第28話 家の作り方を学ぼう
夕食を食べ終わってから、全員に確認した所、
やはり、全員がドアを注文して作ってもらっている。
ドア単体で注文するものでもないからな…
翌日、俺は全員のドアが出来上がるまで、次の作業に移ることにした。
次にやることは、家を建築することだが俺に建築の知識はない…
この世界の大工さんに教えてもらおうとしたが、そんなコネはないし
冒険者ギルドに、大工さんからの依頼はないかなと掲示板を見に来た。
「…結構あるんだな、大工さんからの依頼」
掲示板に張り出していた依頼書には、
大きく分けて、手伝いと素材採取の2種類の依頼があった。
「今、俺に必要なのは、手伝いの方だな」
そう確信すると、大工さんからの手伝い募集の依頼書をはがし
受付へもっていく。
朝の早い時間だったので、受付で5分ほど並んだが無事受理され、
依頼の現場までの地図を渡され、ギルドを後にする。
地図を片手に、現場まで行くと既に何人かが作業をしていた。
「すみません、冒険者ギルドで依頼を受けたものです。
今日は、よろしくお願いします」
「おお、依頼を受けてくれて助かるよ!」
俺の対応をしてくれたのは、初老の男性だった。
少し日焼けをしていて細マッチョな人だ。
できる男って感じがして、頼りになりそうだ。
「俺はロブ、そしてこっちからブリッジ、ガル、ホーキンだ。
皆、こっちはギルドで依頼を受けてくれた冒険者だ」
「ヒロキです、今日はよろしくお願いします」
「「「よろしく」」」
みんな、がっちりした体型だな。
でも、みんな細マッチョなんだよな…
「それじゃあ、さっそく基礎を組み上げるぞー」
「「はい、親方!」」
おお、良い時に依頼を受けれたな。
これで、家を建てるときの参考にできるぞ…
「それじゃあ、ヒロキさんには木の運搬をお願いしますね」
「あ、ちょっと待ってください」
俺は空間収納から、1つの手のひらサイズの宝石を出すと地面に置いた。
すると、宝石が光り地面の土を巻き込んで人型のゴーレムが現れる。
「な、なんだ! ヒロキさん、それは何だ!?」
「親方さん、こいつはゴーレムです。
このゴーレムに命令してやってください、命令通りに動きますから」
親方は、戸惑いつつもゴーレムに木材の運搬を命令する。
その命令を聞いたゴーレムは、一つ頷くと歩き出し木を運び始めた。
「ほぇ~、ヒロキさん、あんたゴーレム使いか?」
「まだ新人ですが、一応そうです」
「なら、もう1体ゴーレムを出せるか?
今日は3人ほど休んでいてな、人手不足なんだよ」
「ええ、かまいませんよ」
そう言って俺はもう一つの宝石を空間収納から出すと、
地面に置いてゴーレムを作る。
「おお、助かる!
それじゃあ、基礎から始めていくぞー」
こうして、俺たちは親方さんからいろいろ指示をもらいながら、
建築のイロハを教えてもらった。
また、ゴーレムのパワーや器用さを褒めてもらい、
仕事が終わった夕方ごろには、家ができるまで働かないかと誘われて
ぜひ、お願いしますと了承して働かせてもらった。
こうして、1週間で家は無事に建てれた。
普通は、こんなに早く建てることはできないが、
ゴーレムや魔法のおかげで、いい仕事ができたと喜んでもらえたよ。
ただ、親方が娘をやるから婿に来ないかと言ってきたときは、
流石に焦ったな…
勿論、丁重に断らせてもらったが。
いろいろあったが、家の建築のイロハは学べた。
ゴーレムも学習して、家を建てる知識も得ることができた。
これで、箱庭に家を建てることができるぞ!
さて、少し時間をさかのぼって俺が家の作り方を学んでいる時のこと。
みんなが注文していた、自分専用のドアが完成した。
夕食の後、それぞれのドアを見せてもらったが、大きさはほぼ同じ。
皆、手前に開くタイプのドアで、スライド式はなかった。
「それじゃあ、空間魔法を付与していくから…」
それぞれのドアに、手をかざして呪文を唱えると一瞬光った。
「…付与完了。
これで、箱庭と繋がったはずだ。 皆、確認してみて」
皆、自分のドアを開けて箱庭に行けるか確認する。
「おお、箱庭に繋がっているぞ!」
馬場が、扉を開けて中を確認し、そしてドアを閉めて
再び開けて中を確認する。
「あ~、繋がっていることが確認出来たら、
ドアに魔力を流して魔力登録をして、
魔力登録が終わったら、ドアをアイテムボックスにしまってくれ」
魔力登録が終わって、皆がドアをしまっている中、
馬場は、隣にいる青島にドアを開けてもらって確認していた。
「青島がドアを開けても、箱庭には繋がらないな…」
「馬場は、念入りに確認するんだな」
「おう、勿論だ。
ちゃんと確認しておかないと、何かあった時困るからな」
馬場にも、慎重な所があったんだな。
ドアを収納し終わった人たちは、食堂の椅子に座ると
今後のことを話し合い始める。
「そういえば、相沢君、最近よく出かけているけどどこに行っているの?」
木下先生が、心配そうに聞いていきた。
「あれ? 言ってませんでしたっけ?」
「私は、聞いてないわよ」
木下先生や、そのほかのみんなが頷いている。
「実は、箱庭に家を建てるために勉強しているんですよ」
「おお、今度は家か~」
なんか、馬場がうれしそうだな…
「何かうれしそうだな、馬場…」
「それは勿論、今度は自分が住む家の間取りを決めろってことだろ?」
「まあ、そうなんだが…」
何故か、馬場に言われると悔しい気持ちになるな…
「でも、間取りと言っても私たちは専門家じゃないんだから、
よくわからないわねぇ~」
「それはわかっていますよ木下先生。
だから、皆に考えてもらうのは、部屋数や部屋の広さ、後は、
専門の部屋とかかな…」
「専門の部屋?」
「そうです、松尾先生なら調薬部屋なんかがあった方がよくないですか?」
「……そうね、私の場合はほしいわね」
「それぞれのやりたいことを考えた作りにして建てるわけか…
それなら、店舗にしてもいいわけだな」
「ああ、ケンジは鍛冶魔法持ちだからそれもありだな」
「おお! 自分専用の家か……フフフ…」
馬場が、すごい興奮しているな…
でも、こいつはたぶん、いろんなスケベな妄想をしているんだろうな~
馬場よ、その緩んだ自分の顔に気づけ…
考えていることが、まるわかりだぞ?
読んでくれてありがとう、次回もよろしく。




