第21話 オークキング討伐、後編!
ゴーレム武者の刀が、オークジェネラルの首を落とした時、
ようやく戦いに決着がついた。
「みんな、ケガはない?」
木下先生の声掛けに、皆が返事をしていく。
どうやら、重傷者はいないようだ。
ただ、ほとんどの人が魔力枯渇気味になっていて
松尾先生から、マナポーションを受け取り一気飲みしている。
「あなたたちは、相沢君の力になってあげなさい」
木下先生の言葉に従い、ゴーレム武者たちは刀についたオークの血を拭うと
オークキングと戦っている相沢の所へ走っていく。
向こうはいまだに、地響きが聞こえている。
木下先生たちは、森という地の利を生かした戦いをして
オークナイト5匹とオークジェネラル3匹を、殲滅できた。
松尾先生の指揮は的確で、本当に戦い易かった。
「さて、私たちは人質になっている人たちを救出に行きますよ」
木下先生の提案に反対のものはいなかった。
「では、出発します!」
▽ ▽ ▽ ▽
土煙の中から現れたオークキングは、すでに武器を振り上げていた。
「直撃か!」
しかしそこへ、盾騎士ゴーレムが俺の左右から現れ守りを固める。
大きな衝撃音とともに、オークキングの攻撃を防いだ盾騎士ゴーレム。
『ブガ!』
苦痛に歪むオークキングの顔が、自らの脇腹を見ると
槍騎士ゴーレムの槍が突き刺さっていた。
すぐに、自らの武器で槍騎士ゴーレムを薙ぎ払うと
左手から魔法を、薙ぎ払った槍騎士ゴーレムに向けて放つ!
【ファイヤーボール】
槍騎士ゴーレムに当るかに見えた魔法を、もう1体の盾騎士ゴーレムが庇った。
盾騎士ゴーレムの構える盾には傷一つつくことなく守りきる。
口惜しさと痛みに、顔を歪めるオークキング。
そこへ後ろから槍騎士ゴーレム2体が左右から槍を突き出してきた。
オークキングは、右から来た槍を弾き返し、左から来た槍を自らの槍で受け止める。
『ブフゥ!』
鼻息荒く、力をこめて受け止めた槍を押し返すと
足元を力いっぱい蹴りぬき、地響きとともに土煙を上げた。
と、同時にオークキングは少し俺たちから距離を置く。
「…なんて奴だ、1体で6体のゴーレムと渡り合って…」
オークキングは槍で疲れた傷口を手で触ると、回復魔法をかけた。
そして、傷口はふさがり、痛みの無くなったキングは再び気合を入れる。
「しかも、回復までできる。 こいつラスボスか?」
そこへゴーレム武者が合流してきた。
ゴーレム武者は、俺の周りに集まると刀を構えてオークキングに対峙する。
これで1対12、卑怯じゃなくてそれだけオークキングが脅威なんだよ!
「行くぞ!」
【ストーチェーン】
俺がオークキングの足元に、石の鎖を出現させて拘束を狙うが
あっさりとよけられ、オークキングがこっちに襲い掛かってきた。
『ブガァァ!』
オークキングの叫びとともに、魔法を放っていく。
炎の槍が俺に向かって飛んでくるが、それを盾騎士ゴーレムが庇い防いでくれる。
防がれたと同時に、オークキングは武器を振り下ろし衝撃を与えて
土煙を舞い上がらせた。
「目くらまし?!」
少しの間があり、土煙の中からオークキングが槍を構えて飛び出してくる。
そこへ、左右から盾騎士ゴーレムが盾でオークキングを挟み込み
左右と後ろから槍騎士ゴーレムの槍がオークキングに突き刺さる!
深くまで槍が突き刺さるが、オークキングの勢いは止めれず
口から血を吐きながら俺に向かって槍を突き出した!
「!!」
無防備な俺の前に盾騎士ゴーレムが入ろうとするが間に合わない。
しかし、そこにゴーレム武者が1体入り込み持っていた刀で
オークキングの槍の軌道を変えて、俺のすぐ横に着弾する。
『グウゥゥ!』
悔しそうな顔をするオークキング、
そこにゴーレム武者4体の刀が、オークキングの体に突き刺さる!
そして、槍の軌道を変えたゴーレム武者はその刀でオークキングの首を刎ねた。
転がるオークキングの頭を見て、俺は座り込んでしまった。
「た、助かった……」
オークキングの体から槍と刀が抜かれると、その場に崩れ落ちた。
俺は地面に落ちたオークキングの頭を見ながら
「さすがオークキング、最後の最後まですごいな…」
と、感心していた。
しばらく動けずに座り込んでいた俺の所に、人質になっていた女性たちを連れた
木下先生たちが近づいてきた。
「な、なんですか、これは!」
木下先生の驚きの叫びを聞くと、他の人たちもしゃべり出した。
「これ、オークキングでしょ?」
「倒せる人がいるんだ……」
「信じられない……」
そんな中で、馬場とケンジが動けない俺に近づいてくる。
「よお、ヒロキ、どうしたんだ座り込んで」
「もしかして、立てないのか?」
俺は俺の横にできている穴を指さして、
「オークキングの槍がすぐ横に着弾してな、腰が抜けた…」
「あ~、それはしょうがないな…」
そう言って同情しながら、俺に手を貸してくれるケンジ。
馬場は、穴の大きさと深さを見て少し震えている。
「…これを見ると、よく勝てたなと感心するな」
「まったくだ」
そう俺が言うと、3人で笑い合った。
読んでくれてありがとう、次回もよろしく。




