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相沢ヒロキ、異世界へ行く!  作者: 光晴さん


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第33話 宝石の魔力




結局、生き残った盗賊はいなかった。


最初に捕まえた盗賊たちは、冒険者が尋問を終えると首を刎ねて始末していたし、

アジトにいた盗賊は、捕まっていた貴族の女性の1人が魔法で、

全員の首を刎ねて始末した。


その後始末は、冒険者の人たちと俺だったわけだけどね。


盗賊の中に賞金首がいたかどうかは、町についた時に確認してもらうそうだ。

この世界では、人が死ぬと死んだ人のステータスカードを抜きだすことができる。

無論、抜き出す必要のないときはそのまま遺体を焼けばいいのだ。


生き物や魔物の死体をそのままにすると、アンデッドになるようだが、

必ずしもなるものではないと、冒険者の人たちが教えてくれた。



その冒険者の人たちは、俺たちが向かっている村で馬を借りるか購入して、

次の町へ向かうことになった。


捕まっていた貴族の女性3人も、冒険者たちと一緒に町へ向かい保護してもらう。


護衛を冒険者たちにしてもらっていた、お嬢様2人とお付きの女性は次の町にいる、

護衛依頼を出した親の元へ行くそうだ。


とにかく次の村でお別れってことで、俺たちの馬車には、

捕まっていた貴族の女性たち3人が、話がしたいと乗り込んでいた。


ただ、全員が馬車に乗れるわけもなく、御者席に木下先生と松尾先生。

中に安西と山本と藤倉。 あとは俺と馬場の2人だけだ。

後の3人には、箱庭への道を開いてそっちに避難してもらっている。



それと、俺たちの馬車に乗るとき、お互いの自己紹介は済ませておいた。

女性3人は、やはり貴族のお嬢様で、町中で攫われアジトに運ばれたそうだ。


盗賊たちの慰み者にならなかったのは、傷物になると身代金が出ないと、

盗賊たちに脅していたためだったそうだ。

また、盗賊たちに使った時、魔封じの腕輪をさせられて魔法が使えず、


反撃が出来なくて、怒りをためていたためあんなことをしてしまったようだ。

貴族のお嬢さんの怒りは、恐ろしいな…



「ところで、あなた。 ヒロキと言いましたね?」

「はぁ、そうですけど?」

「あのゴーレムは何ですか?」


「は?」

「私もリーブル家の者として、ゴーレムをいろいろと見ていますけど、

あのようなゴーレムを見たのは初めてです」


あのようなって、暴徒鎮圧用ゴーレムの事か…

確かに、あのゴーレムはこの世界にはない装備をしているからな…


「しかも、ゴーレムのくせして、あの素早さは何ですか!

あのように素早く動かすには、どのようなゴーレムを造ればああなるのです?」

「あ、それ、私も知りたい!」


もう1人の貴族のお嬢様も手を上げている。

「セシリアさん、リーブル家ってゴーレムに何か造詣が?」


「はい、木下。 我がリーブル家は、

ゴーレム兵を使った戦術に長けておりまして、王国に貢献しております。

勿論、それだけではございません。


城壁などの建設や、大型の建造物などには、必ず我が家のゴーレムが使われます」


なるほど、ゴーレムと言ったらセシリア・リーブルの家ってことか。

「ミリシアさんも、ゴーレムのことが知りたいんだ」

「私は、ヒロキがゴーレムを戻した時に核をちらりと見たんだよ。

その核がきれいだったからさ…」


…目を輝かせて、俺を見ないでほしいんだけど?


俺が、ミリシアの眼差しに負けてゴーレムの核を取り出すと、

「見せて!」とひったくるように取っていった。



ゴーレムの核を光りにあてて、じっくり眺めている…


「はぁ~、これがゴーレムの核……きれいなものだね~」

「ゴーレムの核なんて、初めて見ましたわ…」

「アーシアは、学園でしかゴーレムを見たことありませんから、

しょうがないですわね」


3人の貴族のお嬢様が、ゴーレム核を眺めながら話を進めている。


「ヒロキさん、このゴーレム核、私にいただけませんか?」

「あ~、それは無理ですよ」

「お金なら、言い値でお支払いしますわよ?」


「いえ、このゴーレム核は売買できないんですよ。

ちょっといいですか?」

そう言って、ゴーレム核を返してもらうと、中心を2回指で軽く叩くと、

ゴーレム核が端から砂になって崩れていった。


「「「ああ!」」」


3人のお嬢様たちが、すごい落ち込んでいる…

「えっとですね、このゴーレム核は、核生成の魔法で作りだしたものなんです。

ですから、ゴーレム以外に使おうとすると、今のように衝撃に弱いんですよ」


「…で、では、ペンダントにしたとしても…」

「ちょっとした衝撃で、砂になって崩れてしまいますね」

「そ、そうなのですね……」


やっぱり宝石が砂になって崩れるところを見るのは、落ち込むんだな…

木下先生たちは、何度か見ているからショックは小さいようだけど、

苦笑いをしているな…


う~ん、なんか傷つけすぎたかな…

俺は、空間収納からクズ魔石を5つほど取りだした。

「いいですか? ちょっと見ていてください…」


クズ魔石5つを両手に挟んで、呪文を唱える。


【宝石生成】


両手の中が一瞬光ったら、俺は手の中をみんなに見せた。

「「「わぁ~……」」」

「相沢君、これって…」


手の中には、赤い輝きを放つ宝石が1つ、そこにあった。

大きさは手のひらの半分ほどで、水の雫のような形をしている。


「これは、ゴーレム核ではありませんから崩れる心配はありません。

錬金術と土魔法で、クズ魔石を繋ぎ合わせて作った物です」


アーシアさんが、赤い宝石を受け取りうっとりとその輝きに魅了されている。

「ヒロキ、私にも作ってくれます?」

「私にもお願い!」


セシリアさんとミリシアさんが、俺にお願いしてくる。

と同じように、お願い!と期待の眼差しを送ってくる木下先生たち。


…宝石って怖いんだな……







読んでくれてありがとう、次回もよろしく。


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