第16話 オーク討伐の準備!
冒険者ギルドで、オーク討伐に参加申し込みを俺たち全員ですると
山本と石原は治療班に強制参加しているので、
そのまま、治療班へ配置が決まった。
俺を含めた他のメンバーは、パーティーを組んでの参加となり
8人パーティーで登録される。
登録が終わると、配置場所と参加日時が渡されて
オーク討伐日が5日後と書かれてあったので、それぞれで準備を始めた。
護衛ゴーレムの件は、少し考えて了承しておいた。
実を言えば、前々から皆にはそれぞれの戦闘スタイルなどに応じて
護衛してくれるゴーレムを考えていたのだ。
いずれそれぞれで考えて、動いていくだろうと思い準備は進めていた。
それが前倒しになったと思えばいいだろう。
「しかし、みんなそれぞれにオリジナルの護衛ゴーレムは無理だし、
ここは影から守ってくれるタイプで行くか…」
目的が決まり、俺は宝石を生成しながらそれぞれに
誰を護衛するのかという命令を刻み、完成させていった。
10個のゴーレムの核を完成させると、さすがに魔力枯渇で具合が悪くなり
その日1日、寝ていることしかできずに松尾先生に迷惑をかけてしまった。
次の日の朝食の後、全員に食堂に集まってもらった。
「え~、皆さん、馬場から依頼のあった護衛ゴーレムが完成しました」
お、皆の意識が変わったな。
「今回のオーク討伐に参加することになって、戦力がどうしても
心配であったようですが、パーティー参加している俺たちはともかく、
山本と石原は、治療班に配置されていますから護衛のことは考えていました」
「確かに、後方とはいえ治療している場所が狙われないとは限らないな…」
めずらしく馬場が、真剣に考えているな。
「山本さん、石原君、治療場所はどこに設けられるの?」
心配になった木下先生が、山本と石原に確認をとった。
「治療班の配置は、森に入る少し手前にテントを建てて
そこで、治療をするようになっています」
「勿論そこには、ギルド長他護衛をしてくれる人たちもいますから
安全だと思いますよ」
「山本と石原が言ってくれたように、ギルドから護衛はつくと思いますから
今回は、影から守れる護衛ゴーレムを用意しました」
「!!」
ふむ、馬場はもう気づいたようだな…
俺はみんなに1つずつ宝石を渡していく。
「ちょっと、相沢君? このダイアモンドはいったい……」
「木下先生、それはゴーレムの核ですよ。
皆を影から守ることのできる『くノ一ゴーレム』を作ってみました」
みんな驚いているな…
馬場だけが、なんか感動しているようだ。
後、女性陣の目が少しだけおかしい気がするのだが…
「相沢、このダイヤモンドは崩れないの?」
「安西に前話したのは、ゴーレムの核にする前の宝石のことだ。
今みんなの前にある宝石は、すでに魔法陣を刻んでゴーレムの核にしてあるから
崩れて砂になることはないよ」
安西と木下先生がホッとしているな。
前に話したことを覚えていたのか…
「それから、その宝石を手に取ったら魔力を流してくれ。
それで、魔力を流した人を護衛するようになるから…」
「へぇ~、便利なものだね~」
藤倉が感心しているな…
でも、この技術は一応ギルドカードにも応用されている技術なんだけどね。
ホント、便利な本人確認の技術だよな。
「さて、魔力を流し終わったら土の上にその核を投げればゴーレムが現れる。
その現れたゴーレムは、影から皆それぞれを守ってくれるようになる」
…女性陣は話聞かずに、宝石を眺めてばかりだな。
流石にギルドカードの半分の大きさの宝石は、やりすぎだったかな……
この後、3日後のオーク討伐までそれぞれで準備をすることになり解散となった。
俺は2日ほど、北の森で狩りをおこないレベルを上げて
最後の1日は、松尾先生と一緒にみんなの弁当制作に時間をかけるつもりだ。
▽ ▽ ▽ ▽
3日後に迫ったオーク討伐に向け、儂はギルド長室で書類整理に追われていた。
すべての依頼を取り下げて、このオーク討伐に冒険者を
動かさなければならないことは、ギルドにとって痛手しかない。
しかし、ここでほおっておけば更なる悲劇しか生まないのでは
選択肢はないのだ。
そして、ドアをノックする音とともに秘書が入ってくる。
「ギルド長、領主軍の精鋭100人が2日後に到着するそうです」
「そうか、王都に配置してあった精鋭30人と
ビスモルデ砦に配置してあった70人を動かしてくれたのだ、
今回のオーク討伐は何とかなりそうだな…」
秘書が難しい顔をしておるな。
「そんな顔をするな、オークの数は発表できる数ではないのだ。
オークキングだけでも厄介なのに、オーク約2000匹など発表できるか」
「しかし、何か対策は必要だと思いますが…」
「ん~、参加冒険者の数はわかるか?」
「はい、え~と1021人ですね。
周りのギルドからも参加申し込みがありましたからこの人数になっています。
しかし、上位クラスは100人にも満たないですが大丈夫でしょうか?」
「上位クラスは強さの桁が違うからの、大丈夫じゃろう。
問題は下位クラスの者たちじゃな……
今のままでは、オークに出会ってすぐに死んでしまいかねん。
パーティーを組んでないものは、どこかのパーティーに入れるようにせんとな」
「わかりました、参加者を調べてパーティーへ入るよう促します」
「頼むぞ、なるべく冒険者が死ぬことのないようにな…」
「はい」
さて、ここにある書類を片付けながら、何か対策はないか考えるかのう…
そして、時は過ぎ、運命のオーク討伐日。
読んでくれてありがとう、次回もよろしく。




