第42話 奴隷たちを選ぶ 2
「では、お客様、どの女奴隷をご購入いたしますか?」
女性奴隷を一通り見せてもらった後、オーナーさんから声がかかる。
気になる奴隷は何人かいるが、どう購入するかが問題だろう。
「馬場は、購入する奴隷はいたのか?」
「勿論だ、最後のメイドさんは確実に購入したいな!」
う~ん、あのメイドさんを購入となると、
「メイドさんを購入するなら、
あの元貴族の女性の姉妹も購入ということになるぞ?」
「メイドさんを手にれることができるなら、かまわない!」
力強いな馬場、そんなにメイドさんがほしいのか……
「オーナーさん、元貴族の女性の姉妹とメイドさんの合計はいくらですか?」
「えーと、元貴族の女と、その妹、あとお付きのメイドですね。
元貴族の女が金貨200枚、その妹が金貨180枚、
そのお付きのメイドが金貨180枚になりますね」
結構するんだな、3人で金貨560枚とは……
でも、馬場なら購入するんだろうな~
「俺が購入します!」
やっぱり、そうなったか。
「でも馬場、いろいろ他に買わないといけなくなるから、
奴隷購入に使うお金は、金貨1000枚までにしておけよ」
「ん~、そうだな、家具とか服とか考えたらそうなるのか…」
「あの女性たちは、元貴族だ。 そこを考えたら、苦労しそうだな…」
「その辺は、織り込み済みだ!」
なんか、馬場が大人になったような、成長したような感じがするな。
気のせいだと思うが。
「それでは、私は、言葉の通じなかった女性3人と、
元勇者の従者の女性をお願いしますね」
次は、木下先生が購入する奴隷をお願いしている。
さっき先生と話して、遠藤や迷い人は全員女性だということを考慮して、
木下先生に購入してもらうことになった。
彼女たちも、木下先生が主人なら納得するだろし、どうせ後で解放もするのだ。
実は、この奴隷に使われている束縛魔道具は、安西の鑑定で解析が終わっている。
そして、俺が錬金術で複製をつくることに成功したので、
解除できる魔道具の開発も成功したのだ。
ブラシュ村から帰還して、遊び惚けた訳でもなく結構大事な仕事はしているのだ。
「はい、えーと、その4人でしたら……
言葉の通じない女は1人金貨10枚で、合計金貨30枚。
勇者の元従者の女は、金貨100枚となり、合計金貨130枚となります」
「では、それでお願いします。
相沢君、もう購入する奴隷はいいかな?」
「そうですね……
あ、オーナーさん、子供の奴隷購入はできますか?」
「子供ですか? 私どもで扱っている子供奴隷は10人ほどいますが、
見てみますか?」
「はい、ぜひお願いします」
「では、こちらへどうぞ」
そう言って、今度は子供奴隷のいる部屋へ案内されていく。
「相沢君、結構買うのね、奴隷を」
「子供奴隷は、ここで購入しておいた方がいいんですよ。
それに、村で孤児院を造って、木下先生に教育をしてほしいんです」
「私に? そうね~、お手伝いできる人がいればいいかな~」
なんか微笑みをうかべながら、想像しているな……
木下先生が、子供たちに授業をしている姿を。
「こちらです、子供の奴隷は、全員まとめてこの部屋に入れています」
そこには、10人の元気のない子供の奴隷が座っていた。
走り回る体力もないのは、その体つきでよくわかる。
何人かの子供は、大きな傷を負っているし、腕や足を欠損している子もいた。
木下先生は涙目だし、馬場でさえ目をそらしたくなる光景だ。
「あの、あの子たちは何かあったのですか?」
「あの欠損や怪我をしている子は、村が魔物の襲撃にあったんです。
親を亡くし、行き場がない所に、村の借金のために村民全員が売られて、
村は廃村、私どもの奴隷商をはじめ、いろいろな奴隷商に連れていかれたそうです。
ここにいるのは、その村の生き残りの子供たちなんです」
「この10人全員ですか?」
「はい、そうです」
「わ、私がこの10人の子供たちを購入します!」
木下先生には、見ていられない光景なんだそうな。
涙目で、購入を申請しているし、オーナーさんも、少し引いているようだ。
「わ、分かりました。
この子供奴隷は、1人金貨10枚ですから、
金貨100枚になりますがよろしいですか?」
「はい、お願いします!」
子供奴隷は全員木下先生が購入となった。
箱庭の村に行ったら、松尾先生に欠損が治るポーションを作ってもらおう。
松尾先生の独自スキルならできるはずだし、
松尾先生自身も、捨ててはおけないだろうな。
「では、他にも奴隷をご購入なさいますか?」
なんか、オーナーさんの顔がホクホク顔になっているな。
俺たちのことを、大量に購入してくれる上客と考えているのだろう。
「俺は、今はもう購入する予定はないな…」
馬場君、君は早く帰って購入した女性奴隷と仲良くなりたいんだな?
「私も、これ以上購入する奴隷はいないわね……」
木下先生は、子供たちが気になって気になってしょうがないみたいだ。
後で、松尾先生に相談するように言っておこう。
「それじゃあ、2人は自分たちが購入する奴隷を連れて
屋敷に帰っていいですよ。 もちろん支払は済ませておいてくださいね?
俺は、もう少し家族奴隷を見せてもらいたいんで……」
「相沢君は、まだ奴隷を購入するの?」
「結構な数の奴隷を購入したと思うけど、まだ足りないのか?」
「俺がほしい奴隷がまだ、見つかってないんで、探さないといけないんです」
木下先生と馬場は、顔を見合わせると、ため息をついて俺を見る。
「わかったよ、最後まで付き合ってやるよ」
「相沢君の探している奴隷を、見つけましょう」
「……ありがとう、2人とも」
「……では、家族奴隷のいる部屋へご案内すればよろしいですか?」
「はい、お手数ですが、よろしくお願いします」
こうして、再び家族奴隷のいる部屋へ案内されていく。
読んでくれてありがとう、次回もよろしく。
奴隷購入の話が長くなっていますが、この話を持ってこないと、
箱庭の村の人数がおかしくなるので、お付き合いください。




