第15話 オーク討伐戦依頼!
木下先生の問いに、俺は、今はレベル上げをしていくとだけ答えた。
みんなはやりたいこと、先のことを見据えて行動をし始めたのだが、
俺はいまだ流れで生きているみたいだ。
しかし、レベルを上げて強くなりゴーレムを育てていけば、
自ずと俺のしたいことが見えてくるはずと信じて、今はレベル上げをしている。
この前のオークの目撃と討伐の知らせを受けて、
冒険者ギルドが調査を開始したため、南のゴルダーの森での狩りや進入が禁止された。
まあ、調査しているそばでゴブリン狩りをされると邪魔でしょうがないよな。
このギルドの調査次第では、討伐依頼が出されるだろうと
バーミクさんが教えてくれた。
バーミクさんの率いるパーティー『突風のフォレスト』とは、
あのオークの件から仲良くしてもらっている。
ギルドで会うと、挨拶と近況報告なんかが主だが。
バーミクさんの話では、南の森の調査を任されたのは『天上の楽園』と
『ミサナミアの翼』という2つのパーティーだそうだ。
どちらもパーティーランク金という実力のパーティーだ。
オークの件から今日で10日、なにもなければいいのだけれど……
さて、皆の決意から10日が経過したわけだが、俺たちは狩り場を南の森から
北の森へと移している。
南のゴルダーの森が立ち入り禁止になったためだが、結果的にこの移動はよかった。
なぜなら、南はゴブリンが多かったが、北はフレストウルフが多かった。
そのため素早い戦いが必要となり、ゴーレム武者にとっていい経験だった。
勿論、戦いに参加した者たちにとってもいい経験ができた。
現在のパーティーメンバーは、俺と木下先生、安西、青島の4人だ。
ここに、他のメンバーが何人か加わっていく。
松尾先生と藤倉は、図書館に通い続けている。
ポーション製作にめどが立ち、どんな薬草が必要か調べているそうだ。
初級ポーション製作のために、
薬草採取を俺たちと一緒に北の森に入ったこともあった。
山本と石原は、最初の6日ぐらいは交互にレベル上げの狩りに参加できていたが
今では治療が評判を呼び、2人とも医者の所に通い詰めだ。
平民街の患者は、いろんな人がいて面白いと石原が感想をもらしていたな…
問題のケンジと馬場は、掲示板にあった鍛冶屋は断られてその隣の鍛冶屋に
雇ってもらったそうだ。
親方と呼ばれているドワーフのドンゴさんは、面倒見が良くて
馬場曰く、ツンデレだそうだ。
男のツンデレっていいのか?と聞いたら、ドンゴさんの店にいる女性が
可愛い人だそうで、その人を見ているだけで男のツンデレなんて気にならないとのこと。
…まあ、幸せそうなのでいいか。
そしてさらに10日が過ぎ、俺の土魔法を使ったゴーレム以外の戦い方を
試行錯誤していた時、冒険者ギルドから依頼書がすべて消えて1つだけ貼られていた。
『オークキング討伐及び、オーク軍団討伐の参加者募集』
今日は、昨日受けていた依頼の薬草の納品に来たのだが、
朝から冒険者ギルドは、満員の状態だった。
ギルドの入り口でバーミクさんを発見したので声を掛けたら、
掲示板のことを教えてもらった。
「バーミクさん、その依頼が出たってことは調査が終わったんですね」
「ああ、調査をしたパーティーにケガ人が出たそうだけど、
何とかやりきったそうだ。 ギルド長が報酬を増額したそうだよ」
「それにしても、オークキングですか…」
「南側は、森が広がっているから村とかはないから避難してくる人はいないけど
この町が直接狙われるだろうね…」
「バーミクさんたち『突風のフォレスト』は参加するんですか?」
「勿論参加するよ、ランクが低いからオークキング討伐には参加できないけど
オーク軍団の討伐には、参加できるからね」
「女性陣は大丈夫なんですか?」
「この依頼は強制参加じゃないから、アシュリーたちは参加しないかもな…」
「やっぱり、あの時のオークの件で…」
「それで、ヒロキ達は参加するのか?」
「依頼の納品が終わったら、帰ってみんなと相談してみます」
「そうか、ヒロキだけでも参加してほしいんだけどな…」
「依頼参加の受付、明日まででしたよね?」
「ああ、ヒロキに会うまで掲示板で確認していたからな」
「それなら、今日みんなで話し合って決めますよ。
それに、参加のしかたは人それぞれですし…」
「そうか、俺は一緒に戦えることを願っているよ…」
そういうと、バーミクさんはギルドを後にしていった。
俺はというと、人いっぱいのギルドに入り納品を何とか済ませて屋敷に帰った。
依頼の報酬は、後日ということになったが、すぐにお金が必要だったわけでないから
別にいいんだが、このオーク討伐の依頼をみんなはどうするのかな…
「勿論、俺は参加決定だ!」
馬場が鼻息も荒く、堂々と決意していた。
何時も道理、夕食を食べ終わった後みんなを集めて
オーク討伐の依頼を放したところ、この依頼のことはみんな知っていたようだ。
何でも、町中でもかなりの噂になっているそうだ。
それに、山本と石原は治療班ということで医者ともども強制参加だそうだ。
ケンジと馬場の所には、武器のメンテナンスに人が殺到しているらしく
すべての武器屋や防具屋が朝から忙しくしている。
また、最近ポーションを作り始めた松尾先生や助手をしている藤倉にも
ポーション製作の依頼が来ているそうで、新人の薬師たちが息巻いているらしい。
どうやら、町全体でオーク討伐に向けて準備をしているみたいだ。
「で、実はヒロキにお願いがあるんだが聞いてくれるか?」
馬場が、真剣な表情で聞いてくる。
馬場が真剣になるのはめずらしい…
「で、お願いってなんだよ」
「俺たちを護衛してくれるゴーレムを作ってくれないか?」
「……う~ん、護衛ゴーレムか…」
読んでくれてありがとう、次回もよろしく。




