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相沢ヒロキ、異世界へ行く!  作者: 光晴さん


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第35話 秘密箱と謎




ブラシュ村で、依頼の宝箱を調べているうちに、

この宝箱について思い出したことがあった。


「……そうだ、秘密箱だ」

「秘密箱?」

「ええ、うちの母親が、箱根に旅行した時のお土産で買ってきてくれたんです。

普通の開け方じゃなくて、変わった開け方で箱を開けるものなんですよ」


「変わった開け方って、どんな開け方なの?」

「俺がもらったのは、こう上に開いて開けるところを横にスライドさせて開ける

みたいなんですけど、中には開ける工程が、3つも4つある箱までありましたね」


「ということは、この宝箱も?」

「おそらく、そうだと思います……」


木下先生と松尾先生との会話をしながら、俺は宝箱のあちこちをスライドさせる。

すると、宝箱の蓋にあたる部分の一部がスライドした。


「お、当たりだ!」

そこからは、スライドさせたり、持ち上げたり、押し込んだりと、

おおよそ宝箱の開け方としてはふさわしくない工程をすませていくと、


宝箱の横の部分から持ち手が現れ、それを持って上へ持ちあげて、

蓋がとれ、宝箱を開けることができた。


「よいしょっと、これで宝箱が開きました!」


俺たちは、急いで中身を確認すると、

明らかに取っ手の付いた蓋の上に、

金貨がぎっしりと詰まった袋が2つ置いてあった。


「……この金貨、何枚あるんだ?」

「いや、それよりも、下の取っ手付きの蓋が気になるでしょうが!」

「まあまあ、相沢君も安西さんも、まずは金貨を数えましょう」


「「は~い」」


俺たちは、箱から金貨の入った革袋を取り出し、中身を数え始める。

「……あなたたち、何をしているのよ」

安西は、1枚1枚数え始めたケンジと馬場に問いかける。


「何って、金貨を数えるんだろ?」

「何ばかなことをしているのよ、金貨だけをアイテムボックスに入れるのよ。

そうすれば、何枚あるか分かるでしょう?」


その答えに、ケンジと馬場は驚いていた。

「え、それで数が分かるのか?」

「アイテムボックスって、そこまで便利なのか?」


疑りながら、ケンジは革袋から金貨だけをアイテムボックスに収納。

「……ほんとだ、金貨1万872枚って分かった」

「アイテムボックスって、便利だな! 金貨1万498枚ってこっちもわかった」


「それじゃあ、皮袋に戻しておいてね?

後で依頼主の冒険者ギルドに報告しないといけないから」

木下先生に促され、ケンジと馬場は、皮袋に金貨を戻すと、


その革袋を、今度は松尾先生がアイテムボックスへ仕舞う。



そしていよいよと、みんなで再び宝箱の周りに集まり、

「では、底の蓋を開けるわね」

と、木下先生が、取っ手の付いた蓋を持ち上げる。


すると、そこには、下へとのびている縦穴が口を開けていた。

しかも、端に梯子がかけてある。


「ん~、底が見えないわね……」

安西が目を凝らしてみるが、

宝箱の底から下へのびている縦穴の底はわからなかった。


「しかし、これで地面と宝箱が繋がっていた説明がつくな……」

「そうね、十中八九、この縦穴を隠すためでしょうね。

この家のいくつ前の持ち主が造ったのかは分からないけど、興味深いわね」


俺と安西の会話を聞いている時も、みんなは穴の底をじっと見ていた。


「木下先生、この穴、潜ってみますか?」

「え? そうねぇ……」


俺の何気ない提案に、ここにいる全員が考え込んでしまった。


宝箱から通じている、不思議な縦穴。

しかも、底が見えないほど深いことはわかる。


さらに、取っ手の付いた蓋の上に置かれていた2つ皮袋に入った金貨。

なぜ? 何のために? どうなっているのか?


こんなに好奇心をくすぐるものは、ないだろう。

俺は、この穴はおそらく異世界人で日本人の造った物と思っている。

なぜなら、この宝箱に施されたからくりだ。


この宝箱を開けようと、この世界の人たちが挑戦して開けれなかった。

この宝箱が、からくり箱になっていると気づけるのは日本人でも少ないが、

ゼロではない。


つまり、この宝箱は、日本人に開けてもらいたかったのだろう。


だから、あの穴の先には日本人なら必要になるもの、

もしくは欲しがるものがあるのかもしれない。


または、このからくり宝箱を作った人の墓があるとか。

あの金貨で、日本へ帰ることができるなら、日本に埋めてほしいとか……


飛躍しすぎかな……




「で、どうします? 潜りますか? それとも、報告するだけにします?」


木下先生は、宝箱を見ると一回頷き、答えを出した。

「潜りましょう。

ギルドに報告するにしても、詳しく調査してからでも遅くはないわ」


そう言って、みんなを見渡すと、全員が頷いて賛成した。


「なら、まずは明かりを何とかしないとな……」

俺は、そういうと空間収納から2つのゴーレム核を取り出す。


「ヒロキ、ゴーレムを作るのか?」

「こいつは、ゴーレムというよりも魔道具に近いかな…」

俺は核を地面に置くと、核を中心に周りの地面を巻き込み


10本の鋭い爪をもった虫のような小さなゴーレムが現れた。


「ちょっと、何それ、気味悪いわよ…」

安西たち女性陣が、顔をしかめて怖がっている。


俺は、そのゴーレムを手に取り持ち上げると、

「これは、気持ち悪くなんかないよ」


【ライト】


そう魔法を使うと、ライトが10本の爪に囲まれるように閉まる。

「……鳥かご?」


「これは、こうして魔法をこの爪に閉じ込めて使うんだよ。

しかもこのゴーレム自体に浮遊魔法が施してあるし、

しかも、魔力はゴーレムの核から供給できるから、中の魔法も長持ちする」


「う~ん、便利かどうかは微妙な所ねぇ~」

木下先生と安西が、空中に浮いているゴーレムを見て微妙な顔をしていた。

「まあ、いいからいいから、下へ降りてみましょう」


俺は、ゴーレムを宝箱の縦穴に放り込むと、

縦穴の端についている梯子を使って降りて行く。


この穴の底で、何があるのか分からないが、

みんながワクワクしていることは、表情で理解できた。








読んでくれてありがとう、次回もよろしく。


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