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相沢ヒロキ、異世界へ行く!  作者: 光晴さん


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第51話 頼りにできる




辺境領都で、松尾先生と面会した刀の勇者の安藤と雷の勇者の飯島。


安藤と飯島が、何故、木下先生ではなく松尾先生に会いに来たのか?

それは、学校にいた時から、安藤と飯島が松尾先生が頼りになる先生だと

認識していたからだ。


他のクラスメイトからも、なぜか、木下先生はちょっと頼りないように

見られていた。


それで、今回のお願い事をするには、松尾先生を選んだのだろう。



「松尾先生、お久しぶりです」

「先生、他のみんなは元気ですか?」


ヒロキが安藤たちに知らせて、5分ほどで松尾先生が顔を見せた。

「本当にお久しぶりですね、安藤さん。 飯島さん、みんな元気ですよ」


松尾先生は、キッチンにある貯蔵庫から人数分のドリンクを出すと、

4人の前に並べて、椅子に座った。


「さ、飲んで話を聞かせてくれる?」


安藤と飯島は、出されたドリンクを手に取るとのどが渇いていたのか、

ゴクゴクと飲みだす。

それを見ていた中学生の2人も、真似るように飲み始めた。


「それで、今日はどうしたの?」


「松尾先生からの手紙、読ませてもらいました。

迷い人のことはショックでしたけど、

残念ながら私たちにできることは少ないです。


でも、保護することはできました。

彼女たち2人が、迷い人です。


魔族が支配していた町にいたところを保護しました。

それで、松尾先生に預けた方がいいと判断して、

魔族との戦いが一段落した今を利用して、こうしてお願いに来たんです」


松尾先生は、安藤たちの隣でおとなしく座っている2人を見て、

「この子たちも、この世界に迷い込んだのね……」


「……あの先生、この子たちもって、他にも保護しているんですか?」

「ええ、3人の女性が奴隷商で売られていたところを保護したわ」

「奴隷商……」


安藤と飯島は、少し驚いているようだ。

「彼女たちを連れてきた安藤さんたちは、分かると思うけど、

迷い人はこの世界の言葉が、しゃべれないし、理解できない。


だから、どうしても意思疎通がとれないの。

そのため、奴隷商へ売られるみたいね……」


安藤と飯島は、ドリンクを美味しそうに飲む女子中学生2人を見て、

悲しい気持ちになった。


「でも、彼女たちの保護は、任せておいて。

私たちが、責任をもって預からせてもらうわ」


松尾先生が、笑顔で彼女たちを引き受けてくれたことで、

安藤も飯島も少し安心した。




「………何、これ…」

安藤と飯島、それに、迷い人の女子中学生2人は、

目の前の光景が信じられなかった。


松尾先生によって、迷い人を保護する場所に連れてこられたのは、

5分ほど前のこと。


先生のアイテムボックスからドアを出したと思ったら、この場所に案内された。


「あの、ここは?」

飯島が何とか、松尾先生に聞くと、

「ここは、空間魔法で作りだした世界『箱庭』よ。

今ここに、村を造っているの、私たちが安全に暮らせる村をね」


安全に暮らせる村?

目の前に広がる光景は、村というより町なんですけど?

安西は心の中でツッコミを入れていた。


「あれ? 安西と飯島だ。

松尾先生に、お願いは済ませたのか?」


そこに、ヒロキが通り掛かる。

「相沢君は、どうしてここに?

確か、今日は森に行くって言ってなかった?」


「それが、今、森の中で迷子中です。

必要な荷物を取りに来たんでこの箱庭に。


あ、今日は帰れないかもしれないんで、後のことはよろしくお願いします」


松尾先生は、苦笑いを浮かべながら、

「わかったわ、後のことは任せておきなさい」

「では、よろしくお願いします」


そういうと、ヒロキはその場に白い空間を造り、その中に消えていった。

ヒロキが消えた後、白い空間も消え、そこ場には何もなかったようになる。


「……先生、あれが?」

安西は、声が裏返っていることも気にせずに、質問する。

「ええ、空間魔法よ」




松尾先生は、安西たちを自分の暮らしている大きな家に連れてくると、

中へ案内する。

「さ、入って」


安西たちは、玄関を見て驚き、廊下を歩いて驚き、

リビングに案内されて驚いている。


「いい家ですね~」

「でしょ? 私がこだわってこの家を選んだんだから、自慢の家よ」


「ここは、先生だけが住んでいるんですか?」

「ええ、今のところはね」


安西たちは、分からないことや興味ある事などをどんどん質問していく。

松尾先生も、それにどんどん答えていき、

安西たちは、ようやくこの箱庭を理解したのだ。



「それにしても、ドア1つでこの箱庭に来れるなんて、

まるでどこかの何とかドアみたいですね」


「あら、この空間魔法を付与したドアは、

安西さんと飯島さんにも、作ってもらう予定よ?」


安西と飯島は、驚きながらも期待していた。

「私たちも、あのドアをもてるんですか?」


「ええ、あのドアを持って他の勇者たちの所へ持って帰れば、

クラスメイトみんなが、この箱庭を利用できるでしょ?」


「みんなを連れてきても、大丈夫ですか?」

「勿論、この箱庭は、勇者をはじめとしたクラスメイト達の

休息所として、考えていた場所だからね」


飯島は少し感動していた、最前線の自分たちのことを考えていてくれたことに。

「それに、迷い人の受け入れ場所にも、もってこいでしょ?」


「確かに……」








読んでくれてありがとう、次回もよろしく。


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