閑話1 勇者一行の旅路!?
「ガルナー砦が落ちたぞー!!」
「「「おおー!」」」
「勇者様ー!」
俺の名前は、一条亨。
この異世界へ勇者召喚を使って召喚された、勇者の1人だ。
勇者は全員で7人いる。
まず武器系統の勇者、剣、刀、槍の3つ。
次に魔法系統の勇者、氷、雷、炎、聖の4つだ。
俺の称号に記されていたのが『槍の勇者』だった。
俺としては、刀の方がかっこよかったな…
さらに、俺たち7人の勇者には仲間がたくさんいる。
まずは俺たちと一緒に召喚されたクラスメイト。
クラスメイトの中には友達もいるから、旅の話し相手にうってつけだ。
勿論、戦力としても頼りなる!
それから、俺たちにこの世界の案内をかって出てくれた
王国の第1王女様と第2王女様の姉妹。
どちらも美人だから、男子たちのテンションが上がる上がる!
さらに、俺たちの旅のお世話をしてくれる人たちが10人ほどいる。
この人たちは王女様たちや、騎士の人たちのお世話もしているから
大変そうだ。
そして最後に、王国から選りすぐられた騎士や魔法使いの人たち。
この大所帯で、俺たち勇者一行は『魔王封印』の旅に出たのだ。
さて、もう気づいていると思うが、
俺たち勇者は魔王を倒すために呼ばれたのではない。
というか、魔王は倒すことができないそうだ。
第1王女様のユーフィリアの話では、この世界に現れた魔王は、
本体の魔王ではなく、この世界で魔王の器になれる魔物が魔王に乗っ取られた姿
なのだそうで、
いくら倒そうが、本当の意味での魔王討伐にはならないとのこと。
だから、この世界での魔王の活動をやめさせるためにも
器の魔物を封印するそうだ。
また、一度、器の魔物を封印すると、次の器になれる魔物が現れるまで
約300年の時間が必要らしい。
魔物は率先して強くなろうとはしない生き物なのらしいのだ。
だから、自ら鍛えるという考え方はなく魔物の中の魔物が生まれることも
すぐのすぐにあることではないと言っていた。
後、本物の魔王の居場所だけど、第2王女様のクフィリア曰く
この世界ではない別の世界にある『リリド』と呼ばれる魔界にいるそうだ。
魔王本人に聞いたそうだが、確かなことは分からないらしい。
多分、昔の勇者の1人が魔王封印の際に聞きだしたのかもしれないな…
そして、俺たち勇者一行が今何をしているのかというと、
召喚された王国、ボルニア王国の西にある『イスベナ大平原』に造られた
魔族の砦を攻め取ったのだ。
この砦は、ボルニア王国と西の友好国、セルガナ王国との間に
造られ、しかも魔族が造り上げたダンジョンによって、たくさんの魔物を輩出。
そのせいで、両国に甚大な被害をもたらしていた。
両国は何度も、軍隊を送り込み倒そうとしたのだが、
砦は大きく、砦攻めをしている最中にも魔物がダンジョンからわき出し
その対処に追われ、そのたびに砦攻めを中断していた。
しかもそれが2年も続けば、両国の財政を圧迫するのは確実で
この砦討伐の軍事費は、両国の頭痛の種だった。
そこで、俺たち勇者一行の出番というわけだ。
案の定、俺たち勇者のチート能力全開で砦を攻め、
3日後の昨日、砦を陥落することができたのだ。
明日からは、この砦の内部にできているダンジョンへ潜ることになる。
何せ、砦で指揮を執っていた魔族は、このダンジョンに逃げ込んだのだから。
今も対策会議では、ダンジョンに潜るメンバーの選別をおこなっている。
勇者一行と潜るダンジョンだからな。
実入りが大きいのだろう、冒険者や商人までもが手を上げていた。
「トオル、メンバーが決まったから来てくれってシオリが呼んでいるぞ~」
「了解、アツシ」
「シオリを怒らせるなよ、後がめんどくさいからな…」
「わかってるって」
俺は呼びに来た、友達の新城アツシといっしょに、
対策会議が行われている、砦の会議室へ急いでいく。
「ところで、星空を眺めながら何を物思いにふけっていたんだ?」
「ああ、お城を出発する際に別れた先生たち一行が気になってな…」
「確か、戦力にならない10人だったな…」
「ああ、だから、気になってな」
アツシは、落ち込み気味のトオルの背中を軽く叩くと、
「大丈夫だって、向こうには木下先生と松尾先生がついているんだから」
「まあ、皆なら大丈夫だと思うけどな…」
「何か気になることがあるのか?」
「アツシは気にならなかったか?
先生たちが戦力にならないって分かった時の謁見の間の貴族たちに…」
「気にならないわけないだろう、王様でさえあからさまに態度というか
扱いが変わったからな…」
「…やっぱり、馬場たちが言っていたことは本当の事か…」
「俺も幼馴染から聞いたよ、俺たちと食事が別になっていたって…」
「やっぱり、王国は力あるものしか優遇しないのか…
ということは魔王封印後は…」
「トオルの考えている通りのことになるだろうな…」
「アツシ、俺の目標が決まったよ」
「奇遇だな、俺もだ」
「「絶対に強くなる!」」
「そして、全員で日本に帰るぞ」
「ああ、俺も手を貸すぜ」
絶対に、王国の思惑通りになってたまるものか!
読んでくれてありがとう、次回もよろしく。




