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相沢ヒロキ、異世界へ行く!  作者: 光晴さん


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第45話 契約完了




グラーバル奴隷商の中にある魔法陣室。

ここは、奴隷と主人になる人との契約場となっている。


まず、奴隷に魔道具である腕輪をする。

これは、伸縮自在で成長に合わせて大きくなるので、

子供奴隷の契約に広く用いられている。


さらに、この腕輪には奴隷契約で必要な基本契約が刻まれており、

もしそれを破った場合は、麻痺魔法がかかり動けなくなるようになっている。


そして、腕輪をした奴隷に主人となる人が、

自分の血を奴隷のしている腕輪につけると、魔法陣が発動して契約完了となる。


魔法陣部屋があるのは、奴隷契約は数をこなすことがあり、

いっぺんにできる魔法陣部屋での契約は重宝していた。



「では、お客様方、まずは女奴隷を購入された

お二人から契約をしていきましょう。


こちらは、指に当てるだけで契約に必要な血が出ますから、

奴隷の腕輪に血をつけるだけで、契約完了となります。


契約をすませましたら、こちらに出てきてください。

購入された奴隷は、後で馬車でお住まいへお送りさせてもらいます」


木下先生と馬場は、渡された手のひらサイズのキューブの魔道具を見て確かめている。

「あの、奴隷を連れて帰ることはできますか?」


「すみません、残念ながら連れて帰ることはできません。

奴隷を扱う法律で、奴隷商から直接、連れて帰ることが

できないようになっているのです。


美しい奴隷は、その容姿だけで狙われることがあります。

さらに、奴隷商から出てくる主人と奴隷を狙った盗賊もいますので、

この法律ができたらしいのです」


「…そんな事情があるんですね…」



木下先生は、目の前の扉を開け中へ入ると、

遠藤に縋りついて泣いている迷い人3人の光景に驚いた。


「えっと、何があったの?」

遠藤は、対処に困りながら、声のした方を見ると見知った人が立っていた。


「木下先生?!」

「はい、お久しぶりですね、遠藤さん」

遠藤に縋りついていた3人は、また日本語が聞こえてきた方角を見ると、


日本人が、こちらを見て立っている。

『日本の方ですか?』

「はい、そうですよ、あなた方と同じ日本人です」


『『『う……うえぇぇぇぇ~』』』

再び泣き出す3人の迷い人の女性たち。

「遠藤さん、とにかく、契約をすませましょう」


「は、はい、お願いします」

木下先生は、泣きじゃくる3人をそのままに、キューブを指に当てると、

キューブが光り、キューブを指からどけると、指に血が付いていた。


「痛みがなかったわね……」

そう感想を述べながら、遠藤たちの腕輪に木下先生は自分の血をつけていく。

すると、奴隷の付けている腕輪の色が、黒から白へと変わった。


「なるほど、これで契約完了なのね……」

「…もしかして、木下先生が私たちの主人ってことなんですか?」

「一応ね、それにしても、この奴隷商で遠藤さんを見た時は、驚いたわよ」


「すみません、こんなことになってしまって…」

「いいのよ、詳しくは住んでいる屋敷で聞くから」

「屋敷……はい、わかりました。 それと、彼女たちのことは…」


「大丈夫よ、なんとなく事情は分かっているから」

遠藤は、自分の側で泣いている3人を見ながら、

木下先生たちなら力になってくれるだろうと、

部屋を出ていく木下先生を見送った。




魔法陣部屋から出てくる木下先生は、どこかホッとしているようだった。

「よし、次は俺の番だな!」

馬場は、気合を入れて部屋の中へ入っていった。



部屋の中に入って、まず目に入ったのは、部屋の中央で仁王立ちしている女性だ。

その隣には、メイドさんの腰に抱き着いている女の子。

そして、その抱き着いている女の子にそっと手を置いているメイドさん。


「え~っと、君たちの主人となるハジメ ババです。 よろしく!」

「「「………」」」


3人の女性達は、馬場をジロジロと品定めしている。

この時の馬場は、こう感想を俺に漏らしていた。

――いや、美人の品定めって、興奮するよな!


馬場よ、おかしな性癖に目覚めるなよ?


「えっと、これから、奴隷契約をしますので腕輪を見せてもらえますか?」

「「「………」」」


3人の女性たちは、無言で腕輪の嵌められている腕を前に出す。

馬場は、キューブを指に当て、血を指につけると、

そのまま3人の腕輪に付けていく。


すると、腕輪の色が黒から白へと変わった。

「……これで契約が終わりました、何か聞きたいことはありますか?」

「「「………」」」


3人の女性は、お互いを見渡すと、馬場に向き合って顔を横に振る。

「あ、そうですか……」

「「「………」」」


馬場は、女性たちの方を何度も振り向きながら部屋を出ていった。



魔法陣部屋から出てきた馬場は、目に涙をためて俺に抱き着いてきた。

「お、おい、馬場、部屋の中で何があったんだ?」

「何でもないんだ、とにかく、今はこのままでいさせてくれ!」


俺は、木下先生と見合うと、困った顔で馬場を見る。

本当に、契約時に何があったんだ?




しばらくして、ようやく馬場が木下先生に頭を撫でてもらい立ち直った。

次は俺の番だな、そう思って魔法陣部屋に入っていった。


部屋の中で待っていたのは、8家族、37人の人たちだ。

入ってきた俺のことを警戒する父親たち。

子供を守ろうとする母親たち。


俺に怯える子供、俺に興味津々な子供と様々な表情がうかがえる。

「皆さん、初めまして。

俺が皆さんを買い取りました、ですが、皆さんを虐げたり、傷つけたりはしません。


これから、俺の村に来て住んで暮らしてもらうために皆さんを買ったのです。

どうか、そんなに警戒しないでください」


俺がそういうと、少しだけ警戒が解けたようだが、

まだ信用はされてないようだ。


……これからが大変そうだな。

そう思いながら、契約を済ませていった。








読んでくれてありがとう、次回もよろしく。


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