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相沢ヒロキ、異世界へ行く!  作者: 光晴さん


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第22話 自分たちの立場と貴族!




ゴルダーの森で幅を利かせていたオークキングは討伐された。


俺たちは、オークキングの死体をそのままに

その周りに集まってこれからどうするべきか話し合っていた。


勿論俺は、オークキングが持っていた武器は回収済みだ。

後、展開していたゴーレムも核を回収してある。

そのため、今ここにいるのは俺たち9人と人質だった女性たち28人だけ。


「で、これからどうしましょうか?」


この俺の質問は、人質だった女性たちには意味が分からなかったようだ。

「ねえ、オークキング討伐を知らせればいいんじゃないの?」

人質だった冒険者の女性の1人が、意見する。


「あ~、ごめんなさいね。

実は、私たちは目立つことができない立場なのよ」


それを木下先生から聞いた人質だった女性たちは、なんとなく理解した。

あの強さを人々に知られること、特に国に知られることが

どれだけ危険なことかを。


「…わかった、あなたたちのことは内緒にしておくわ。

でも、お礼だけは言わせて、私達を助けてくれてありがとう!」

「「「ありがとう」」」


オークキングやオークたちが、何かする前に助けることができてよかったよ。

でも、これだけの数の女性を集めてきたからには、

それだけ犠牲者も出ているわけで、素直に俺は喜べなかった。



「ん? 10人ほどの集団がこっちに近づいている…」


「ヒロキの空間認識だっけ? 結構便利なスキルだよな…」

「ケンジ、羨ましがってないで隠れるぞ?

木下先生たちも、いったんここを離れましょう」


「相沢君、このオークキングとかの死体はどうするの?」

青島が周りに転がるオークキングを見て質問する。

「さすがに、オークキングの死体を持っていったら誤魔化しようがないな…」


「何だか、もったいないね…」

「しょうがないよ……木下先生、行きますよ?」



「わかったわ、皆さん、このままお別れとなりますが…」

木下先生は申し訳なさそうに言っているが、

「事情は大体わかりますから、見つかる前に行ってください」


「では、失礼します」

木下先生と同じように、会釈をして俺たちは東側の森の中へ走っていった。

人質にされた女性人たちは、こちらに小さく手を振り別れる。





▽    ▽    ▽    ▽




私たちは、助けてくれた恩人たちを見送る。

「ねぇ、表に出ることができないって、あの人たち何をしたのかな?」

「そうですよね、こんなに強いのに…」


私もみんなと同じように、オークキングの死体を見ながら疑問に思う。

でも、私は最近まで王都にいたから大体予想がつく。

「たぶん、あの人たち『勇者』関係で表に出れない人たちなのよ…」


「勇者って、王都で話題の?」

「そう、この王国が勇者召喚をしたのは噂で聞いているでしょ?」

「ええ、冒険者の間じゃあ有名な噂だし…」


「私最近まで王都にいたから、実際に勇者たちを見たのよ。

7人の勇者とその仲間たちの旅立ちも見学したし」


女性たち全員の視線が、話をしている女性に集まる。

「でも、それと同時に力のないものも召喚されて

勇者たちの旅立ちの日と同じ日に、放逐されたって噂も流れていたの」



「それって、ひどい対応ね…」

「力のないものを放逐って…」

「でも、それだけであの人たちを勇者の関係者とはよべないんじゃないの?」


「だから、あくまでも可能性の話よ。

あの人たちのことは私たちだけの秘密にしましょう。


それと、オークキングは私たちが人質として捕まっていた間に

誰かに倒されていた、それでいきましょう」


みんなが頷き、私たちはあの人たちのことを秘密にすることにした。

また、どこかで出会うことがあるだろう。


その時は、恩返しができるといいけど……




それから少しして、派手な格好の冒険者と騎士たちが10人ほど現れた。


「おお、見ろクルド! あの巨大なオークがオークキングに間違いないな!」

…この人、多分貴族だ。

「リター、この周りを調べてくれ。

リカルド様、あそこにいる女たちに何があったか聞いてきましょう」



騎士の1人がこっちに近づいてきた。

「すまんが、君たちは何故ここにいるのか聞いていいか?」

「はい、私たちはオークに捕まってここまで運んでこられたんです」


「なるほど、ならばオークキングを倒したものは見たのか?」

「いえ、私たちを見張っていたオークが逃げ出して、

しばらくしてから外へ出たらこの状態だったので…」


「そうか…

見ていないのなら、これ以上は聞いても無駄か。

ああ、君たちのことは、森の入り口に知らせておこう」


「ありがとうございます」

私は素直に、頭を下げてお礼を言った。

その言葉に満足したのか、騎士は貴族の元まで戻っていった。




「リカルド様、あの女たちは何も見ていなかったようです」

貴族様がこちらを睨むように見ている…

「…まあここで嘘をついても意味が無かろう。

しかし、倒した奴がいないのならば、このオークキングをどうしようと

見つけたものに権利があるはずだな!」


「はい、このオークキングはリカルド様のものでございます」

満足した笑顔で、貴族は上機嫌だ。

「誰か、入り口にいるギルド職員を呼んで来い!」


リカルドが声を荒げると、ついてきた騎士の1人が森の中を走っていく。


ここは森の奥にある開けた場所だから、空が見えるけど

森の中は気が覆い、方向が分からなくなることがある。

騎士1人で、大丈夫かな…








読んでくれてありがとう、次回もよろしく。


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