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相沢ヒロキ、異世界へ行く!  作者: 光晴さん


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第49話 勇者の帰還




箱庭世界に人が住み始め、3ヶ月の月日が過ぎた。


その間、周辺は何も変わりはなかった。

魔王軍の侵攻は一応止まり、勇者たちクラスメイトの活躍も、

木下先生をはじめとした後方組10人にも、噂として流れてくる。


商人ギルドを通してお願いしていた、勇者たちへの手紙も、

2ヶ月前、届けたという知らせを聞いた。



箱庭の村も、農業が始まり、ものづくりが始まり、

そして、雑貨屋を木下先生が始めたのが2ヶ月ほど前。


最初に売れた商品は、馬場たちが作ったノコギリだそうだ。

最初は品ぞろえも悪かったが、今では、いろんな意見などを聞き、

雑貨屋の名にふさわしく、いろんなものを売っている。


また、あの迷い人の3人が、雑貨屋を手伝い始めたのは良いことかもしれない。

もともとコンビニの店員をしていたそうだから、うまくいくだろう。



あと、孤児院も完成した。

俺たちの家に、交代で預けられていた子供たちは、

孤児院に集めて、生活を始めている。


また、孤児院の先生には、あの元貴族の姉妹とメイドさんや、

俺の所で心の傷を癒していた姉妹がやっている。


子供たちにも、結構人気らしい。



そして、俺たち10人は、冒険者ギルドの依頼を受けながら、

箱庭に放す、動物たちを依頼のついでに捕まえていた。


そういえば、1ヶ月前に蜜蜂らしき蜂を確保できたのは嬉しかったね。

花などの植物も植え替えたりしているようだし、

箱庭を、みんなで育てている感じがして楽しい。




そんなある日、領都の門を1台の馬車がくぐり、町に入ってきた。


馬車は普通の姿形をしているのに、どこか普通じゃない。

近くによれば、その頑丈さが分かるのだが、

生憎遠くからでは、普通のどこにでもある馬車なのだ。


その馬車から、1人の女性が下りてきた。

「う~~ん、ようやく辺境のジルーナの町に着いたか……」

伸びをし、周りを見渡していると、馬車の中からもう1人の女性が下りてくる。


「七夏、町に着いたら松尾先生たちがいる場所を探さないと…」

「ああ、そうだね雫ちゃん。 ん~、誰に聞けばわかるかな?」

「こういう時は、冒険者ギルドでしょ」


「そうなの?」

「松尾先生なら、冒険者ギルドに登録しているだろうし」

「ああ、なるほど、身分証明か…」


この2人の女性は、安藤 雫と飯島 七夏。

安藤は『刀の勇者』そして、飯島は『雷の勇者』だ。


魔王軍との戦いが一段落つき、その過程で松尾先生からもらった手紙にあった

迷い人を見つけたので、1ヶ月という時間をかけてこの町に来たのだ。

今のうちに休息をとるために。


そして、2人は再び馬車に戻ると、冒険者ギルドへ向かった。




俺は今、冒険者ギルドに来ている。

依頼を受けることと、この辺りにいる野生動物を調べるためだ。

また、トレントという魔物も探していた。


実は、箱庭には魔素、魔力のもとが少ないことが分かった。

500年前に造られた箱庭にいたエルフの女性、名前はニルヴィアさん。

そのエルフが言うには、トレントという魔物を箱庭に放す必要があるそうだ。


箱庭には、500年前に捕まえたトレントがいるが、

すでに代替わりを何度も繰り返していて、力が衰えているそうで

ここらで新しいトレントを捕まえて箱庭に放たないと、


箱庭にいる生物が死んでしまうかもしれないとのこと。


また、箱庭内での魔法にも影響が出るから至急お願いすると、

相談され、俺は冒険者ギルドにいるのだ。


「う~ん、トレント関連の依頼って結構あるんだな……」


『トレントの枝、買い取ります』

『トレント素材、買い取ります』

などなど、いろんなところが募集していた。


特に、家具屋さんとか、魔術師ギルドからの依頼が多いようだ。

聞いた話では、トレント素材の家具は長持ちするそうで、

高級家具は素材がトレントを使っているらしい。


また、魔術師が使う杖の材料に、トレントが使われるとか。


「この依頼を見てみると、トレントがどこら辺にいるのか分かるな……」

俺は、トレント関連で一番古い依頼書を剥がすと、受付へもっていった。



受付の列に並ぶと、俺の前に並んでいる人が受付嬢ともめていた。

「だから、友人だから、呼んでくれれば、分かるから!」

「冒険者個人の情報は……」



何だ? どっかで聞いたことある声だな?

俺が依頼書から、前で騒いでいる人物に目線を移すと、

どこかで見たことある顔が2つあった。


「……安藤と飯島か? なんでこんなところにいるんだ?」


俺に声をかけられて、後ろを振り向くと知った顔があった。

「相沢だ、あんたこそこんなところで何しているのよ」


俺は剥がしてきた依頼書を見せると、

「冒険者ギルドで、依頼を受けるために受付に並んでいるんだよ」

「なるほど……」


そう答えると、安藤と飯島は2人でヒソヒソと話し始める。

少し話して、俺に向き直ると、


「相沢、松尾先生の所に案内してくれる?

すごく、大事な話があるのよ」


安藤と飯島の真剣な表情に、俺は頷くことしかできなかった。

理由は、松尾先生の所に連れていけば聞けるかな……

「それじゃあ、さっそく」


俺は、さっさとギルドを出ていこうとする2人を止めて、

依頼を受ける手続きをした。


そして、2人について行き、ギルドの外に止めてあった馬車で、

屋敷に向かうのだった。







読んでくれてありがとう、次回もよろしく。


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