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悪魔の祝福  作者: でこっぱ
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悪魔の罠

悪魔のおっさんと公園で会ってから数週間が経った。僕が泣きじゃくりながら、僕の段ボールハウスに近づく小学生を威嚇していると、困ったような顔をした悪魔のおっさんが現れた。


「出たな!悪魔め!僕の落ちぶれ姿を笑いにきたのか!?」


僕がそう叫ぶと、悪魔のおっさんは何がなんだかわからないといった様子で聞いてきた。


「申し訳ありませんが、契約をしていないので、先日お見せした分しか見通す力が使えません。何があったのか教えていただけませんか?」



白々しいと思ったが、あまりにもしつこく食い下がられるので、公園で会った後、何があったのかを説明することにした。



テレビでやまだやま商社の不正経理のニュースを見た後、普段は見向きもしないやまだやま商社の株価を見ると、確かに大暴落していた。


…あのおっさんは本物だ。


僕は確信し、そしてもう1つの予言を思い出した。


…3日後、大幅な円高に?




趣味で株をやっていたらしい同僚が、やまだやま商社のニュースに顔を青くしているのを見て、僕はふと思い出した。


昨年、この同僚がFXで儲けたと話しているのを聞き、それでは自分もと開設したまま触りもしていない口座があることを…


為替相場がわかってれば確実に大金を儲けられる!上司に怒鳴られるのを我慢して、会社に来る必要もないじゃないか。


次の日には、会社に辞表を出した。上司が止めもしないことに、多少は腹がたったが、大金が入ると思えばそんなことはすぐに忘れて、FXの準備をしていた。


明日は大幅な円高


悪魔のおっさんの言うことを信じて、自分の賭けられる限界の金額を円高にかけた。



結果、僕は笑えない金額の借金を背負い、段ボールの家に引っ越すことになった。



「1つ疑問なのですが」


悪魔のおっさんは首をかしげて続ける。


「あの日は確かに円高になったはずです。」



そんな訳はない!僕は騙されない!


「あの日は1ドル108円から89円になったぞ!円が安くなったんじゃないか!嘘つきめ!」


「それを円高と言うんですよ!間違った知識しかないのに勝手に大博打しないでください!」


温厚そうな悪魔のおっさんが怒鳴った。後で丁寧に教えて貰ってわかったが、どうやら僕は円高と円安を逆に覚えたまま、大金を突っ込んで失敗したらしい。



辞めた会社の上司が、僕のことを「要らん時だけ行動力のある厄介な馬鹿」と呼んでいたことを思い出した。

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