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1-9 宿屋でお泊りです

 宿屋の中へ入り、鍵を受け取り部屋へ進む。一緒に部屋に入ったところで気がついた。


 どうして同じ部屋なの?

 ひと部屋しかとっていないの?

 どうして大きなベットが置かれているの?

 なぜリースさんは平然とベットの上に腰掛けているの?


 ベッドに座り、素足をブラブラさせている姿がとても愛らしい。

 ワンピース姿は変わらないのに、二人きりで部屋にいるからか、妙に女らしさを感じている。


 軽く深呼吸して、どうにか落ち着こうとする。

 よし、ちょっと整理してみよう。


 リースはまだ子供だから、気が付いていないだけかもしれない。でもこの宿屋に決めたのも、部屋を押さえたのも全部リースが決めている。

 状況は良くないのかもしれない。ここは正面から行かずに、ゆっくりと探ってみるべきかな。



「料理美味しかったね、やっぱり外に出て食べて正解だったよね」


「そうね、思わぬ収穫だったわ。また行きましょうね」


「ハンバーグは直ぐに試してみる?野菜は確か玉葱があるとよかった筈だけど、街の露天で手に入るかな」


「たまねぎ?聞いたことは無いけれど、見つけたいわね。買いたい物もあるし、明日は露天を回ってみましょう」


「それはいいね。じゃあもう寝てしまおうか、寝袋で寝て大丈夫な所でも探してくるね」


「そんな慌てなくて大丈夫よ。それと、せっかく宿に泊まるのだから、寝袋で寝るなんて勿体無いわよ」


 ちょっと急ぎすぎたのかな、軌道修正したい。



「あれだよ、柔らかいところで眠るの苦手なんだよね。寝付けないっていうか」


「まだ眠くないから、その話しは後でいいわ。突っ立っていないで、こっちへ来てお話ししましょう」


 十分と距離をとり、離れた所に座ってみる。


「何してるの、話しにくいでしょ。隣よ、ベットに来なさいよ」


 そのセリフを聞いただけで鼓動が高鳴ってしまう。ゆっくりとベットに近づき、角に腰掛ける。


「ケントはこういう事初めてじゃないの?」


「こ、こういう事って何の話しかな」


「私に、言わせないでよ……」


 そう言って、リースはベットの上で横になってしまう。


 ゲームであれば、セーブポイントはここですよね。でもここは異世界、さあどうしよう。


「色々考えてみたけど、どうすればいいか分からないし。やり方も知らないし」


「でも、ケントは急なお願いだったのに、自分の考えをちゃんと持ってて、行動にも移してすごいなって思ったの」


「うん?」


「たまにしどろもどろになったり、変な言葉遣いで謝ったりするのはどうかと思うけれどね……」


 なんか小声になってきたし、ちょっと話の流れが良く分からなくなってきたぞ。


「だからかな……私ももうちょっと自分の思った事をね……」


「……」


 静かになったと思ったら、そのまま眠ってしまったようだ。


 ドキドキしていた自分が恥ずかしいが、正直ホッとした。高揚してたせいで、リースが何を言っていたのかうろ覚えだけれど、最後の方は何が言いたかったのだろうか。


 寝袋を出し横になる。

 異世界に来てまだたった数日だが、働きすぎな気がする。明日はゆっくりと過ごせるといいなあ。

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