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相沢ヒロキ、異世界へ行く!  作者: 光晴さん


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第5話 ショックと反省と希望!




夕食をすませて、たき火の周りにみんなで座っていると

御者さんが声をかけてくれる。


「皆様、明日は『ゴージナ辺境領』に入り、最初の村で休む予定です。

村で1泊してから次の町へ向かます。

では、おやすみなさいませ」


淡々と予定だけを言ってテントへ向かった。

見張りを行う人は、俺たちから少し離れたところでたき火をしている。



「…みんな寝ないの?」

この場から動かない皆に、声をかける俺。

「……眠れないよ、昼間のことを考えたらさ」


本を読んで移動中の時間を過ごす青島が、弱気な発言をする。

「私も。 私たちって狙われているんだよね?」

何時になく弱気な藤倉 美咲、いつもはもっと元気がある子なのに…


「それに、盗賊とはいえ、初めて人を撃ってしまった…」

ケンジがへこんでいるな、盗賊を魔法で撃ったのがショックだったのか…

「あの緊急事態なら、しょうがないでしょ?」

安西も今日はケンジに優しく接してる。


「俺も人を撃ったことがショックだったけど、

もっとショックだったのは、俺の撃った魔法がたいしたことなかったことだ…」

あ~、確かにみんなの攻撃は盗賊たちに軽くあしらわれていたな…


「レベルが低いときはそんなものよ、

勇者のリーダーをしている西島君だって、最初からあの強さではなかったわよ?

馬場君だって、レベルを上げれば強くなるわよ」


松尾先生が馬場を慰めているな…

でも、馬場の奴はおそらく今の強さではハーレムを築くことができないと

落ち込んでいるに違いない。 馬車の中で妄想ばかりしていたからな~



「私たちって、弱いから、魔王との戦いで戦力にならないから狙われたんでしょ?」

「……やっぱ、勇者たちについて行った方がよかったのかな?」

「……」


狙われている。このことがみんなを不安にさせているようだ。


しかし、生産職の俺たちが、勇者たちと同じように戦うなんてことはできないし

これから魔王封印までの期間を、どう生きるかが問題かな…

「みんなは、これからどうするの?」


「相沢君、それって町についてからのこと?」

「はい、みんな同じ町や村にいるのか、それとも別々に暮らすか」

「そうねぇ、私としてはみんな同じ村か町にいる方がいいんだけど…」


木下先生は、みんな一緒が安全かもと考えているのか。

「私も、木下先生の意見に賛成ね」

「松尾先生…」


「今日の昼間のこともそうだけど、ここは異世界。

それを考えたら、みんなで一緒の町か村にいるべきだと思います」

そうなんだよね、忘れがちだけどここは異世界なんだよね。


そもそも生きていくルールが違うんだから、

みんなで助け合って生きていかないといけないんだよな…


「俺は、みんなで村に住むことをお勧めするけど?」

「相沢、なんで町じゃなくて村なんだよ」

石原 直也が食いついてきた。


「いや、ただ村の方がトラブルが少ないかなと思ってさ」

「う~ん…」

みんな考え出したな…


「はい、どこに住むかはこれから行く『ゴージナ辺境領』を見て決めましょう」

「「「は~い」」」

ぞろぞろとみんなそれぞれのテントへ…とはいかず

何人かは一緒に寝るようだ。


俺も、たき火をそのままにテントに入って眠った。





次の日、馬車で街道を進んでいると

街道沿いにある小さな石碑を見て、御者さんが声をかけてくれた。


「皆様、今『ゴージナ辺境領』に入りました。

ここからは、ゴージナ辺境領の中心の町『ジルーナ』へ向かいます。

到着は、明日のお昼頃となりますがよろしいでしょうか?」


「はい、お気遣いありがとうございます」

俺がお礼を言うと、御者さんは笑顔で頷き再び前を向いている。


「『ジルーナ』についてから、一度みんなで集まりませんか?」

「そうね、それで次の日には町を見学させてもらいましょう。

どんな所かで、住むか別の所に行くかを決めればいいわね」


みんな頷き、納得したようだ。

こうして、今後の予定をざっくり決めると馬車の中でくつろぎ始める。

しかし、急に馬車が止まり俺たちは驚いた。


「な、何?」

「何が起きたの?」

「御者さん、何かあったんですか?」


木下先生が、幌を開けて前を見ると俺たちの乗る馬車の500mぐらい先に

狼の群れに襲われている馬車を発見した。

「! 相沢君、この先で狼の群れに襲われている馬車があるわ」


「テンプレだ…」

「馬場、そんなこと言ってる場合か!

先生、狼って何匹います? 強そうですか?」


「そうね、強そうね。

あと10匹ぐらいいるわ、動き回って正確には分からない!」

「了解です…」


俺は、空間収納に入れてあった5つ宝石を取り出すと

それを街道沿いに投げる。

すると、宝石の周りの地面を取り込みながらゴーレムが姿を現した。


「あれって、鎧武者だよな…」

「みんなは、馬車を襲っている狼の注意をこっちに向けてくれ!」

「みんな、杖を取り出して! 魔法で攻撃するわよ!」


木下先生が率先してアイテムボックスから杖を取り出し、

狼めがけて、魔法を放つ!


【ファイアーボール】


火の玉は1匹の狼に当り、

こちらに気づいた狼はその1匹だけがこちらに向かってきた。

「先生…」


怖気づいてしまう生徒たち。

こっちを標的に変えた狼はぐんぐん迫ってくるが、

そこにゴーレム武者が立ちはだかり、一刀のもと、倒してしまった。


「狼の対処はゴーレムに任せて、みんなは馬車から狼を引きはがしてくれ!」

安全を理解した男子が、とくに馬場が積極的に馬車を襲っている狼を狙って

魔法を撃ち始めた。


「お姫様は、俺が助ける!」

「お姫様?」

…どうやら馬場の妄想では、馬車に乗っているのはお姫様ということらしい。


馬場よ、帰ってこ~い…







読んでくれてありがとう、次回もよろしく。

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