって何ですか?」


ケニーさんは、少し考えて答えてくれる。

「あれは、ギルドの倉庫兼解体場です。

この受付カウンターの右端、あそこで素材の買取を行っているんですが


アイテムボックスのスキルをお持ちの方、

もしくは無限収納の魔道具をお持ちの方は、

倒した魔物をそのまま持ち込まれる方が多いので、解体場を建てて対応しています。


その解体をおこなっているのが、あの建物なんですよ。


皆様は、冒険者ギルドの隣の建物をご確認しましたか?

実は、隣の建物は商業ギルドの建物になっていて、

そことも後ろの倉庫兼解体場は繋がっています。


ですから、商人たちが直接素材の買取なんかをおこなえるようにしてあるのです」

なるほど、かなり合理的になっているんだな…

「へぇ~、合理的なんですね」


「素材は、鮮度が命のものもありますからね」


ケニーは俺の質問が終わると、俺たちの手元にあるカードを指さす。

「では、質問もないようなのでギルドカードのご説明をしてもよろしいですか?」

「ああっと、すみません、時間とらせてしまって…」


ケニーさんは、困った顔一つせずに笑顔で応対してくれる。

このギルド、かなりできたギルドのようだ…少し、侮っていたな…


「いえ、質問は初心者の特権。

分からないことは今のうちに聞いて勉強してくださいね」

うむ、初心者の特権か。確かに、ベテランが聞くことじゃないよな…



「では、皆様にお配りしたギルドカードですが、まず、お名前をご確認ください」

そう言われて、俺は自分のカードの名前を確認。

相沢ヒロキの名前が書いてあった。


「ご確認いただき間違いがなければ、そのカードに魔力を流してください」

魔力、魔法を使う要領でカードに流すと、

「カードが光った!」


馬場の言うとおり、俺のカードも一瞬だが光ったな。

「はい、カードが光りましたら登録完了です。

カードに魔力を流すと、簡単なステータスが表示されます」


俺はカードに魔力を流し、ステータスを確認する。


名前  相沢 弘樹[ヒロキ]

年齢  18歳

レベル 3

冒険者ギルドランク 鉄-


ん~、この『鉄-』が今の初心者ランクというわけか。

しかし、レベルが上がったのは狼を倒したからだろうな…


「あの、ギルドランクについて説明してもらえますか?」

「はい山本様、冒険者ギルドのギルドランクは全部で18段階あります。

大きく分けて、一番下が『鉄』そこから『銅』『銀』『金』


さらに『ミスリル』『オリハルコン』となっています。

そして、そのカードの表示にもあるように、『マイナス』『表示なし』『プラス』と

細かく3段階に分かれて、全部足して18段階となります」


説明が終わると、ケニーさんは俺たちに冊子のような本を渡してくれた。

「もっと知りたい方は、こちらの冊子に載っていますので熟読してください。

この後はいかがなされますか? ご依頼を受けてみますか?」



「いえ、今日は登録をすませに来ただけですから帰ります」

木下先生が代表で断る。

「では、本日はご登録ありがとうございます、これからよろしくお願いしますね」


「「「よろしくお願いします」」」

そう挨拶をすませると、俺たちは馬車の待つギルドの外へ出ていった。




俺たちが全員出ていった後

「ケニー、今の全員新人か?」

受付カウンターに戻ってきたケニーに、声をかける冒険者の1人がいた。


「ええ、なかなか有望そうな新人たちよ」

「おいおい、全然そうは見えなかったぞ? 装備も武器もなかったようだし…」

「あら、辺境伯様がよろしくって言っていた新人たちよ? 

ただの新人たちなわけないでしょ?」


「あいつらがねぇ~」

ベテラン冒険者は、ギルドの入り口を見ていた。







読んでくれてありがとう、次回もよろしく。


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