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相沢ヒロキ、異世界へ行く!  作者: 光晴さん
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第4話 鬼無双!




ここは、王都から約2日の距離がある街道沿いの森の中。


今、俺たちはここで準備を急いでいる。

いつもの騎士の鎧を脱ぎ、いかにも盗賊といわれるような服に着替える。

なぜなら、この街道を通ってくる馬車を襲うためだ。


「隊長、こんな事請け負って領主様は大丈夫なんですかね?」


俺の部下の1人が、領主様のことを心配するとは…

確か、こいつ先月結婚したばかりだよな。

この男も運が悪い、

俺の隊にいなければこんな仕事に手を染めなくてもよかったのに…




確か、先週だったか、王都の貴族の上司にこの仕事を押し付けられたそうだ。

報酬がいいから、受けたと言っていたけど、うちの領主様は気が弱いからな。

だが、その貴族から何人か応援を呼んでもらえたのはラッキーだったな。


それに、どこかのギルドの奴らとかも連れてきたようだ。

俺たちの隊の人間も合わせて、30人。


これだけいれば、護衛がしっかりした馬車でも襲えるだろう。


異世界に来て、貴族の逆鱗に触れるとは…

ついてない人もいたものだな。




「た、親分、見えてきましたぜ」

こいつ、隊長って言いそうになったな?

盗賊のように呼び方を変えているが、いつもの癖で呼びそうになる奴が何人かいる。


もうすぐこの仕事も終わるから、それまで我慢しろ!


「あ! 親分、馬車が走り出しやした!」

「何!」

森の中に隠れている俺の目の前を、速度を上げて走り抜けていきやがった!


「馬に乗れっ! 追いかけて、殺すんだ!」

部下が全員に伝えている間に、応援できた連中が馬に乗って駆けていきやがった。

流石だ!




俺たちの前を走っていく馬車の荷台から、いろんな魔法を撃ってきやがった。

しかし、どういうわけか威力が低い…

魔法に当っても、致命傷にはならない。


「連中は、生産職でレベルが低い!

そんな奴らの魔法など、ガキのお遊びと一緒だ! 逃がすな!」


なるほど、だからあんなものなのか…

俺は弱くても異世界人だからと、委縮していたのかもな!

それなら、さっさと片付けてしまおう!




「ギャア!」

「何してる! 囲め!」

「グエッ!」


「馬を狙うんだよ!」

「ガッ!」

ばかな! なんだアレは! 化け物じゃないか!


「お前ら、魔法を使え!」

「ユーバ、除け……クソッ!!」

「ブギャ!」


仲間が、どんどん減っていく!

いきなり森から飛び出して来た、黒い馬に乗る見たこともない赤い鎧…

そして特徴なのがあの大きな槍だ。


俺の持つ槍の5倍はある。

それを軽々と振り回し、俺の仲間を2つに分けていく。

黒い馬も丈夫で力強く何より速い!


囲んで追い込もうものなら、槍を振り回し囲い込んだ奴らが馬ごと切られてしまう。

距離をとっても、すぐに黒い馬が追いついてしまう。


「た、たい…」

俺の横を走っていた部下が、俺に助けを求めたと同時に首がはねられた!

「うあぁぁぁぁ!!」


逃げるしかねぇ!

周りを見れば、残っていたのは俺とあの化け物だけ…


俺は逃げた、馬を走らせるだけ走らせると急に馬から落ちる。

「ぐあ!」

地面に強い衝撃を受けて倒れこみ、俺は動けない…



痛みに耐えながら見ると、俺が乗っていた馬が泡を吹いている…

しまった、馬を走らせ過ぎてつぶしてしまった。


そんな考えを巡らせている俺の視界に、あの化け物が馬を降りて立っていた。

そして、怯える俺を見下ろしながら持っていた槍を俺に振り下ろした。


こいつ、容赦ねぇ…




▽    ▽    ▽    



盗賊から逃げきれた俺たちは今、安全を確認して休憩をとっている。


でもなぜか、俺はクラスメイト達に囲まれている。

「えっと、何か?」

安西が代表して一歩前へ出ると


「説明、よろしいかしら?」


目が笑ってないぞ? 周りを見ればみんなの目も笑ってねぇ!

「えっと、あの騎馬武者のことですね?」

「ええ、攻撃を止めたあのタイミングで森から現れたんですから」


安西の喋り方がいつもと違う! すげぇ怖い!

「あれは、私が作り出したゴーレムでございます」

「それで?」


「はい、ゴーレムの核を2つ作りそこへ命令と魔力をこめて森へ投げました。

森の中の土を取り込み、馬と武者のゴーレムとなったのです」


「なるほど、2体で1体のゴーレムだったと」


「で、そのゴーレムに盗賊たちの足止めをさせました。

俺たちの逃走時間を稼ぐためにですはい」

睨んでる睨んでるよ安西が…



「はいはい、もういいでしょみんな。

相沢君のおかげでこうして逃げることができたんだからね?」

おお、さすが担任教師、みんなの気配が和らいだ。


「それで相沢君、あのゴーレムはどうするの? 取りに戻るの? それとも…」

「いえ、あの騎馬武者は1時間ほどで土に帰るようにしてあります。

ゴーレムの核も、同じように土に戻りますから」


「そう、ならもう少し休憩してから出発しましょう」

「「「は~い」」」


「……ありがとう」

消えゆくような声で、去り際に安西がお礼を言ってくれた。

その感謝の言葉に、俺は顔が緩むのを感じていた。







第3話を読み返していたら、一気に書いていました。


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